SSDは、パソコンの内部記録媒体としてHDDの代わりに使われることが多くなってきました。HDDよりも書き込みのスピードが速く、小型で軽量、衝撃に強いなどのメリットがあります。そのため、導入するケースが多くなってきました。
しかし、衝撃に強いSSDでもデータが消えてしまうなどのトラブルをなくすことはできません。そこで今回は、SSDが故障する原因やデータを復旧させるための方法、専門業者にデータの復旧を依頼する方法などを解説していきます。
目次
SSDが故障する原因は、大きく分けると論理的障害と物理的障害の2種類があります。どのような原因なのか解説していきましょう。
論理的障害は、SSDに保存されているデータの破損によって起きる障害です。SSDをフォーマットする操作を誤って行ったり、必要なデータをうっかり消してしまったりなどの誤操作も論理的障害の原因として挙げられます。また、OSに不具合が生じたことによる影響で、SSDの内部にあるデータが破損してしまうケースも考えられるでしょう。
OSは、パソコンの司令塔のような役割を担っている部分です。起動に必要なブートシステムも格納されています。OSが正常に機能していないと、パソコン自体も正常に起動できません。
ブルースクリーンが表示される場合もあります。パソコンを起動したときにブルースクリーンになってしまう場合は、OSが正常に機能していない可能性を疑いましょう。
システムファイルは、データを管理する本棚のような場所です。パソコンの起動に関わる情報も含まれています。システムファイルに異常が生じて引き起こされるのは、保存してあるデータの位置情報が壊れてしまうので、どこに何があるのかわからなくなってしまうなどのトラブルです。
少しでもおかしいと感じたら、障害が悪化する前に電源を落としてください。再起動も行わないようにしましょう。そして、データの復旧を専門的に行っている業者に相談してみてください。
物理的障害は、その名のとおりパソコン自体が破損していることを指します。HDDと比較するとSSDが破損するケースは少ないですが、破損しないわけではありません。破損の原因として多く見られるのは、静電気によって引き起こされるショートや書き込み回数の上限などです。
複数のSSDで構成されているパソコンの場合は、1つ破損するだけですべて使えなくなってしまうこともあります。そのため、静電気くらい大丈夫だろうと侮るのは禁物です。
物理的な障害による不具合を復旧する技術はまだそこまで進んでいないため、復旧できる業者も多くありません。データ復旧を依頼する業者探しに苦労してしまう可能性があります。
ファームウェアは、SSDのコントローラーにある物理的な動きを制御するプログラムです。ファームウェアが故障してしまうと、物理的障害が生じてしまうので使えなくなってしまうでしょう。障害が発生する原因には、パソコンの強制終了や経年劣化が挙げられます。
ファームウェアは年々進化しており、複雑化しています。そのため、障害が起こっても対応できない業者もあるので注意してください。データを取り戻したい場合は、物理的障害の復旧実績がある業者に相談しましょう。
SSDには書き込みの上限回数が設定されています。上限を超えてしまうと、突然動かなくなってしまうので注意しなければいけません。しかし、HDDのように異音が鳴ることはないので、予兆に気付きにくいです。
障害が起こる前に対処するには、OS関連のファイル書き換え頻度が低く、代替の効くデータをSSDに保存するようにしましょう。書き換え頻度が高いファイルはHDDに保存するのがおすすめです。
SSDに保存したデータは、自分で復旧できる場合もあります。続いては、自分でSSDに保存したデータを修復する方法をご紹介します。
SSDを誤ってフォーマットした場合やSSDのデータを誤って消してしまった場合は、データ復旧用ソフトで対応できる可能性が高いです。しかし、SSDの記憶容量を確保するためにデータの自動削除を行うコマンド・Trimが有効になっている場合は、復旧が難しくなる可能性も考えられます。
