「最近、パソコンの動きが重い」
「急にシャットダウンしたりフリーズしたりすることが増えた」
このような症状にお悩みの方はいらっしゃらないでしょうか?
パソコンは消耗品のため、使えば使うほど劣化してしまうことは避けられませんが、まだそれほど使用していないのに上記のような症状が出てしまった場合には、解決する方法があります。
それが、HDD(ハードディスク)の初期化です。
そこでこの記事では、HDDの初期化が有効なケースや、Windowsの各バージョンごとのHDD初期化手順、HDDを初期化する際に注意すべきことについて詳しく解説していきます。
【この記事でわかること】
HDDの初期化とは、インストールされているすべてのソフトや、これまで作成してきたデータを削除し、工場出荷時の状態に戻すことです。
初期化は、主に以下のような時に行います。
パソコンの動作が重くなる理由には、主に以下のようなものがあります。
動作の遅さに困っている場合は、まずHDDの空き容量を増やしてみましょう。
空き容量が少ない場合、作業領域が減ってしまい、パソコンの動作が遅くなってしまいます。
なお、充分な空き容量を作っても改善しないようならば、HDD自体に何らかの原因がある可能性が高まります。
ただし経年劣化の場合は、初期化しても症状が改善する可能性は低いでしょう。
HDDの性能自体が衰えているので、システムファイルやデータといった中身をすべて入れ替えても効果はほとんど期待できません。
この場合は、古いHDDを新しいHDDやSSDに交換するしかありません。
なお、ウイルス感染やシステムファイルの不具合については後述します。
いきなりシャットダウンしてしまったり、頻繁にフリーズしたりするようになったパソコンのHDDには、何らかの異常が発生していることが疑われます。
こういった場合に、初期化は大変有効です。
初期化することで、不具合の原因となっているファイルを削除し、新たにOSやソフトウェアのシステムファイルをインストールすることになるため、中身を綺麗にすることができるのです。
経年劣化ではなく、まだ使用し始めてそれほど期間が経っていないような新しいHDDの場合には、是非初期化を試してください。
長くパソコンを使っていると、誤って重要なシステムファイルを削除してしまった、というようなこともあるでしょう。
また、パソコンを通常使用していても、重要ファイルが損傷してしまうこともあり得ます。
そして、パソコンの起動や操作に影響するファイルが無くなったり壊れたりすると、あらゆる不具合が起こりやすくなります。
こういったケースでも、初期化を試す価値があります。
ウイルス感染によってパソコンが動かなくなってしまったり、動きが不安定になったりした時にも、初期化は有効です。
コンピュータウイルスには様々な種類があります。
情報を盗み取るもの、そのパソコンを「ウイルスをバラまく媒体」にしてしまうもの、単にパソコンに悪影響を及ぼすもの、などです。
いずれにせよ、パソコンの動作に何かしらの影響が出る可能性が高いため、怪しいサイトを訪問したり、見知らぬ相手からのメールに添付されたファイルを開いてしまったりした後にパソコンの動きがおかしくなったら、ウイルス感染を疑ってみるべきでしょう。
ウイルスを完全に排除するためには、ウイルスが入り込んでいるHDDを初期化してしまうのが一番です。
なおパソコンが完全に動かない場合は、セーフモードでの立ち上げを試し、そこで立ち上がれば、セーフモードで初期化を実行してください。
参照:Windows で PC をセーフ モードで起動する | Microsoft
誰かにパソコンを譲渡したり、中古ショップに売ったり、パソコンを廃棄したりする場合も、HDDの初期化は必要です。
HDD内には、個人情報が多く含まれているはずです。
もし、その残っている情報を悪用するような人間の手にパソコンが渡ってしまえば、どのような被害に遭うかわかりません。
したがって、何らかの形でパソコンを手放す時には、必ずHDDの初期化を行ってデータを消しておきましょう。
この項目では、WindowsパソコンにおけるHDDの初期化方法について解説していきます。
OSのバージョンごとに多少手順が違いますので、それぞれのOSごとに手順を紹介します。
Windows7の場合、メーカーや機種によって初期化の手順が異なります。
一例として、「VAIO」での初期化方法を紹介します。
以上で初期化作業は完了となります。
Windowsが数回再起動した後、Windowsセットアップ画面が表示されるので、指示通りに進めていってください。
参照:[Windows 7] リカバリー(再セットアップ・初期化)を行う方法 | VAIO
なおWindows7においては、以下のような初期化方法もあります。
Windows7の初期化方法は?注意点や初期化できない際の対処法も解説>>
Windows8.1の場合も、メーカーによって多少手順が異なる場合がありますが、概ね同じような手順となります。
Windows8.1での初期化手順は以下の通りです。
