iPadを処分するときや売却するときは個人情報削除のために初期化が必要です。
また、iPadの調子が悪いときにも初期化が有効な場合もあります。
しかし、初期化したくてもパスワードを忘れてできない場合もあるでしょう。
この記事では
について解説していきます。
iPadの初期化にかかる時間は5分程度と簡単です。次のような場合には、iPadの初期化を行いましょう。
iPadの初期化は、譲渡や売却など自分の手元から離れるときには必須です。
iPadの中には、個人情報がたくさん含まれており、iPadを初期化しないで売却したり、他人に譲渡すると、個人情報が漏洩するリスクがあります。
たとえば、iPadにApplePayの情報を入れているとき、そのまま売却してしまうと他人にクレジットカード情報を盗まれる可能性も否定できません。
iPadを処分する場合は、初期化を必ず行いましょう。
またiPadが頻繁にフリーズする、重いなど不調な場合も初期化によって症状が改善する可能性もあります。
iPadを初期化する前の事前準備は以下のものがあります。
iPadを初期化すると、iPadにあるデータはすべて消去されます。
必要なデータや新しいiPadに移行したいデータは事前にバックアップを取りましょう。
iPadのバックアップを取る方法はパソコンを使う方法とiPadのみで行う方法があります。
それぞれの方法を紹介します。
【iCloudでバックアップを取る方法】
iCloudのバックアップをオンにしておけば、iPadが電源とWi-Fiに接続して、ロックされている時に毎日iPadのバックアップが自動で作成されます。
すぐにバックアップを取りたい場合は「今すぐバックアップ」をタップしましょう。
【Windowsパソコンでバックアップを取る方法】
バックアップの方法は以上です。バックアップが完了するまで時間がかかるため、しばらく待ちましょう。
【Macでバックアップを取る方法】
*FinderでiPadのバックアップを取るには、macOS10.15以降が必要です。それ以前のバージョンではiTunesを使用してiPadのバックアップを取りましょう。
【バックアップデータを暗号化する方法】
バックアップを取るときは、データの暗号化がおすすめです。
バックアップを暗号化する場合、ほぼすべてのデータをバックアップ可能。復元すると、ほぼ元通りの状態で復元されます。設定したパスワードを忘れないようにしましょう。
暗号化しない場合は、すぐにバックアップが取れるため一見便利ですが、Wi-Fiの設定やアプリの履歴などのバックアップが取れないなど、バックアップできる範囲が少なくなります。
暗号化されたバックアップは、データに鍵のアイコンが表示されます。
参考:iPadユーザガイド iPadのバックアップを作成する
iPadを探すをオフにしなければ、iPadにアクティベーションロックがかかり、解除するにはAppleIDとパスワードが必要になります。iPadを探すをオフにするには、AppleIDとパスワードが必要です。
【iPadを探すをオフにする方法】
参考:iPhone、iPad、iPod touch で「探す」を無効にする
アクティベーションロックとは盗難や紛失をしたときに第三者に情報が漏洩しないようにロックをかける機能です。
「iPhoneを探す」をオンにした状態でiPadを初期化するとアクティベーションロックがかかり、AppleIDとパスワードがなければ解除できません。
「iPadを探す」をオフの状態にすれば、アクティベーションロックはかからないため解除不要です。
iPadを初期化する前には、iPadからAppleIDをサインアウトします。
iOS13以降のサインアウトの手順は次の通りです。
以上でサインアウトは完了です。
ユーザ名に自分の名前が表示されず、「iPadにサインイン」と表示されていたらサインアウトは問題なく完了しています。
初期化して同じiPadを再び使う場合は、5.のサインアウトを押す前にコピーを残す項目にチェックを入れましょう。
参考:iPhone、iPad、iPod touch、Apple TV、Mac で iCloud からサインアウトする
iPadを初期化する方法を解説します。
デバイスが消去されるまでの時間は、約5分程度です。
