「Windows10が入ってるパソコンを初期化したいけど、手順がわからない」
「初期化する前に気を付けることってあるの?」
パソコンの初期化はそうそう行うものではないため、どういうシーンでやるべきなのか、どういう手順で初期化を実行すべきなのかという点について疑問を持っている方も多いと思います。
この記事では、Windowsパソコンにおける初期化に関して躓きがちな部分について詳しく解説していきます。
【この記事でわかること】
目次
パソコンの初期化とは、OSを含むパソコン内のすべてのファイルを消去し、「工場出荷時の状態」にすることです。
「リカバリー」や「再セットアップ」などとも呼ばれます。
なおWindows10の場合は、2つの方法があります。
こちらは本格的な初期化ではなく、簡易的な方法でのリカバリーを目指す方法となります。
「個人用ファイルを保持する」を選択した場合、インストールされているドライバやアプリなどのシステムファイルは削除されるものの、個人用ファイルは残ります。
個人用ファイルとは、自分で作成した動画やテキスト、Powerpointの資料やExcelデータといったファイルです。
また、ユーザーアカウント情報やライブラリ設定についても保持されます。
バックアップを取らずに済むという利点があるので、一時的な不具合を解消したいような場合は、まずこちらの初期化方法を試すのがよいでしょう。
一般的な初期化とは、こちらの方法のことを指します。
「個人用ファイルを保持する」での初期化で問題が解決しなかった場合や、すべてのデータを削除したい場合は、「すべて削除する」を選択してください。
こちらは文字通り、システムファイルだけでなく、自分が作成したファイルも含めてパソコン内のすべてのデータが削除されます。
「下取りに出す」・「他人へ譲渡する」といった場合はすべてのデータを消しておくべきなので、こちらの方法を選択してください。
なおパソコンの動作を軽くしたい場合でも、一度すべてのデータをクリーンアップした方がよいのでこちらの方法がおすすめです。
余談ではありますが、パソコンの初期化を行っても実際にデータが削除されるわけではありません。
通常の方法では閲覧できないような処理が為されるだけであり、パソコン内には一応データとして残っています。
一般の人が初期化されたデータを復元するのは困難ですが、特殊なツールを使うことでデータ復旧が可能となってしまうこともあるので、絶対に見られたくないデータがある場合は、専用のデータ消去用ソフトを使用した方がよいでしょう。
そうすることで、復元することが限りなく不可能な状態になります。
なお、100%確実にデータを復元できないようにするには、HDDやSSDを物理的に破壊するしかありません。
パソコンの初期化が必要となるのは、主に以下のような場面です。
こういった不具合が発生した際に、どんな対処法を施しても症状が改善しない場合は、一度パソコンを初期化してみるという方法で解決することがあります。
起動の問題や動作異常は、ソフトウェアの不具合によって発生することが多いためです。
パソコンが立ち上がらない!起動しない原因と黒い画面になった時の対処法>>
初期化によってシステムファイルやデータをすべて削除してしまうことで、不具合の元となっているファイルが消え、OSの再インストール後には正常な状態に戻る可能性があります。
しかし、少々の不具合で安易に実行してしまうのは避けた方がよいです。
初期化前のバックアップ作業は非常に面倒ですし、バックアップ漏れによって重要なデータを失う可能性もありますので、他に手段がないという場合にのみ行うようにしてください。
使わなくなったパソコンを中古ショップに下取りに出す前には、必ず初期化しておくようにしましょう。
「こちらは客なのだから、データを悪用するようなことはないだろう」という考え方は危険です。
また、故意でなかったとしても人為的な不手際で情報が漏洩してしまうこともあります。
パソコンには、個人的な情報がたくさん詰まっています。
そこには、たとえどんなに親しい人であろうと知られたくない情報もあるはずです。
従って、パソコンを友人や知人にあげたり売ったりする前にも、初期化してすべてのデータを消しておくべきでしょう。
パソコンの初期化には、以下のようなメリットが存在します。
初期化によってデータを全削除してもパソコン内から完全に消去されるわけではありませんが、よほど専門的な知識を持っている人でもない限り閲覧することができなくなります。
知られたくない情報やパスワードなどの重要なデータを他人に見られなくなることで、大事な情報の流出が防げるというのは大きなメリットでしょう。
何らかのファイルが原因でシステムトラブルを起こしている場合、初期化することで不具合を解消できることがあります。
必ず直るわけではありませんが、HDDやマザーボードの破損といったハードウェアの問題でなければ回復することが多いです。
自然界のウイルス同様、コンピュータ・ウイルスも単独では存在できず、何かのファイルに感染することで活動することができます。
従って、ファイルをすべて削除してしまうことで、ウイルスもパソコン内から一掃することが可能となります。
