「Macを初期化する方法がわからない」
「初期化前にどんな準備が必要なの?」
何らかの事情でMacを初期化する必要が出てきた際に、上記のような疑問を抱く方も多いと思われます。
Macの初期化はあまり一般的な作業ではないので、具体的にどのような流れで行えばよいのかわからないというのは当然のことでしょう。
そこでこの記事では、Macを初期化する場合に必要な作業について詳しく解説していきます。
【この記事でわかること】
目次
Macの初期化とは、Mac内にあるすべてのデータ・アプリの削除や、各種設定の消去を行い、工場出荷時の状態に戻すことです。
初期化を行うことで本体内が綺麗な状態となるため、情報漏洩の危険がなくなることはもちろん、不具合の解消やMacの動作を軽くするといった効果にも期待できます。
しかしリスクもあるため、安易に初期化という方法を選択することはおすすめできません。
あくまで最後の手段であり、どうしても初期化するしかない、という場面でのみ行うようにしてください。
Macの初期化は、主に以下のような時に行うのが一般的です。
ハードウェア的には問題ないものの、Mac内で重大なシステムトラブル等が発生し、まともにMacが動作しなくなった時には、初期化によって直ることが多いです。
システムトラブルは、ウイルス感染など外的要因だけではなく、通常使用を続けていた場合でも起こってしまうことがあります。
初期化することで不具合の原因をごっそりと消去し、まっさらな状態に戻すことができるため、再び今まで通りにMacを使用できるようになります。
ただ、初期化は非常に重い作業であるためMac本体への負荷がかかりますし、バックアップ作業も面倒であることから、もう初期化以外に手段がないというトラブル時のみ行うようにしてください。
パソコンは個人情報の宝庫です。
データが残ったまま他人へパソコンを譲渡してしまうと、各種パスワードや知られたくない個人的な秘密などがばれ、漏洩してしまう可能性があります。
仮に信頼する人へ譲渡する場合であっても、Macを譲渡する時は必ず初期化してデータをすべて消しておくべきでしょう。
Macを下取りに出す場合も、初期化はしておくべきです。
「相手は専門業者だから安心だ」と考える方も多いかもしれませんが、充分なデータ消去が行われないまま中古Macとして販売されてしまう可能性もゼロではありません。
まともな業者の場合、こうしたいい加減な対応をすることはまず考えられませんが、何があるかはわからないので念には念を入れて初期化しておく方がよいでしょう。
Macの初期化をする前に、いくつか準備しておかなければならないことがあります。
以下にて、初期化前の事前準備について詳しく解説していきます。
Macの初期化準備をするためには、ネットに繋がっている必要があります。
各種アプリからのサインアウトや、バックアップを行うためです。
初期化準備作業は、なるべくネットの繋がりやすい場所で行うようにしてください。
ベストなのは、有線LANを繋いで作業することです。
初期化を行うとすべてのデータが消えてしまいますので、バックアップを取っておくことは非常に重要です。
iCloudかTime Machineを使ってデータをすべてバックアップしておきましょう。
どちらの方法でバックアップを取るかですが、クラウド環境でバックアップを取りたい場合はiCloud、ローカル環境でバックアップを取りたい場合はTime Machine、という形で選択するとよいです。
上記の通り作業すれば、チェックを入れた項目のファイルがiCloud上に保存されます。
まず、バックアップ用の外付けHDDを用意してください。
フォーマットの必要があるかもしれないので、この外付けHDDは何のデータも入っていない状態にしておくべきです。
「6.」の「ディスクを消去する」というメッセージは、外付けHDDがTime Machineでのバックアップに必要なフォーマットになっていない時に出るメッセージです。
バックアップに適したフォーマットにするため、「消去」を選択してください。
ただし、「消去」を選択した場合はHDD内に残っているデータがすべて消えてしまうので、HDD内に必要なデータが残っている場合は一旦作業を中断してデータを退避させてください。
参考:Time Machine で Mac をバックアップする – Apple サポート (日本)
初期化前には、iCloudからサインアウトしておく必要があります。
サインアウトすると、iCloud上に保存されているすべてのデータがMac内から一旦削除されますが、iCloud上にはそのまま残っていますので心配は無用です。
