「最近、パソコンの挙動がおかしい。もしかしてCPUが故障したのかな?」
このように、パソコンの動作異常を確認した時にはCPUの故障を疑う方も多いと思います。
パソコンの頭脳であるCPU。
最も重要なパーツということもあり、耐用年数は10年から20年と非常に長く、故障することは滅多にありません。
しかし、パソコンの使用方法によっては寿命を縮めてしまい、数年で壊れてしまう可能性もあります。
そこでこの記事では、CPUが故障する原因や症状、CPUを長持ちさせるためのコツについて解説していきます。
【この記事でわかること】
目次
CPUは、主に以下のようなことが原因で故障してしまいます。
具体的にどういうことなのか、それぞれ解説していきます。
パソコンを落下させてしまうことによる衝撃で、CPUが物理的に破損してしまう可能性があります。
デスクトップパソコンの場合は、落下させてしまうようなシチュエーションはそうそうないでしょうが、ノートパソコンの場合は注意が必要です。
また、あまり知識がないのにパソコンを分解してしまい、CPUを物理的に傷つけてしまうということもあります。
パソコンに詳しくない場合は、迂闊に分解しない方がよいでしょう。
パソコンを含む電化製品が動作する時には、必ず熱を発します。
この時の熱が異常なまでに高くなり製品の許容範囲を超えてしまうと、各パーツが正常な動作をしなくなってしまいます。
最悪の場合、パーツが溶けてしまうこともあります。
これが熱暴走です。
そしてCPUは、パソコンのパーツの中で最も熱を持ちやすい部分です。
CPUは、人間でいうところの脳にあたり、最も電力を消費するためです。
従ってCPUは、冷却ファンという装置によって常に冷やされるようになっています。
しかし、冷却ファンにホコリが大量に付着していると正常に動作しなくなり、CPUをしっかりと冷やすことができなってしまうことで故障に繋がります。
最近のCPUは、温度が高くなると自動的に処理速度を落としてそれ以上熱を発しないようにしたり、高温になりすぎた場合は動作を停止したりするようになっているため、熱暴走による故障はあまり発生しなくなってきています。
とはいえ、熱によってCPUがダメージを受けることは確かですので、ファンの動きが怪しかったり、パソコン本体が異常に熱くなってしまったりといった場合は要注意です。
オーバークロックとは、CPUの性能を高め、パソコンの処理能力をアップさせることです。
オーバークロックすることにより、パソコンの処理速度が上がり快適な動作を実現できます。
しかし、今までの性能以上の動きをするために消費電力や電圧が上がるため、それだけCPUに負荷がかかりやすくなり、故障しやすくなってしまうというデメリットがあります。
負荷がかかるのはCPUだけでなく、メモリやマザーボードといった重要パーツも同様ですので、パソコン全体に負荷がかかってしまうといった方が正しいでしょう。
どんな電化製品にもあることですが、パソコンの場合も初期不良によってCPUがまともに動かないということがあります。
購入したばかりなのにパソコンの動作がおかしい場合は、CPUの初期不良の可能性が高いです。
こればかりは避けようがないので、もしそういったパソコンに当たってしまった場合は、すぐにメーカーに連絡してください。
多くは、CPU交換等の対応を無料で行ってくれます。
CPUが故障した際や何らかの異常が発生している場合は、パソコン操作時に様々な症状が現れます。 以下のような症状が現れ始めたら、CPUの故障を疑ってください。
パソコンには、「最小構成」というものがあります。
パソコンを動かすために最低限必要な4つのパーツのことです。
この4つのいずれか1つでも故障してしまうと、パソコンは立ち上がりません。
「電源が入らない = CPUの故障」とはなりませんが、可能性の1つではあります。
パソコンの電源がつかない原因は?ランプはつくなど症状別の対処法を紹介>>
パソコンのフリーズは、様々な原因で発生する代表的な不具合ですが、CPUの故障によっても引き起こされます。
重い作業をしている時にパソコンがフリーズしてしまうことはありますが、大した作業をしていないのにフリーズするようならば、CPUの故障が疑われます。
ただし、HDDやSSDの破損、グラフィックボードの故障といった原因によってもフリーズは発生しますので、 必ずしもCPUの故障とは限りません。
パソコンが頻繁にフリーズする原因と対処法!強制終了の方法も解説>>
パソコンが延々と再起動を繰り返す場合も、CPUの故障が疑われる症状の1つです。
特に、フリーズ発生後に再起動が繰り返されるようならば、CPU故障の可能性が高まってしまいます。
