Chromebookは、WindowsやMacとは異なり、Googleの「Chrome OS」を搭載したパソコンやタブレットです。
シンプルな機能で作業しやすく、ウイルス対策も不要のため、愛用している方も多いのではないでしょうか。
しかし、長年愛用していると、ある日突然Chromebookが起動しないなどの、不具合が起こることがあります。
パソコンが起動しないとChromebookが壊れたと思うかもしれませんが、簡単な方法で改善する場合もあります。
この記事では、Chromebookが起動しない原因と対処法を解説します。よくある不具合、電源ランプが点滅する、カメラが起動しない場合などの対処法も解説しますので、参考にしてください。
Chromebookは、職場や学校で貸し出されている機種も多いです。不具合がある場合は、管理者に相談するのもおすすめです。
【この記事でわかること】
目次
Chromebookが起動しない原因は、主に次の3つが考えられます。
それぞれ詳しく解説します。
Chromebookを落とした、衝撃を与えたなどでパーツが故障し、Chromebookが起動しないことがあります。
まずは、目視でChromebookを確認しましょう。液晶部分の割れやカバーの破損などがあれば、電源がついているにもかかわらず画面が真っ暗ということもあります。
液晶モニターの故障が疑われる場合は、別のモニターにChromebookを接続してみましょう。問題なく起動すれば、液晶モニターの破損が原因です。
Chromebookは開くと自動で起動しますが、起動しない場合はヒンジ部分の接触不良が考えられます。
Chromebook内部のマザーボードやCPU、メモリなどの故障でも起動しなくなります。ホコリや静電気が原因で故障する場合があるため、定期的にChromebookのホコリを掃除しましょう。
電源が全くつかず、通電されている様子がない場合は電源周りの故障を疑いましょう。
内部パーツを確認するためには、Chromebookのカバーを開け部品交換する必要があるため、修理業者やメーカーに依頼しましょう。
ハードディスク動作中に衝撃や振動を与えると故障の原因になります。ハードディスクの故障により、ChromeOSがクラッシュすることがあります。
ChromeOSは何らかの原因で破損すると、起動時に次のようなエラーメッセージが表示されます。
上記のメッセージが表示されても、電源をオンオフすることで改善する可能性もあります。しかし、電源を入れ直しても改善しない場合は、OSの再インストールが必要です。
OSを再インストールすると、ハードディスク内に保存されたデータは失われます。事前にデータのバックアップを取りましょう。
Chromebookはバッテリー残量が少ない場合、起動しないことがあります。起動しない原因として意外に多いのが、充電が不足しているケースです。
ACアダプターを接続して起動できた場合は充電不足ですので、ACアダプターをつないだまま使用するか、30分程度充電してから使用しましょう。場合によっては充電に24時間程度かかることもあります。充電を続けながら、周期的に起動を試してみましょう。
ACアダプターを接続しても、Chromebook横のランプが点灯しない、ランプが点滅する場合は、バッテリーの故障の可能性もあります。
メーカーへ問い合わせるか、管理者へ相談しましょう。
Chromebookが起動しない3つの原因が分かったところで、起動しない場合の対処法を解説します。
簡単にできる方法から、Chromebookを完全に初期化する方法もあります。Chromebookを職場や学校で貸し出しされている場合は、勝手に初期化などを実行せず、事前に管理者に相談しましょう。
Chromebookは十分に充電されていないと起動しないことがあります。まずは、30分~1時間程度充電してみましょう。
Chromebookの電力が十分になれば、起動する可能性があります。充電しても起動しない場合や、本体横の充電ランプが点灯しない場合は、故障の可能性があります。
充電しても起動できず、ランプの点滅の状態にも異常がない場合は、周辺機器をすべて取り外しChromebookを再起動します。
周辺機器をすべて取り外した状態でChromebookが起動可能になる場合は、周辺機器の故障の可能性が高くなります。
ひとつずつ周辺機器を取り付け、不具合の原因となっている機器を特定しましょう。
すべての周辺機器を取り外してもChromebookが起動しない場合は、何も接続しないままトラブルの原因を探ります。
最近新しいアプリや拡張機能をインストールした場合は、それが原因でOSがクラッシュし、起動しない可能性があります。
何度も起動しない状態が続く場合は、問題がありそうなアプリや拡張機能を無効にしてみましょう。
【拡張機能を管理する方法】
種類 | 方法 |
---|---|
オンまたはオフにする | 拡張機能を有効または無効にする |
シークレット モードでの実行を許可する | 拡張機能の「詳細」をクリックして「シークレット モードでの実行を許可する」をオン |
破損した拡張機能を修復する | 破損した拡張機能を見つけて「修復」をクリックし「拡張機能を修復」をクリックして確定 |
サイトへのアクセスを許可する | 該当の拡張機能の「詳細」をクリックし、この拡張機能のサイトアクセス権を「クリックされた場合のみ」、「特定のサイト」、「すべてのサイト」のいずれかに変更 |
参考:Chromebook ヘルプ 拡張機能をインストールして管理する
Chromebookが起動しないなどの不具合がある場合、ハードウェアをリセットすると改善する場合があります。
ハードリセットは他の対処法を試しても、問題が改善しない場合に試しましょう。ハードリセットを行うと、Chromebookのキーボード、タッチパッドなどのハードウェアがリセットされ、再起動します。
ダウンロードにあるファイルは削除される可能性があるため、可能であれば事前にバックアップを取りましょう。
【Chromebookをハードリセットする】
多くのChromebookのハードリセットは上記の方法で可能です。ただし以下の機種は、手順が異なり、専用のリセットボタンを押してから電源ケーブルやバッテリーを接続し直します。
機種 | ハードリセットする方法 |
---|---|
