Googleが開発した独自OS「chrome」を搭載したchromebookは、起動速度が速く、動作も軽い、さらに仕事や勉強に必要な基本的な機能を一通り兼ね備えていると人気のノート型パソコンです。
しかし、日常的に使用していると、「以前のようにサクサク動かない」と動作が重く感じることが多々あります。そこで今回は、chromebookが重くなる原因と対処法をご紹介します。「最近chromebookが重い気がする」と感じている方は、ぜひ参考にしてください。
chromebookが重いと感じる原因として、考えられる8つの理由を解説します。当てはまる項目はないか、チェックしてみてください。
chromebook搭載OS「Chrome OS」がアップデート中の場合、動作が重くなることがあります。基本的にChrome OSでは、バックグラウンドでアップデートを行い、次回ログイン時にアップデートが適応される仕組みを取っているためです。
自宅のWi-Fiなど自由に通信ができる環境では、自動でアップデートが実行されます。アップデート中はバックグラウンドでディスクの書き込みや通信が行われるため、動作が重くなる場合もあるので覚えておいてください。
Chrome OSがアップデート中かどうかは、「設定」から「Chrome OSについて」を開くと確認できます。「アップデート中」と表示される場合は、Chrome OSのアップデート作業中です。多少動作が重くなるものの、特に対処する必要はないので完了するまで待つと良いでしょう。
動作が重くなる原因は、chromebookだけにあるとは限りません。そもそもインターネット回線の接続が遅い場合、思うようにURLが開けず、時間がかかります。chromebookの設定を調整したり、ソフトウェアやハードウェアを変更したりしても高速化できません。
インターネット回線に原因がある場合は、ネットワーク設定を変更する必要があります。ネットワークの接続状況を確認してみましょう。
chromebookではChromeの様々な拡張機能を使えます。便利な機能ですが、使い過ぎはchromebookが重くなる原因になるため注意が必要です。拡張機能の管理は、ブラウザのURLが表示される欄の隣にある拡張機能ボタンからできるので確認してみてください。
削除も可能ですが、動作が重い原因かどうかを判断するなら、一度OFFにしてみると良いでしょう。
アプリケーションのインストールのしすぎもchromebookが重くなる原因です。アプリは便利な一方で、メモリやシステムリソースの消費も多いです。
ほとんど使用していないものなどは、必要に応じてアンインストールすると良いでしょう。また、新しいアプリやソフトウェアのインストール後に動作の重さを感じるようになった場合には、一度アンインストールしてみることも大切です。
ブラウザで多くのタブを開いていると、動作が重くなることがあります。同時に何十ものタブを開くのは、chromebookのメモリを多く消費するからです。
特に、Googleドキュメントなど機能性の高いページは、通信量も多く、より多くのメモリを消費するため、動作が重くなりがちです。
OSのアップデート以外にも、更新や同期、データ転送などのプロセスがバックグラウンドで実行されている場合、chrombookの動作が重くなる原因になります。特に、chromebookの作業中、YouTubeなど動画再生サイトをBGMにしている方は少なくありません。
しかし、YouTubeは常に読み込みながら再生します。複数の作業を同時に行うと、負担がかかり動作が重くなるため注意が必要です。
chromebookのローカルディスクやSSDの容量不足も重くなる原因の1つです。基本的にchromebookのストレージは16~64GBとそれほど多くありません。そのため、空き容量が少なくなってくると、実行速度や応答速度が低下するなど影響が出ることがあります。
chromebookの動作が重いと感じた時は、一度どのくらい空き容量があるのか確認してみましょう。
ここまで紹介したどの項目にも当てはまらないのに動作が重い場合、chromebookのハードディスクが損傷している可能性があります。ハードディスクの状態を確認し、問題がないか確認しましょう。
chromebookの動作が遅くなる原因がわかったところで、続いては重くなった時の対処法をご紹介します。どのように操作すれば良いのか、詳しく解説していくのでぜひchromebookの重さに悩んでいる方は、ぜひ試してみてください。