パソコンの再起動が終わらない!ぐるぐるしたまま動かない原因と対処法>>
電源ユニットの故障によっても起こる症状ですが、熱暴走によってCPUが停止することで電源が急に落ちてしまうこともあります。
この場合は故障ではなく、これ以上の熱暴走を避けるためにCPUが強制的に電源を落としたという可能性が高いです。
ですが、通常はこういった症状が現れることはありません。
冷却ファンが正常に動いていれば、熱暴走を起こすほどCPUの温度が高くなることがないからです。
故障ではなく、故障を避けるために強制的に電源が落ちたとはいえ、強制シャットダウンはデータの消失やシステムトラブルの原因となります。
そんなリスクのある強制シャットダウンを選択するほどCPUに負荷がかっていたということになりますから、冷却ファンの異常やCPUの処理能力低下が疑われます。
ビープ音とは、パソコン内部で深刻なエラーが発生した時に鳴る音のことです。
パソコンのスピーカーからではなく、マザーボードに取り付けられたスピーカーから音が出るのが特徴です。
そして、ビープ音の回数によって「どの箇所にエラーが発生したのか」を知ることができます。
ビープ音が示唆する内容は、メーカーごとで異なります。
【HP製の「CompaqデスクトップPC」の場合】
ビープ音 | 示唆内容 |
---|---|
短いビープ音1回 | レガシー フロッピードライブまたはCD/DVDドライブが検出されない。 |
短いビープ音2回 | フロッピーディスクまたはコンパクトディスクが検出されない。 |
短いビープ音3回 | 書き換えを開始できない。 |
短いビープ音4回 | 書き換えに失敗 (チェックサムエラー、イメージ破損など)。 |
短いビープ音5回 | BIOSリカバリに成功。 |
短いビープ音2回と長いビープ音2回 | BIOSリカバリに成功。 |
短いビープ音1回と長いビープ音1回 | メモリの問題。 |
短いビープ音2回と長いビープ音1回 (5回繰り返す) | ビデオを初期化できない、またはビデオカードが必要でもインストールされていない。 |
短いビープ音3回と長いビープ音1回 | CPU構成エラー、またはCPUの種類に互換性がない。 |
HPのCompaqデスクトップPCの場合は、「短いビープ音3回と長いビープ音1回」でCPUに異常があるということになります。
【DELL製の「Inspironノートパソコン」の場合】
ビープ音 | 示唆内容 |
---|---|
1回 | マザーボード、カバーBIOS破損、またはROMエラー。 |
2回 | メモリ(RAM)が認識されない。 |
3回 | マザーボードのチップセットエラーや障害。 |
4回 | メモリ(RAM)の障害。 |
5回 | CMOSバッテリの障害。 |
6回 | ビデオカード/チップの障害。 |
7回 | CPUの障害。 |
DELLのInspironノートパソコンの場合は、「ビープ音7回」でCPUに異常があるということになります。
パソコンからビープ音が鳴り続ける時はどうする?ビープ音の種類と対処法を解説>>
CPUは10年から20年程度と非常に長く使えるため、通常使用の範囲であればそうそう故障することはありません。
しかし、普段のパソコンの使い方が悪いと数年で壊れてしまうこともあります。
以下のような点に注意しながら、できるだけCPUが長持ちするよう心掛けてください。
CPUの物理的破損の可能性が高いのは、落下による衝撃です。
デスクトップパソコンの場合、大きな地震でもない限り落下するということはほぼないでしょうからそこまで気にしなくても構いませんが、念には念を入れたい方はデスクトップの下にすべり止めシートを敷いておくとよいでしょう。
特に気を付けなければならないのは、ノートパソコンです。
持ち運ぶ機会が多いため、鞄の中にノートパソコンが入っていることを忘れて、つい無造作に鞄を扱ってしまうこともあるでしょう。
こうした衝撃からノートパソコンを守るために、鞄の中に衝撃を吸収するためのグッズを入れておくことをおすすめします。
また、思わず手が滑って落としてしまうこともあると思われますので、そのようなことがないようノートパソコンを持ち上げる時は細心の注意を払ってください。
パソコン内にホコリが溜まってしまうと、冷却ファンが正常に動かなくなってしまい、CPUの温度をうまく下げることができなくなってしまいます。
こうした事態を避けるため、定期的に冷却ファンのホコリを除去するようにしましょう。
また、ホコリが溜まらないようにパソコン周辺を清潔にしておくことも重要です。
CPUの性能を上げることができるオーバークロックですが、下手にやってしまうとCPUの寿命を縮めてしまうことになります。