これでWindows8.1における初期化作業は完了です。
初期化完了後は、自動で再起動が行われます。
参照:Windows 8.1で「PCのリセット」を行う方法 | NEC LAVIE公式サイト
Windows8/8.1の初期化方法を解説!初期化できないときの対処法も紹介>>
Window10と11は、初期化手順がほぼ同じとなっています。
Window10/11で初期化を行う際は、まず「個人用ファイルを保持する」か「すべてを削除する」かのどちらかで初期化を行うことになります。
前者は簡易的な初期化で、システムファイルのみを削除するという方法です。
後者がいわゆる一般的な初期化であり、システムファイルを含むすべてのファイルを削除する方法です。
パソコンの不具合を修正したい場合は「個人用ファイルを保持する」を選択し、他人へパソコンを譲渡する場合は「すべてを削除する」を選択するとよいでしょう。
以下に、それぞれの方法での初期化手順について解説していきます。
参照:Windows の回復オプション | Microsoft
【Windowsパソコンの初期化方法】手順や注意点をわかりやすく解説>>
あとは、初期化が終わるまで電源を切らずに待っていてください。
「個人用ファイルを保持する」の場合は、作業完了までにそれほど時間はかかりません。
以降は、初期化が完了するまで電源を切らずに待ってください。
なお、ドライブクリーニングも実施したい場合は、「4.」の画面で表示される「設定を変更」をクリックすれば、ドライブのクリーニングも行なわれます。
パソコンを高速化したい場合に有効です。
HDDの初期化を行う前には、以下のような点に注意してください。
HDDを初期化することによって、すべてのデータが消えてしまうため、大事なデータについては事前にバックアップを取っておく必要があります。
外付けのHDDなどを購入しておき、あらかじめデータを移しておきましょう。
クラウドサービスを利用するのも便利です。
初期化によってHDD内のデータはすべて消えるため、初期化後にはOSの再インストールが必要となります。
パソコン購入時に付属しているリカバリーディスクを使って、OSを入れ直しましょう。
再インストールが完了したら、外付けHDDやクラウドに保存しておいたデータをHDDにすべて移せば元通りとなります。
上の項目で、「初期化するとデータが消える」と記載しましたが、正確には、初期化だけでは完全に削除されるわけではなく、データが表示されなくなるだけです。
我々ユーザーの目には見えない状態ですし、使用することもできませんが、HDD内にはしっかりとデータが残っています。
参照:パソコンを譲渡する。返却する。売却する。廃棄する。そんな時、HDD/SSDのデータはどうやって消去する? | バッファロー
したがって、専用のツールを使ったり、専門家に依頼したりすることで、初期化後のデータを取り出すことが可能な場合もあるのです。
こうした事情から、絶対に見られたくない情報や企業の機密情報などがある場合は、初期化ではなく、物理的にHDDを破壊して復元不可能な状態にする必要があります。
「水没させる」「トンカチなどで砕く」といった方法で物理的に壊してしまえば、絶対にデータを復元することはできません。
パソコンの動作が重い場合や、動作異常がある場合に、初期化によって症状を改善させようと考えることも多いと思います。
しかし、諸々の動作不良が「HDDの経年劣化」によって引き起こされている不具合ならば、初期化をしても期待通りの結果になるかはわかりません。
経年劣化が原因であれば、HDD自体が弱っているため、いくらデータを丸ごと入れ替えても症状が変わらないということも大いにあり得るのです。
HDDの初期化をしても、必ず症状が改善されるわけではない、ということも覚えておきましょう。
以上、HDDの初期化を行うべき場面や、OSのバージョン別の具体的な初期化方法などについて解説してきました。
購入してからそれほど年数が経っていないパソコンならば、動作スピードの改善や不具合改善のために、HDDの初期化という方法は大変有効です。
それほど難しい手順も必要ないため、パソコンの動きが不安定な場合には是非試してください。
なお、長年使ったパソコンの場合は、HDDを交換しても他のパーツが劣化している場合もあるため、買い替えた方がよいケースもあります。
したがって、使用年数の長いパソコンについては買い替えを検討するのもおすすめです。
もしパソコンを買い替える場合には、お手持ちのパソコンが不要になるかと思われます。
そんな時は「パソコン廃棄.com」の利用が便利です。
「パソコン廃棄.com」ならば、費用は一切かからず、事前のやり取りも不要。
ただ不要になったパソコンを梱包して送付するだけで、無料廃棄が完了します。
送られてきたパソコンに入っているデータ消去も、責任を持って行わせていただきますので、セキュリティ的にも安心です。
監修者/前田 知伸
富士通を経て、リブート㈱代表取締役。パソコンリサイクル業15年目。国内外のIT資格を保有。NHKなど出演実績有り。