参考:iPhone、iPad、iPod touch を初期化する (消去する) 方法
MacやWindowsパソコンを使い、iPad上のすべての設定やデータを削除できます。
iPadの設定を開けない場合などはパソコンを使って初期化しましょう。
まずは次のことを確認します。
パソコン内のiTunesが最新バージョンではない場合は初期化に失敗することがあります。
iTunesの自動同期がオンの場合、「自動同期」によってデータ消去や重複が起こるのでオフにしましょう。
パソコンにiPadを接続するとパスコードが必要になるので、事前に確認しておきましょう。
次にUSBケーブルを使いiPadとコンピュータを接続します。
iPadに「このコンピュータを信頼しますか?」と表示されたら「信頼」をタップします。
パソコンに「このコンピュータがこの iPhone/iPad 上の情報にアクセスするのを許可しますか?」と表示されたら「続ける」をクリックしましょう。
次の手順は、MacとWindowsでは異なります。それぞれ確認していきましょう。
【Macの場合】
【Windowsの場合】
iPadを初期化すると、工場出荷時の状態に戻されます。
AppleIDやパスコード、FACEIDなどの設定もすべて消去され、未設定の状態になります。
ただしiOSのバージョンは、工場出荷時のバージョンには戻らず、最新のバージョンのままになります。
消したくないデータは事前にバックアップを取りましょう。
iPadの「設定」アプリのリセットには、「リセット」と「すべてのコンテンツと設定を消去」の2つの項目があります。
2つの違いを表にまとめると、次のようになります。
iPadの設定に関する項目 | AppleID 写真 アプリ メールアカウント ファイル などiPad内のデータ全般 | |
---|---|---|
リセット | 消える | 消えない |
すべてのコンテンツと設定を消去 | 消える | 消える |
リセットは、iPadの設定をすべて工場出荷状態に戻すことで、リセットしても写真やファイル、AppleIDなどの個人情報は消えません。
すべてのコンテンツと設定を消去は、iPadに保存されたすべてのデータを消去し、工場出荷状態に戻します。
iPadの初期化は、どちらを選ぶべきか迷うこともあります。
下記を参考に、どちらかの方法でiPadを初期化しましょう。
初期化方法 | 状況 |
---|---|
リセット | ・iPadの設定が原因で不具合が起こっているとき ・iPadが重いとき |
すべてのコンテンツと設定を消去 | ・リセットしても不具合が直らないとき ・iPadを処分するとき |
「リセット」はWi-Fi設定や位置情報の設定、画面の明るさ、パスコード、アラーム設定などのユーザーが「設定」した項目が初期化されます。
iPadがフリーズするなどの不具合がある場合、リセットすると改善する場合があります。
写真やアプリなどのデータは残るので、データ消去せずに動きを改善したい場合におすすめの方法です。
ただしプロファイルが消えた場合は連絡先が消えてしまうことがありますので、念のためにバックアップを取りましょう。
リセットでは問題が解決しない場合に、「すべてのコンテンツと設定を消去」で初期化すると、改善する場合があります。
フリーズやクラッシュなどのiPadの不具合があるときに有効です。
iPadを処分する際にも、「すべてのコンテンツと設定を消去」を使い、完全にiPadのデータを消去しましょう。
ただし、データがすべて消去され工場出荷状態になるため、必要であれば事前にデータのバックアップを取る必要があります。
iPadには3種類のパスワードがあります。
パスワードの種類 | 概要 |
---|---|
パスコード | デバイスのロックを解除する4~6桁の数字のパスワード |
AppleIDとパスワード | アプリの取得などAppleのサービスを利用するためのIDとパスワード |
スクリーンタイム・パスコード | 機能を制限するためのパスワード |
この中で最も忘れるとやっかいなのは【パスコード】です。
AppleIDはAppleのサイトから登録時のメールアドレスなどを使うことで知ることができますが、端末のロックに使うパスコードは設定した本人以外はわかりません。