chromebookを再起動するだけで、動作の遅さが改善できる場合があります。再起動はハードウェアリセットやハードリセットとも呼ばれており、chromebookは再起動すると持っているデータを一度開放するためです。
そして、データがない状態で再度起動するため、不具合の原因が情報だった場合は、再起動するだけで状態の改善が期待できるでしょう。ただし、ブラウザのタブを開いたまますると、再起動後も自動で開き、メモリを消費します。
再起動した意味がなくなる可能性があるため、再起動する際は全てのタブを閉じるよう気を付けましょう。
chromebookの再起動方法は以下の通りです。
①chromebookの電源を切る
②更新を長押ししながら、電源ボタンをタップ
③chromebookの起動後、更新を離す
chromebookはデザインによって、電源ボタンの有無や配置が変わります。
上記の方法が実行できない場合には、Googleの公式ページをチェックしてください。
なお、スリープでは解決しないため、間違えないように注意が必要です。
タスクマネージャーとは、簡単にいうとパソコンの処理を管理するプログラムのことで、パソコン上で実行されているアプリを確認し、強制終了できる機能です。chromebookでは、「Everythingボタン+escボタン」を同時に押すと、タスクマネージャーを開けます。
また、chromeのブラウザの右上にある「Googlechromeの設定」→「その他のツール」からもタスクマネージャーを開けます。タスクマネージャーを起動すると、現在使用しているアプリやメモリのチェックが可能です。
必要のないものをクリックし終了させていくと、メモリが開放されるため、chromebookの重さが改善されます。メモリを多く使用しているアプリや拡張機能がある場合には、この一連の作業でchromebookが軽くなるケースが多いです。ぜひ試してみてください。
過去に見た閲覧履歴が溜まっていると、メモリを圧迫し、ブラウザの動作が重くなることがあります。ブラウザの動作が重い時は、履歴やキャッシュを削除しましょう。ちなみに、キャッシュとはアクセスしたWebサイトなどを一時的に保存する機能です。
2度目以降に表示する場合、キャッシュがあると早く開けて便利ですが、その反面、開いたページの分だけデータが溜まるため、負担がかかり動作が重くなります。閲覧履歴やキャッシュは、ブラウザ右上にある「Googlechromeの設定」から「その他ツール」→「閲覧履歴の消去」でできます。
アプリがインストールされているだけでも、chromebookのストレージを使用しています。
容量のそれほど多くないchromebookでは、アプリによる負担は特に大きくなってしまうため、不要なアプリは消去すると良いでしょう。
不要なアプリは、アプリドロワーで右クリック→アンインストールで消去できます。アプリの多くはchromeブラウザから使用できるため、使用頻度の低いものや使っていないアプリはなるべく消去し、ストレージを節約しましょう。
androidアプリがchromebookの動作を重くし、速度を低下させることがあります。不要であれば消去するのが良いですが、どうしても消したくない、残しておきたい場合には、バグのない状態を維持できるよう、常に更新し、最新の状態を保ちましょう。
アプリが最新の状態かどうかは、playストアの「プロフィール」→「アプリとデバイスの管理」から確認できます。
ハイパースレッディングの有効化も、chromebookの動作を軽くするために効果的な方法の1つです。ハイパースレッディングとは、アメリカのインテル社が自社製品に搭載している1つのコアを疑似的に2つに見せる技術です。
ハイパースレッディングに対応している場合、有効化すると並行した命令を実行できるため、パフォーマンスが向上する可能性があります。
パフォーマンス設定を最適化する方法は以下の通りです。
①Google chromeを開く
②アドレスバーに「chrome://flags#scheduler-configuration」と入力
③「Scheduler Configuration」で「Enables Hyper-Threading on relevant CPUs」を選択
④「Restart」を選択
なお、デフォルトの状態に戻したい時は、「Scheduler Configuration」で「Default」→「Restart」を選択してください。