よほどの知識と自信がない限りは、オーバークロックに手を出さない方がよいです。
CPUを含むパソコンパーツはすべて消耗品であり、使用すればするほど劣化していきます。
パソコンの操作を一切していなくても、電源が入っている状態であればバックグラウンドで常に何らかの処理が行われているので、パソコンを使用しない時はなるべく電源を切っておくようにしましょう。
特に多いのが、翌朝の起動が面倒だという理由で、夜に電源を落とさず寝てしまうというパターン。 これはよろしくありません。
就寝中、わずかとはいえパソコンはずっと稼働し続けることになってしまいます。
寝る前に電源を落としたり、朝に電源を入れたりする程度の手間は惜しまないようにしてください。
パソコンの動作がおかしいと、ついCPUの故障や異常を疑ってしまいがちですが、違う原因によって不調を引き起こしているパターンもあります。
パソコンの動作に異常が発生する原因として最も多いのは、パソコンを使い続けてきたことによるHDDやSSDの経年劣化です。
HDDならば約3~4年、SSDならば約5年で寿命を迎えます。
パソコンの使用方法や使用環境が悪ければ、寿命はもっと縮まります。
特に、パソコンの動作が遅くなったり、フリーズが多発するようになったりした場合は、HDDやSSDの劣化が原因である可能性が高いです。
ハードディスクの寿命は3~4年!故障の前兆や症状、診断方法を解説>>
【SSDの寿命は5年】故障前のSSDの症状や延命方法を徹底解説>>
パソコン内のファイルがコンピュータ・ウイルスに感染してしまうことで、動作不良を起こしてしまうことがあります。
使い始めてそれほど年数の経っていないパソコンの場合、ウイルス感染を疑ってみるべきでしょう。
こういったことがなかったか確認し、思い当たる節があるようでしたら、セキュリティソフトを使ってウイルス除去を行ってみてください。
それでも動作が改善しない場合は、修理業者へ依頼してウイルスのチェックをしてもらうとよいでしょう。
チェックだけならば、無料で行ってくれる業者もあります。
パソコンの頭脳であるCPUが故障してしまった場合の対処法は、以下の3つとなります。
自分でCPUの交換を行うことで、再びパソコンを使用できるようになります。
パソコンのCPUを交換する手順を解説!注意点や起動しないときの対処法>>
ただし、CPUの交換にはそれなりの手間がかかります。
また、正しくCPUを取り付けることができなかったり、CPU交換中にCPU以外のパーツを傷つけてしまったりすると、新たな故障の原因にもなってしまいます。
あまりパソコンに詳しくない方は、自力での交換作業は避けた方がよいかもしれません。
パソコンの修理を専門としている業者へ修理に出すのも一つの手です。
自力で行うのとは違い、確実なCPU交換が実現します。
しかし、ある程度の費用がかかってしまうという部分がネックです。
いくらかかるのかは交換するCPUの性能によっても異なりますが、少なくとも2~3万円の費用は避けられません。
高いスペックのCPUへ交換するとなれば、さらに高額な費用がかかります。
パソコンのメインパーツであるCPUが故障した以上、いっそのこと買い替えてしまうというのもよいと思います。
CPUが故障したということは、他のパーツも劣化している可能性が高いため、CPU交換をしたところでまたすぐに違うパーツが故障してしまう、ということもありますので。
パソコンの買い替え時はいつ?おすすめの購入時期や買い替え前にやること>>
なおパソコンを買い替えた際は、古いパソコンは不要になるかと思われます。
その際、不要なパソコンは「パソコン廃棄.com」を利用して廃棄すると便利です。
費用がかからず事前のやり取りも一切不要で、ただ壊れたパソコンを梱包してパソコン廃棄.comに送るだけで、無料廃棄が完了します。
データの消去も行うため、安心して捨てることができます。
以上、CPUの故障原因や症状、CPUを長持ちさせるコツなどについて解説しました。
前述の通り、CPUは最重要パーツであるため耐用年数が長く、普通にパソコンを使用していれば故障することは滅多にありません。
とはいえ、最低限のケアについては意識しておかなければ短命で終わってしまうこともありますので、パソコンを使用する際は以下の点に注意してください。
どれもちょっとしたことであり、大変な事ではありません。
CPUに長生きしてもらうためにも、是非上記を心掛けてみてください。
監修者/前田 知伸
富士通を経て、リブート㈱代表取締役。パソコンリサイクル業15年目。国内外のIT資格を保有。NHKなど出演実績有り。