「間違えてiPadの上に水をこぼしてしまった」
「お風呂でiPadを使っていたらいきなり電源が落ちた」
こういった時は、iPadが水没状態になっている可能性が非常に高いです。
防水性能のないiPadに対して、絶対に起こってはいけないのが水没。
高確率で故障に繋がりますし、通常の保証にしか加入していない場合、Apple公式サポートの保証対象にもなりません。
普段から充分注意をしている方も多いと思いますが、それでも誤ってiPadを水没させてしまうこともあるでしょう。
しかしそういった場合でも、焦らず正しい対処法を実行することで復旧する可能性があります。
そこでこの記事では、iPadが水没した時にやってはいけないことや、iPadを復旧させるために早急に行うべき応急的な対処法について解説していきます。
【この記事でわかること】
目次
「iPadの水没」と聞くと、水の中に落としてしまったり、iPadの上に水をこぼしてしまったり、といったことを想像する方がほとんどだと思われます。
しかし実は、完全に水に浸からなくとも水没した状態になってしまうことがあります。
特に注意しなければならないのは「水蒸気」。
iPadに防水性能はありませんので、少々の水気に対しても非常に脆くなっています。
ですので、「湯船の中に落とさなければ問題ないだろう」などと考えてお風呂に入りながらiPadを使用するような行為は絶対にやめてください。
一定時間以上使用することで、浴室内にこもっている水蒸気によって水没してしまう可能性が非常に高くなります。
その他、キッチンの横にiPadを置くのも危険です。
洗い物をしている時の水しぶきにより、徐々にiPad本体にダメージが蓄積していく場合があります。
水没は、iPadが直接浸水しなくとも発生する可能性があることを是非覚えておいてください。
iPadを水の中に落としてしまったり濡らしてしまったりすると、つい焦ってしまい、いろいろなことを試してみたくなるものです。
しかし、下手にいじることで状態が悪化する場合がありますので注意してください。
iPadが水没してしまっても、以下のような行動は決して取らないようにすべきです。
本体内に入り込んだ水を排出しようとして、iPadを持って上下左右に振ってしまうという行為はよくやってしまいがち。
しかしこれは逆効果であり、本体の中の水が一層広がってしまい、水没の範囲が多くなってしまうだけです。
激しく動かせば動かすほど状態は悪くなってしまう可能性が高くなるので、このような行動はとらないようにしてください。
水没した後にiPadの電源を入れたり充電したりするのも、絶対にやってはいけないことの一つです。
水没した状態で通電してしまうと、内部でショートしてしまい、修理に出すしかなくなってしまいます。
iPad内の水を乾かそうとして、安易にドライヤーを使ってしまうのもNGです。
確かに乾くのは早くなるので良い対策法に思えますが、ドライヤーの熱で急激に乾燥させようとすると内部に熱がこもってしまい、サビが発生する原因になってしまうのです。
また、熱による故障の可能性も出てきてしまいます。
水分同様、熱も精密機械の大敵となりますので。
一刻も早く水気を取り除きたい一心でドライヤーを使いたくなる人も多いかと思われますが、後々の故障に繋がってしまうのでやめておきましょう。
iPadが水没した際に大事なのは、「できるだけ自然に乾かすこと」です。
これを踏まえた上で、以下のような対処法を実行していってください。
iPad本体内にある水がほかの場所に移動してしまわないように、できるだけ動かさずそっとしておきましょう。
動かせば動かすほど状態は悪化しますので、まずはiPadを風通しの良い場所へそっと運び、そのまま自然乾燥するのを待ってください。
なお、完全に乾燥するまでは一切いじらないようにした方がよいので、最低でも2~3日は放置しておくべきです。
内部に入り込んだ水はどうにもなりませんが、外側の水分を取り除くことはできます。
外側に付着している水分も、何かの拍子に内部へ入り込むことがありますし、水蒸気となった際にも内部へ侵入するかもしれません。
iPadが水没してしまった際は、なるべく早く、かつ丁寧に、外側を乾いた布で綺麗に拭いてください。
これも、乾燥を早めるための大事な対策です。
イヤホンなどのアクセサリが接続されている場合は、外しておきましょう。