基本的には自分でやろうと思えばできますが、成功するとは言い切れません。データ復旧ソフトを使ったからと言って復旧できるとは限らないことを念頭に置いておきましょう。
SSDの復旧に使えるソフトにはいくつか種類があるので、状況に合わせたものを選んでください。無料で使えるソフトはファイル破損など簡単な症状だけに対応できます。利用料金が1万円ほどの有料ソフトであればフリーソフトより復旧性能が高いです。
物理的な障害やファームウェアの障害が発生してしまった場合は、データ復旧ソフトを使っても対応が難しいと考えられます。ソフトを使って復旧できても、データを元どおりに復元できるとは限りません。
そのようなケースでSSDのデータを復旧したいのであれば、専門業者に依頼するのが無難です。SSDのデータ復旧専門業者なら、自力で復旧しようとする場合よりも幅広い状況に対応できます。ただし、障害の原因や状況によっては、復旧が難しい場合もあるので過信はしないようにしてください。
データ復旧ソフトの利用手順は以下のとおりです。
1.SSDのデータ復旧ができるソフトを選定する
2.パソコンにデータ復旧ソフトをインストールする
3.SSDのスキャンを行い、復元可能なデータを探す
4.データを復元したいファイルを選ぶ
5.データ復元ボタンをクリックする
6.データの復元が完了するまで待機する
データ復旧ソフトによって認識されたSSDは、復旧できる可能性が高いものになります。認識したデータから復旧したいものを選び、復元をソフトにお任せするだけなので簡単です。SSDのデータ破損や誤操作によって削除されたデータの復旧ならソフトでできる可能性が高いですが、データの容量が大きいと復旧作業に時間がかかる場合もあります。
SSDの復旧作業中に注意すべき点も把握しておく必要があります。
・電源の入り切りや再起動、通電の継続はしない
SSDはHDDよりも繊細な精密機器なので、より気を使って作業しなければいけません。内臓でも外付けでもトラブルが起こったら、まずは電源を切るようにしましょう。電源の入り切りを繰り返したり、再起動を行ったりすると、データの消失につながる可能性があります。
電源が入っていて通電されている状態だと、バックグラウンドでシステムが動いているので、状況を悪化させるリスクが高まってしまうので要注意です。SSD内のデータを守りたいなら、まず電源を切るのは鉄則だと覚えておきましょう。
・フォーマットをしない
SSDが認識できなくなってしまうと、「フォーマットする必要があります」などのエラーが出るケースもあります。焦って「はい」を押したくなってしまうかもしれませんが、押してはいけません。フォーマットしてしまうと、工場出荷時の状態に戻るため、中のデータがすべて消えてしまうためです。
・内蔵されているSSDを取り出す
パソコンに内蔵されているSSDなどの機器を個人で取り出すリスクは大きいです。状態を悪化させてしまうだけではなく、メーカーの保証も外れてしまいます。通電するだけでも新たなトラブルに発展しかねないので、ほかのパソコンにつないでみるなどの行為は危険です。
・分解しない
SSDは多くのパーツで構成されています。パソコン自体にも言えますが、クリーンルーム環境外での分解は避けるようにしましょう。小さなほこりなどが付着するだけでも大きなトラブルにつながる可能性があります。
また、精密機器なので分解して状況が悪化する可能性もないとは言い切れません。しかし分解してしまうと、メーカーの保証対象外となってしまうので諦めるしかなくなります。何とか自分で復旧したいなら、プロに相談した上で進めるのが無難です。
・無理に自力で復旧作業を行わない
SSDの復旧作業は、取り扱っていない業者もあるほど繊細で難しいです。ハイレベルな技術が必要になります。そのため、自分で復旧作業を進めようとしたり、いつものようにパソコンを使ったりすると、逆効果になってしまう可能性も考えられるでしょう。
SSDの復旧で少しでも対応を間違えてしまうと、取り返しがつかない状況になる恐れもあります。何らかのトラブルが起こると慌ててしまいますが、落ち着いて対応するようにしてください。自分自身での復旧を考えたときは、プロに相談した上で作業を進めると後悔するリスクも回避しやすいでしょう。
