「HDDを自分で交換したいけど、どうすればいい?」
「デスクトップ・ノートパソコン、それぞれの交換手順を知りたい」
このようにお考えの方も多いのではないでしょうか。
古くなってきたHDDはいろいろとトラブルも増えてくるため、新しいHDDに交換したいと思うのも自然なことでしょう。
そこでこの記事では、以下のようなことについて詳しく解説していきます。
【この記事でわかること】
目次
HDD(ハードディスクドライブ)は、状況に応じて交換した方がよい場合があります。
HDDの交換を行うことで、以下のようなメリットが得られます。
HDDは消耗品なので、使用すればするほど劣化していきます。
劣化が進んだHDDの場合、処理速度が落ちて非常に使い勝手が悪くなってしまうので、早めに新しいHDDへ交換した方がよいでしょう。
なお、空き容量がほとんどなくなった時にも動作が遅くなってしまいますので、空き容量が少ない時は、一度不要なファイルを削除して充分な空き容量を確保してください。
それでもパソコンの動作が遅いようならば、HDDの経年劣化による動作不良の可能性が高くなります。
動作の遅いパソコンを使うことにストレスを感じる場合は、新たなHDDに交換することで悩みが解消されることでしょう。
HDDは、いつ壊れてしまうかわかりません。
特に以下のような症状が現れた場合は、故障が近いと判断した方がよいです。
突然HDDが故障してしまうと、大事なデータを取り出せなくなってしまうことがあります。
取り出すとしても、個人で行うのは困難で、専門業者に高額な費用を払う必要がありますし、専門業者でも必ずデータを取り出せるとは限りません。
毎日のようにデータのバックアップを取っている人ならば問題ないかもしれませんが、日々欠かさずバックアップを行うというのはなかなか難しいでしょう。
バックアップ作業にはある程度時間がかかるため、いつ訪れるかわからない不意の故障に備えて毎日外付けHDDやクラウド上に手動でデータを保存し続けるのは大変です。
新規作成や更新したファイルのみを選んでバックアップを取れば容量は抑えられますが、毎日どのファイルを作成・更新したかを把握しながらバックアップを取り続けるのも至難の業でしょう。
したがって、HDDに故障の前兆症状が出始めたら、早めに交換することをおすすめします。
HDDの交換作業をする際には、事前に以下のような準備をしておきましょう。
HDDの交換を行うため、まずは新しく換装するHDDを用意する必要があります。
新しいHDDを購入する際は、以下の3つの点に注意してください。
まずは、HDDの回転数についてです。
HDDの回転数は「rpm」という単位で表され、「5400rpm」と「7200rpm」の2種類が存在します。
この数字は「1分間でHDDが回転する回数」であり、当然回転数の多い7200rpmの方が高性能で処理の早いHDDとなります。
HDDの大きさは「2.5インチ」「3.5インチ」の2種類が主流で、2.5インチは主にノートパソコン、3.5インチは主にデスクトップで使用されます。
稀に「1.8インチ」のものもありますので、交換前にHDDの大きさをしっかりと確認しておきましょう。
最後に、接続規格についてです。
「IDE」「SATA」の2種類がありますが、IDEは2008年くらいまで主流だった古い規格であり、現在ではSATAがメインとなっています。
多くの場合はSATAだと思われますが、念のためパソコン購入時の説明書を読むか、フリーソフトで接続規格を確かめるなどの方法で確認しておいた方がよいです。
新しいHDDに交換すると、これまで作成・保存してきたデータはもちろんのこと、OSから各種ソフトウェアまで、すべてが存在しないまっさらな状態となります。
当然、OSが入っていなければパソコンは動きませんし、これまで使っていたソフトウェアやデータがないのも不便です。
そこで便利なのが、HDDのクローンを作成するという方法です。
こちらの方法を実行することで、いちいちOSをインストールしたり、データを移し変えたりといった面倒な作業を省くことができます。
なお、HDD⇒HDDだけでなく、HDD⇒SSDへの換装にも活用できるため、大変おすすめです。
クローンを作製するには、有料の専用機器を購入するか、フリーのクローン作製ソフトを使うという方法があります。
有料の専用機器を活用する場合は、ロジテック社の以下のような製品を使用するとよいでしょう。
参照:パソコンなしでハードディスクの丸ごとコピーが可能 | ロジテック
費用はかかりますが、その分安全にデータを移行できるというメリットがあります。
フリーソフトで対応する場合は、「hdd クローン フリーソフト」といったようなキーワードで検索すると、該当するソフトを見つけることができます。
デスクトップとノートパソコンでは、HDDの交換手順が異なります。
この項目では、デスクトップパソコンにおけるHDD交換手順について解説していきます。
なお交換の手順は、現在主流となっている接続規格「SATA」を前提としています。
まずは、電源ケーブルやマウス、キーボード、外付けハードディスクなどの、すべての接続機器を取り外します。
何らかの機器が接続されたままですと、不要な電気残ってしまうこともありますので、一旦すべてを取り外した後に時間をおいてから、HDDの交換作業に入るようにしましょう。
デスクトップパソコンのネジ止めされている部分をはずし、交換対象である古いHDDを取り出せる状態にします。
なお取り出しの際は、他の部品を傷つけないように慎重に行うようにしてください。