どうしてもパスコードが思い出せない場合は強制的に初期化し、パスコードを削除することになります。
iPhoneや別のiPadなどの他のiOSデバイスを持っている場合は、iCloudの「iPhoneを探す」機能(iOS 13以降は「探す」App)アプリを使い、遠隔操作でiPadのデータを消去できます。
パソコンがある場合は、iCloudのサイトにアクセスすると初期化できます。
ただし、パスコードが分からなくなったiPadの「iPadを探す」機能がオンになっていることが条件です。
「iPhoneを探す」でiPadを初期化する場合の手順は以下のとおりです。
【iPhoneやiPadの場合】
【パソコンの場合】
以上でiPadのデータが消去されます。
iPadがiTunesに同期している場合は、パソコンのiTunesを使いiPadを初期化し、パスコードを消去します。
いつもiTunesを利用している場合は、データ消去せずパスコードのみを消去可能。パソコンを使った初期化方法は、「iPadの初期化方法」の項目で解説した方法と同様です。
ただし、あらかじめiPadに以下を設定していることが必要です。
「USBアクセサリ」オンの設定がされていない場合、iTunesとの接続時にパスコードの入力を求められます。
「iPadを探す」がオフになっている場合は、パソコンでは初期化できませんので、リカバリーモードなど別の方法を試しましょう。
パスコードがわからない場合は、iPadのリカバリーモードを使い強制的に初期化します。
パソコンでiPadが認識されない、リカバリーモードですなどと表示される場合は、リカバリーモードを使う必要があります。
画面がフリーズした場合などに使う初期化の方法ですが、パスコードもリセットされるため、パスコードを忘れた場合にも有効な方法です。
ただし、iTunesをインストールしたパソコンが必要です。
【ホームボタンがあるiPadの場合】
【Face ID搭載のiPadの場合】
リカバリーモードが表示されたら、下記の手順で初期化します。
以上で初期化が完了します。
今回紹介した方法でもiPadが初期化できない場合はDFUモードを使って強制的に初期化する必要があります。
このDFUモードを使うにはパソコンが必須となるので、ない場合は誰かに借りるなどの対処が必要です。
DFUとはDevice Firmware Updateの略でiPadがどうしても初期化できないなどのトラブルの際に使う最後の手段です。
具体的にはiPadのソフトウェアやファームウェアを強制的に再インストールすることができるモードのことで、リカバリーモードでもダメなときはこの機能を使う必要が出てきます。
DFUモードには下記の注意点があります。
DFUモードは奥の手、裏技的な存在でApple公認の方法ではないため、使用したことが発覚するとAppleのサポートを受けることができなくなります。
DFUモードを使うとファームウェアの再インストールがなされるため、iPad内のデータは全て失われます。
DFUモードを使うと最悪の場合、iPadが使用不能になるリスクがあります。
あらゆる方法を試してもiPadが初期化できないということは何かしらの不具合が起きている可能性があるので、元に戻る保証はありません。
どうしてもダメな場合の最後の手段として使うことをおすすめします。
繰り返しになりますが、DFUモードはAppleのサポートを受けられなくなり、最悪使えなくなるリスクもある行為です。
しっかりと理解した上で実行するようにしましょう。
iPadの初期化したあとに、データをiPadに復元する方法を紹介します。あらかじめバックアップを取ったデータを新しいiPadへ移行しましょう。
【新しいiPadでバックアップから復元する方法】
【パソコンを使いバックアップから復元する方法】
バックアップを暗号化している場合は復元する前にパスワードを入力します。
iPadを買い替えた場合や初期化後のiPadにデータを復元すると、以前と同じようにiPadを使用できるようになります。
参考:iPadユーザガイド すべてのコンテンツをバックアップからiPadに復元する
監修者/前田 知伸
富士通を経て、リブート㈱代表取締役。パソコンリサイクル業15年目。国内外のIT資格を保有。NHKなど出演実績有り。