アクセサリが挿さったままになっていると、接続部から再度水が浸入したり、なかなか乾かなかったりといった弊害が生まれてしまいます。
水没したiPadを復旧させるための対処法ではありませんが、復旧後のことを考え、水没後にはできるだけ早くSIMカードを抜いておくことが重要です。
SIMカードとは、IDや契約に関する情報などが詰まっていて、通話やネット接続をするために必要となるICカードのことです。
このSIMカードがなければデータ通信ができなくなってしまうため、iPadとしての機能を果たせなくなってしまいます。
そんな大事なSIMカードですから、水没後なるべく早く取り出し、水分を綺麗に拭き取りましょう。
参考:iPad の SIM カードを取り出す/入れ替える – Apple サポート (日本)
水没後、無事に電源が入った場合は、急いでデータのバックアップを取っておきましょう。
一旦電源が入ったとしても、それは一時的なことかもしれませんので。
バックアップを作成する方法は以下の3通りとなります。
この設定をしておけば、iPadがネットに接続されてロックされている時に、毎日データのバックアップがiCloud上に自動で作成されるので安心です。
iCloudへの自動バックアップを設定している場合は、新たにバックアップを取る必要はありません。
万が一水没してしまったとしても、iCloud上にはデータが残っているので、いつでもデータを取り出せます。
なおiCloud上に保存したデータを表示するには、「設定」⇒「自分の名前」⇒「iCloud」⇒「ストレージを管理」⇒「バックアップ」と進めば閲覧できます。
これで、Macパソコン上にiPadデータのバックアップが作成されます。
これで、Windowパソコン上にiPadデータのバックアップが作成されます。
なお、コンピュータに保存されているバックアップを表示するには、「編集」⇒「環境設定」と進み、「デバイス」をクリックすればOKです。
iPadをなるべく動かさず、一切通電もせず、数日かけて本体内部をしっかり乾燥させたのに、それでも電源が入らないという場合は、修理に出すか買い替えるしかありません。
iPadは非常に水に弱いため、一度水没してしまうと、どんなに丁寧に乾燥させても復旧しないということも多いです。
修理に出す際は、「AppleCare+」に加入していてまだ保証期間内であるならば、Apple公式の修理サービスを利用すべきです。
参考:AppleCare プランを購入する – Apple サポート (日本)
水没での修理を依頼する場合は、「AppleCare+」に加入していなければ保証対象外となってしまいます。
通常の保証では、落下や水没などの「ユーザーの過失」による故障についての修理はフォローされていないのです。
AppleCare+に加入していない場合は、Appleへ修理を依頼するとかなり高額な費用がかかってしまいます。
例えば「iPad Pro 12.9 インチ(第5世代)」ならば、修理費用は10万円を超えます。
参考:iPad の修理 – Apple サポート 公式サイト (日本)
保証期間を過ぎている場合は、Apple公式ではなく修理業者へ依頼するという方法を検討してみるのもよいでしょう。
Apple公式サポートに比べれば信頼性は劣りますが、その分費用が安く、スピーディに対応してくれる業者が多いです。
ただし、業者の質はピンキリであり、ハズレの業者にあたってしまうとまともな修理が期待できないというリスクもありますので、Apple公式か非公式の修理業者か、どちらを選ぶのかは慎重にご判断ください。
以上、iPadが水没した時にやってはいけないことや、対処法について解説してきました。
なお、水没後数日経って無事に電源が入った場合でも、一応点検・修理に出した方が無難です。
一度iPadが水没してしまうと、まったく問題ない状態に戻るという可能性はほぼなく、何かしらのダメージを負ってしまいます。
そのまま放置すると、それほど間を置かずにどこかしらが故障し、iPadが使えなくなってしまうことも珍しくありません。
しかし修理に出すと、非常に高額な費用がかかる場合もあります。
監修者/前田 知伸
富士通を経て、リブート㈱代表取締役。パソコンリサイクル業15年目。国内外のIT資格を保有。NHKなど出演実績有り。