chromebookでは、特にアプリやゲームが重い場合にハイパースレッディングを有効化すると、パフォーマンスの向上が期待できます。
chromebookの空き容量が不足している場合、本体に保存してあるデータをSDカードやUSBメモリに移すのも効果的です。SDカードやUSBメモリに移せるものは移し、本体の空き容量を増やしましょう。
また、chromebookのファイルの保存先をSDカードやUSBメモリにするのも良いでしょう。ダウンロードフォルダの設定先は、以下の方法で変更できます。
①chromeブラウザの右上にある「Googlechromeの設定」を開く
②「ダウンロード」にある保存先を選択し設定
既にダウンロードしたファイルの移動も可能です。
動作が重い原因がChrome OSにある場合、主に考えられるのは以下の理由です。
・Chrome OSのバージョンが古いまま使用している
・バグが発生している
古いバージョンのChrome OSをアップデートせずそのまま使用していると、動作が重くなる原因となります。Chrome OSは、基本的に自動で更新されますが、最新のバージョンになっているか、確認してみてください。
また、アップデートをしてから動作が重くなったと感じる時は、バグが発生している可能性があります。そのような時は、次のアップデートで修正されるため、新しいアップデートが利用可能ではないか確認してみてください。
なお、Chrome OSが最新かどうかの確認方法は以下の通りです。
①右下にあるステータストレイをクリック
②ポップアップウィンドウの上部にある「設定」をクリック
③左側のバーをスクロールし「Chrome OSについて」を選択
④Google Chrome OSの下にある「アップデートを確認」をクリック
⑤チェックプロセスを確認し、更新可能なプログラムがあればダウンロード
「お使いのchromebookは最新です」と表示される場合は、新しいバージョンが公開されていません。次の更新まで待ちましょう。更新可能なプログラムがあり、ダウンロードにデバイスの再起動が必要な場合は、指示にしたがって操作を完了してください。
動作の重さがインストールしすぎた拡張機能にある場合、消去によって改善が期待できることもあります。拡張機能を確認し、不要なものを削除しましょう。
拡張機能の削除方法は以下の通りです。
①chromeのブラウザを開く
②右上にあるGoogle chromeの設定を開く
③「その他のツール」→「拡張機能」を選択
もしくは、アドレスバーに「chrome://extensions」しても確認できます。
④表示された拡張機能から不要なものを選ぶ
削除するか、スイッチをオフにしても拡張機能を無効にできます。
ここまで紹介した方法を試してもchromebookが高速されない場合、最後の手段として挙げられるのはChrome OSの初期化です。初期化してもアカウントにログインすれば、アプリや設定は元通りに戻ります。しかし、ファイルが同期されないため、事前にバックアップしておきましょう。
chromebookの初期化する方法は以下の通りです。
①chromebookの「設定」を開き「詳細設定」をクリック
②「設定のリセット」から「Powerwash」を探す
③「リセット」→ポップアップで表示された「再起動」をクリック
④自動的に再起動がスタート
⑤「chromebookをリセット」→「Powerwash」をクリック
⑥「続行」をクリック
上記の流れで進めていけば、chromebookはリセットされます。
今回は、chromebookの動作が重くなる原因と対処法をご紹介しました。
起動速度の速さや動作の軽さに定評のあるchromebookですが、使う中でどうしても重くなってしまうことがあります。もしも、chromebookの動作が重いと感じた時は、今回紹介した内容を参考に、原因を探り、対処法を実行してみてください。
なお、動作が重くなった原因は必ずしも1つとは限りません。いくつかの原因が組み合わさって重くなることもあるため、組み合わせて対処してみることをおすすめします。
また、不要なデータはこまめに削除し、chromebookの負担がかからないよう、普段から意識するようにしてください。
監修者/前田 知伸
富士通を経て、リブート㈱代表取締役。パソコンリサイクル業15年目。国内外のIT資格を保有。NHKなど出演実績有り。