自力での復旧はリスクもあるので、できればプロにお願いしたいと考えるケースも少なくありません。業者に依頼する場合は、ホームページなどにあるお問い合わせフォームや電話番号から問い合わせてみてください。専門業者に依頼すると得られるメリットもあるので、依頼する価値は大いにあります。
最後に、専門業者にSSDデータの復旧を依頼するメリットや、専門業者を選ぶ際のポイントを解説するので参考にしてみてください。
専門業者にSSDデータの復旧を依頼するメリットには、以下のような点が挙げられます。
・SSDの復元を行うための環境が整っている
専門業者であれば、データを復旧するための専門的な設備が整っています。また、専門的な技術を持つスタッフも在籍しているので、SSDの復元に精通したサービスを提供していることになるでしょう。
・料金保証がある
SSDのデータ復旧を行っている専門業者では、復旧に成功したデータだけに料金がかかるなどの保証を行っているケースが多いです。ただし、中には悪質な業者もあり、法外な金額を請求される可能性もゼロではないので注意しなければいけません。
・無料サービスが充実している
無料診断を行っている業者も多く見られます。専門的な技術を持つスタッフが、SSDの症状をチェックし、原因を診断してくれるものです。どのような対応が必要なのか、などのアドバイスもしてもらえます。
SSDのデータ復旧を行っている専門業者はいくつもあります。その中でどこに依頼すべきか迷ってしまうケースも少なくありません。
迷わないようにするには、専門業者を選ぶ際のポイントを把握しておくことが重要です。専門業者を選ぶ際のポイントには、以下のような点が挙げられます。
・高度な技術力を有しているか
SSDの復旧には、高度な技術が必要です。そのため、依頼先の業者もハイレベルな技術を持つスタッフが在籍している必要があります。独自技術やAI技術を持っている場合も、適切な対応をしてもらえる可能性が高いです。
・復旧料金をホームページで確認できるか
いくらくらいかかるのか、依頼するときは気になるでしょう。ホームページをチェックしたときに料金が記載されている業者なら、安心して相談できます。しかし書かれていない場合は、そのときの言い値になってしまい、適正な価格なのか判断が難しくなってしまうので要注意です。
・復旧にはどのくらい時間がかかるか
復旧にかかる時間がどの程度か、気になる方もいるでしょう。復旧にかかる時間は、問い合わせをする際に確認すべきポイントです。曖昧にされてしまう場合などはそこまで実績がない可能性も考えられます。
・情報の管理を徹底しているか
SSDもパソコンの一部で、大切な情報が入っているケースも多いです。そのため、情報管理を徹底している業者に依頼した方が安心でしょう。守秘義務やセキュリティ管理を徹底的に行っている業者への依頼がおすすめです。
・クリーンルームが整っているか
SSDの復旧作業を行うには、クリーンルームなど適切な設備が必要です。適切な設備がなければ、自宅で作業するのと何ら変わりません。トラブルのリスクを軽減するためにも、クリーンルームなどの設備が整っている業者に依頼しましょう。
・復旧事例や実績はあるか
過去の復旧事例や実績も依頼前に確認すべきポイントです。実績がある業者であれば、安心して依頼できます。しかし、過去の事例や実績を公開していないと、本当に安心できる業者なのかわかりません。
大切なデータを適切に復旧してもらうには、過去の実績なども確認しておきましょう。そして、実績が豊富な業者を選ぶようにしてください。
SSDの復旧作業は、適切な手順を把握していれば自分でもできます。しかし、繊細なので静電気などでダメージを与えないように細心の注意を払わなければいけません。注意点などを把握した上で作業を進めるようにしましょう。
自分での作業に少しでも不安がある場合は、業者に依頼するのが無難です。業者に依頼するときは、専門業者を選ぶ際のポイントを参考にしてみてください。
監修者/前田 知伸
富士通を経て、リブート㈱代表取締役。パソコンリサイクル業15年目。国内外のIT資格を保有。NHKなど出演実績有り。