日々パソコンを使い続けていると、段々と不要なデータが蓄積していき、一つ一つの処理に負荷がかかるようになってきます。
デフラグやキャッシュの削除によって多少は改善しますが、完全ではありません。
しかし、初期化を行うと工場出荷時の状態となるため、パソコン購入時のような処理速度を取り戻すことができます。
パソコンの初期化は、メリットばかりではありません。
以下のようなデメリットがあることも覚えておきましょう。
Windows10の場合、個人で作成したファイルを残すこともできますが、初期化といえば普通は「すべてのデータが削除されること」が前提です。
よって、実行前には必ずデータをすべてバックアップしておかなければなりません。
ファイル数が多い場合はバックアップがかなり面倒な上、もしコピーのし忘れなどがあれば大事なデータを失ってしまうことになります。
初期化は非常に重い作業のため、数時間程度かかることは当たり前で、環境やスペックによっては半日以上かかってしまうことも珍しくありません。
初期化中は一切パソコンを使用することができないため、仕事や趣味で頻繁にパソコンを使う人にとっては、大変なストレスになるでしょう。
下取りや他人への譲渡のために初期化したのならよいですが、今後も自分で使うことを考えている場合は、これまで使っていたソフトの再インストールやカスタマイズを最初からやり直さなければなりません。
またソフトの再インストールについては、ダウンロードするタイプならば問題ありませんが、ディスクからインストールするタイプですと購入時の状態であるため、インストール後にいちいちアップデートしていかなければならないという手間も加わります。
パソコンの初期化前には、必ず以下についての確認を行ってください。
パソコンの初期化には、前述のようなデメリットもあるため、あくまで最終手段として用いるべきです。
従って、まずは他に方法がないか模索してみてください。
代表的な方法としては以下の通りです。
特にHDD搭載のパソコンの場合は、HDDに物理的な不具合がないかを確かめることが重要です。
わかりやすい症状の代表格が「異音」です。
HDDから変な音が聞こえるようならば物理的な異常が発生している可能性が高く、この場合はパソコンを初期化しても症状が改善することはないので注意が必要です。
初期化しか方法がないと判断した場合は、必ずデータのバックアップを取ってください。
すべてのデータが消えてしまうため、一度初期化を行ってしまうと自力でデータを取り出すことができなくなってしまいます。
専門業者に依頼すればデータを復旧できることもありますが、確実ではありません。
また、データのコピーだけでなく、各種設定の内容やパスワードに関してもしっかりメモしておきましょう。
バッテリー内臓タイプのパソコンの場合、ACアダプタに繋いでいなくてもしばらくは使用できますが、初期化を行う際は必ずACアダプタに繋いだ状態にしておいてください。
初期化には多量の電力と時間を必要とするため、バッテリーの電力だけでは不足する可能性が高いです。
処理中に電源が落ちると、予期しない不具合を誘発する原因になってしまいます。
パソコンには、マウスやキーボード、外付けHDD、プリンター、スピーカー、USBメモリなど、多数の周辺機器が接続されていることも多いです。
しかし、こういった周辺機器をすべて接続した状態で初期化を行うと、デバイスドライバー関連のトラブルが発生してしまう可能性があります。
マウスとキーボード以外はすべて取り外しておくようにしましょう。
マイクロソフト公式である「Windows Defender」以外のセキュリティソフトが入っていると、初期化がうまく進まないことがあります。
一度アンインストールし、初期化完了後に再度インストールするようにしてください。
ここでは、現在のWindowsパソコンの中で最も一般的である「Windows10」の初期化方法について解説します。
参考:Windows の回復オプション | Microsoft
簡素な初期化方法である「個人用ファイルを保持する」の手順は以下の通りです。
一般的な初期化方法である「すべて削除する」の手順は以下の通りです。
なお、「4.」までは個人ファイルを保持する場合と同様の手順となります。
なお、パソコンの高速化のためにドライブクリーニングも行う際は、「7.」で表示される画面で「設定を変更」をクリックし、ドライブのクリーニングを有効にしてください。
上記の解説は、起動自体には問題がない場合の方法ですが、パソコンが正常に起動しない状態で初期化を行いたい場合もあるでしょう。
パソコンが起動しないパターンはいくつもありますが、最終的に「回復」画面が表示されることが多いです。
その際は、以下の手順で作業を行ってください。
以上、Windows10が搭載されたパソコンの初期化方法について解説しました。
システム的な不良であれば、初期化によって回復することも多いので、是非試してみてください。
ただし、時間も手間もかかるので、以下についての確認をしっかり行ってからにすべきです。
監修者/前田 知伸
富士通を経て、リブート㈱代表取締役。パソコンリサイクル業15年目。国内外のIT資格を保有。NHKなど出演実績有り。