再びサインインすれば、iCloud上のデータをMacに取り込むことができます。
iCloudのサインアウト手順は以下の通りです。
なおiCloudからのサインアウト方法は、Apple製品ごとに異なります。
参考:iPhone、iPad、iPod touch、Apple TV、Mac で iCloud からサインアウトする – Apple サポート (日本)
初期化前には、「Macを探す」もオフにしておきます。
ただし、Mac初期化後も自分が使い続ける場合はこの作業は必要ありません。
iTunesからもサインアウトしておきます。
ただし、Mac初期化後も自分が使い続ける場合はこの作業は必要ありません。
サインアウト手順は以下の通りです。
iMessageからもサインアウトしておきます。
ただし、Mac初期化後も自分が使い続ける場合はこの作業は必要ありません。
マウスやキーボード、スピーカーといったデバイスをBluetoothでペアリングしている場合は、そのペアリングも解除しておきます。
ここでペアリングの解除を忘れたまま初期化してしまうと、再びペアリングする時にデバイスごとにひとつずつ設定していかなければならなくなるので、非常に面倒です。
Bluetoothのペアリング解除手順は以下の通りです。
初期化前には、NVRAMのリセットを行います。
ただし、初期化するMacが「Appleシリコン搭載のMac」ならば以下の作業は必要ありません。
初期化作業は非常に時間がかかるものであり、ネット環境やMacのスペックによっては半日以上かかってしまうこともあります。
そのため、途中でバッテリー切れにならないよう、ACアダプダを繋いで充電した状態で作業を行うようにしてください。
上記の初期化準備が完了したら、いよいよ初期化に取り掛かります。
Macの初期化方法は以下の通りです。
参考:Mac を売却、譲渡、下取りに出す前にやっておくべきこと – Apple サポート (日本)
初期化作業は、ネットに繋げた状態で行います。
無線LANを使用している場合は、なるべく電波の強いところで作業を行ってください。
理想は、有線LANを繋いで作業することです。
ネット環境に問題がないことを確認できたら、Macを再起動します。
再起動してからすぐに「command」+「R」キーを長押しして、Appleロゴが表示されるまで待つと、macOS復旧画面が出現します。
もしユーザー選択画面が表示されたら、必ず管理者権限でログインするようにしてください。
その後、ユーティリティウインドウで「ディスクユーティリティ」を選択し、「続ける」をクリックします。
ディスクユーティリティのサイドバーに表示されている「Macintosh HD」を選択します。
ツールバーにある「消去」をクリックし、必要な情報を入力します。
名前:Macintosh HD
フォーマット:APFS または MacOS拡張(ジャーナリング)
フォーマットに関しては、どちらにすべきかをディスクユーティリティが推奨してくれます。
そして「消去」ボタンをクリックすると、データの消去が始まります。
なお、入力画面が表示されたら、Apple IDを入力します。
データ消去が完了したら、サイドバーで他の内蔵ボリュームを選択し、ツールバーのボリュームの削除ボタンをクリックして選択したボリュームを削除します。
内臓ボリュームの消去が完了したら、ディスクユーティリティを終了してユーティリティウインドウに戻り、「macOSを再インストール」を選択して、「続ける」をクリックします。
使用許諾画面が表示されるので、それに同意して先へ進みます。
macOSのインストール先を尋ねられるので、「Macintosh HD」を選択して「続ける」をクリックします。
macOSのインストールが始まるので、完了するまで何も操作せずに待ちます。
その際、スリープ状態にしたり、Macを閉じたりはせず、そのままにしておいてください。
Macが何度か再起動して進行状況を示すバーが表示されたり、一見動いているのかどうかわからない状態になることもありますが、気にせず放置してください。
完了までには数時間を要することが多いです。
ネット環境やスペックによって、インストールにかかる時間は大きく変わってきます。
待ち続けた結果、Macの初期設定画面が表示されれば、無事インストール完了となります。
引き続き自分でMacを使用する場合は、そのまま初期設定を行ってください。
Macを他人に譲渡したり下取りに出したりする場合は、設定を終わらせずに「command + Q」キーを押して設定アシスタントを終了させ、「システム終了」をクリックします。