パソコン内部には、メモリやCPUといった重要パーツが搭載されており、そういったパーツを傷つけてしまうと、せっかくHDDを新しくしても動作不良を起こしてしまう可能性が高くなります。
なおHDDのサイズを把握していなかった場合は、一度取り出してからサイズを測り、その後に新しいHDDを購入しても問題ありません。
交換用に購入した新しいHDDを換装します。
取り付けの際は、HDDが外れないようにきちんとネジ止めをしてください。
HDDを正しく換装できたら、外していたパネルもネジ止めして元の形に戻し、それから電源ケーブルやマウス、キーボードなどを接続します。
その後電源を入れ、BIOS画面を表示させてからHDDが認識されているかどうかを確認しましょう。
BIOS画面を表示させる方法は、多くの場合、パソコンが起動した直後に「F2キー」か「Deleteキー」を連打することで表示させることができます。
ただし、メーカーによって多少違う場合があるので、お使いの機種に合わせて対応してください。
例えばLenovoの特定機種の場合は、メーカーロゴが表示されている間に「F1キー」を連打する必要があります。
参照:推奨する BIOSの起動方法 – Lenovo デスクトップ/オールインワン – Windows – Lenovo Support BO
HDDの交換が正しく完了した後は、OSの再インストールを行います。
HDDには何も入っていない状態なので、まずはパソコンを動作させるためのプログラムであるOSを入れなければなりません。
Windowsの場合は、パソコン購入時に付属しているリカバリディスクを利用することでOSを再インストールすることができます。
OSの再インストールが完了したら、次はバックアップしてあるデータをすべて新しいHDDへ移行してください。
これでHDD交換作業は完了となります。
なお、HDDのクローンを作成してある場合は、交換の前に新しいHDDへクローンデータを丸ごと移行させておくだけで、OSの再インストールやデータ移行の作業を省くことができます。
クローンデータの移行は、専用のソフトを使うことで簡単に実行できます。
参照:HDDのデータを丸ごとコピーするには?2つのコピー方法とメリットを併せて解説 | ロジテック
次に、ノートパソコンでのHDD交換手順について解説していきます。
デスクトップに比べ、ノートパソコンでのHDD交換はやや難しくなるため、自信がない場合は無理をしないようにしておきましょう。
また超薄型モデルの場合は、専門家以外では交換自体ができないこともあるのでご注意ください。
なお交換の手順は、現在主流となっている接続規格「SATA」を前提としています。
ノートパソコンでHDD交換をする場合は、まずバッテリーを取り外します。
ノートパソコンの場合、電源ケーブルを抜いてもバッテリーの中に電力が残っているため、通電していない状態にするにはバッテリーを外す必要があります。
ACアダプタに接続されておらず、バッテリーも外されている、という状態をしばらく維持し、完全な放電を行ってください。
放電完了後は、HDDが内蔵されている部分のネジを外していきます。
HDDはマウンタに取り付けられた状態となっているので、一旦マウンタごと取り外します。
なおマウンタとは、ノートパソコンにHDDを取り付けるための金具のことです。
次に、HDDとマウンタを固定しているネジを取り外し、新しいHDDを装着できる状態にします。
新しく用意したHDDをマウンタに取り付け、バッテリーやカバーもすべて元通りに戻します。
その後、HDDが正しく認識されるかどうかを確認しましょう。
以降の手順は、基本的にデスクトップと同じです。
まずはBIOS画面を表示させてHDDが認識されているか確認し、その後にOSの再インストールやデータ移行を行います。
HDDの交換を自分で行う場合は、以下のような点に気を付けてください。
自分でHDD交換を行ったパソコンについては、基本的にメーカーのサポート対象外となってしまいますのでご注意ください。
特に保証期間が残っている場合は、自分で交換作業をするかどうか熟考すべきです。
何かパソコンにトラブルがあっても無料で対応してもらえる期間を、自ら捨ててしまうことになってしまうからです。
HDDを交換する際は、メーカーサポートを失ってまで実行する価値があるのかどうかをしっかり考慮してから行うようにしてください。
HDDを交換する前には、HDDのクローンを作成しておくか、データのバックアップを取っておきましょう。
できればクローン作製が理想ですが、難しいようでしたら、最低でもデータのバックアップだけは必ずしておくべきです。
なお、データのバックアップのみの場合は、OSを再度インストールする必要があるため、その点だけ注意が必要です。
また、今まで使っていたソフトウェアについてもすべて入れ直さなければなりません。
HDDのクローン作製には、専用機器を購入するか、フリーソフトを探すか、といった多少のリテラシーが必要ですが、後々苦労しないためには、クローンを作っておく方がよいでしょう。
HDDの交換は、必ず成功するとは限りません。
したがって、もし交換後にパソコンの動作が不安定なようならば、一度専門業者に相談するようにしてください。
特にノートパソコンの場合はデスクトップより交換作業が難しいため、何らかの不具合が出てしまう可能性もあります。
監修者/前田 知伸
富士通を経て、リブート㈱代表取締役。パソコンリサイクル業15年目。国内外のIT資格を保有。NHKなど出演実績有り。