こうすることで、次に使う人がMacを起動した際に、自由に初期設定を行うことができます。
様々な原因で、Macの初期化作業がうまく進まないこともあります。
主に、以下のような原因が考えられます。
併せて、原因別の対処法も紹介していきます。
初期化作業にはネット環境が必須です。
無線LANを使っている場合は接続が不安定になりやすく、OSのインストールなどがうまくできないことも考えられます。
初期化を行う際は、なるべく有線LANを使用しましょう。
何らかの不具合で、ディスクユーティリティに「Macintosh HD」が表示されない場合があります。
「Macintosh HD」がない状態では初期化を進められません。
もし「Macintosh HD」が表示されない場合は、Appleメニュー(リンゴのマーク)⇒「システム終了」の順に進み、必須ではないデバイスをすべてMacから外して再起動してからもう一度やり直してみてください。
再起動してからすぐに「command」+「R」キーを長押しし、Appleロゴが表示されるまで待つとmacOS復旧画面が出現するのですが、なかなか出現しないこともあります。
これは、「command」+「R」キーを押すタイミングが遅いのが原因であることが多いです。
電源が入ったと思ったらすぐに「command」+「R」キーを押すようにしてください。
長期間に渡ってMacを使っていない場合、タイムゾーンがずれてしまうことがあります。
タイムゾーンがずれていると、初期化しようとした際に「インストールアプリケーションを検証できません」といったメッセージが出やすいです。
タイムゾーンを正しく修正する方法は以下の通りです。
画面左下に鍵マークがある場合は、鍵マークをクリックしてAppleパスワードを入力し、ロックを解除してからタイムゾーンを修正してください。
Macのバージョンによっては、「日付と時刻を自動的に設定」という項目にチェックを入れるだけで正しいタイムゾーンが設定されることもあります。
初期化は、管理者権限でログインしていないと行うことができません。
何かの勘違いで、ゲストユーザーアカウントを使ってログインしていないかどうかを確認してみてください。
ここでは、Macを初期化する際に注意すべきポイントを2つご紹介します。
手順を誤ると最悪の場合パソコンが故障してしまうリスクもあるため、作業前に必ず確認しておきましょう。
Macを初期化する際は、通信環境が安定した状態で作業を行いましょう。
初期化の途中でインターネット接続が切断されてしまった場合、作業が正常に完了しなかったり、本体の故障を引き起こしたりするリスクがあります。
初期化を行う前に、インターネット環境を見直すようにしてください。
Wi-Fiで接続している場合、有線に切り替えると比較点通信が安定しやすくなるためおすすめです。
Macの初期化は、パソコン本体を充電器に接続した状態で行うことをおすすめします。
初期化は最長1日近くかかる場合があるため、途中で充電がなくなってしまうケースが少なくありません。
バッテリー切れによって初期化が中断されてしまうとエラーが生じる恐れがありますので、充電残量には十分注意して作業を行ってください。
本体の不具合によって仕方なくMacを初期化した場合、データだけでも復元させたいと考える方は多いのではないでしょうか。
初期化によって削除されたデータは、専用のファイル復元ソフトによって復元することが可能です。
ファイル復元ソフトにはさまざまな種類がありますが、Macに対応しているものを選びましょう。
ただし、ハードディスクが故障しているとデータを復元できないことがあるため注意してください。
初期化作業自体は、いざ始まってしまえば画面の指示に従って進んでいくだけというパートがほとんどですのであまり難しくはありません。
しかし、事前にやっておくことが多いので注意が必要です。
こうした事前準備を怠ると、初期化に失敗したり、初期化成功後に苦労したりすることがありますので、くれぐれも気を付けてください。
なお、廃棄のためにMacを初期化するということもあるでしょう。
パソコンの廃棄には面倒な手順を踏まなければならないことも多いですが、「パソコン廃棄.com」ならば簡単に廃棄することができます。
費用がかからず事前のやり取りも一切不要で、ただ壊れたMacを梱包してパソコン廃棄.comに送るだけで、無料廃棄が完了します。
監修者/前田 知伸
富士通を経て、リブート㈱代表取締役。パソコンリサイクル業15年目。国内外のIT資格を保有。NHKなど出演実績有り。