Acer ChromeboxASUS ChromeboxLG ChromebaseSamsung Chromebox | 1.Chromebox または Chromebase の電源を切る 2.電源ケーブルを取り外し再接続する |
Acer AC700Cr-48 | 1.Chromebook の電源を切る 2.バッテリーを取り外し、再度取り付ける 3.Chromebook の電源を入れる |
Asus Chromebit | 1.Chromebit の電源を切る 2.電源アダプタを取り外し数秒待つ 3.電源アダプタを再度取り付ける 4.Chromebit の電源を入れる |
Lenovo Thinkpad X131e | 1.Chromebook の電源を切る 2.電源アダプタを取り外す 3.バッテリーを取り外し、再度取り付ける 4.電源アダプタを再度取り付ける 5.Chromebook の電源を入れる |
Samsung Series 5 Chromebook | 1.Chromebook の電源を切る 2.電源アダプタを取り外す 3.背面の穴をクリップなどで押す 4.クリップをそのまま押しながら、電源アダプタを再度取り付ける 5.Chromebook の電源を入れる |
Samsung Series 5 550 Chromebook | 1.Chromebook の電源を切る 2.電源アダプタを取り外す 3.背面の穴をクリップなどで押す 4.クリップをそのまま押しながら、電源アダプタを再度取り付ける 5.Chromebook の電源を入れる |
参考:Chromebookヘルプ Chromebookのハードウェアをリセットする
ハードリセットしても問題が改善しない場合は、Chromebookを初期化することで改善することがあります。
初期状態にリセットすると、多くの不具合が解消される可能性があります。Chromebookを他人に譲る場合や処分する場合は初期化がおすすめです。
次の場合は初期化が有効です。
初期化するとハードディスク内のすべての情報が消去されます。事前にGoogleドライブなどにバックアップを取りましょう。
また、職場や学校で使用しているChromebookは、リセットできません。不具合がある場合は管理者に相談し、データ消去やネットワークへの再接続を依頼しましょう。
【初期状態にリセットする方法】
初期状態にリセットした後、最初にログインしたGoogleアカウントが「所有者アカウント」になります。リセット後は、再設定しましょう。
参考:Chromebookヘルプ Chromebook を初期状態にリセットする
Chromebookの初期化に関しては、以下の記事でも詳しく紹介しています。
Chromebookを初期化する方法とは?できない場合の対処法も徹底解説!>>
ChromebookのOSに問題が発生した場合は、OSを削除して再インストールすることでも問題が改善する場合があります。
ただし、Chromebookを復元すると、ハードディスク内のデータはすべて削除されるため、事前にバックアップしておくと安心です。
職場や学校でChromebookを使用している場合は、復元する前に管理者に相談しましょう。
Chromebookに、「Chrome OSが存在しないか破損しています」というエラーが表示された場合は復元が必要です。
Chromebookには、問題がある場合のヘルプフォーラムがあります。起動しない場合の問い合わせに対して、復元を進められた場合も復元しましょう。
OSの復元は最終手段です。再起動やリセットなど、あらゆる方法を試しても解決しない場合に実行しましょう。
【復元する方法】
インターネットに接続していない場合は、リカバリーメディアを作成し、それを基に復元します。
必要なものは、以下の2点です。
【OSのリカバリーメディアの作成方法】
*モデル番号は、エラーメッセージの下部に記載されています。
またChromebookの中には、リカバリーボタンが搭載されている機種もあります。リカバリーボタンは背面にあることが多く、細いクリップなどを利用して押してください。
参考:Chromebookヘルプ Chromebookを復元する
Chromebookに不具合がある場合は、診断アプリによって問題を特定できます。
確認できるのはバッテリー、CPU、メモリ、Wi-Fiなどハードウェアの接続に関する問題です。
診断アプリが利用できるのは、バージョン90以降のChrome OSのデバイスのみのため、バージョンが古い場合はOSをアップデートしてから実行してください。
不具合の原因が特定できない場合に使用しましょう。
【診断アプリの利用方法】
診断アプリが見つからない場合は、検索バーに「診断」と入力しましょう。問題ない場合は、すべてのテストに成功しますが、テストに失敗したハードウェアは故障している可能性が高くなります。
参考:Chromebook ヘルプ 診断アプリを使用して問題を解決する
Chromebookが起動しないといっても、現れる症状はさまざまです。ここでは、起動しない症状別に対処法を解説します。
Chromebookは、本体を開き数秒待つと自動で起動します。開いても起動しない場合は、キーボードの右下などにある電源ボタンを押して起動しましょう。
Chromebookを開いた状態から起動する場合も電源ボタンを押して起動します。
しかし、Chromebookを開いても起動しない場合は、ヒンジ(折り畳み)部分の接触不良が考えられます。
ヒンジ部分には、液晶ケーブル、Wi-Fiアンテナケーブル、カメラケーブルなどがあり、接触不良を起こすとさまざまな不具合が発生します。
強い力でChromebookを開閉した、落としたなどの場合はヒンジ部分の接触不良の可能性があります。
ヒンジ部分の不具合の場合は、専門業者に修理を依頼しましょう。
Chromebookが起動しない原因の1つに充電不足が挙げられますが、起動するために充電したくてもできない場合があります。
まずは、充電器やACアダプターが、Chromebookにしっかりと接続されていることを確認しましょう。
電源タップを使用している場合はタップの故障の可能性もあります。壁のタップに直接ACアダプターを接続してみましょう。
それでも充電できない場合は、充電器をコンセントやChromebookから外し、しばらく放電させます。
再び充電器を接続して、Chromebookを30分以上充電します。機種によっては充電に24時間かかる場合もあるため、充電しながら周期的に起動を試してみましょう。
Chromebookは充電の状態をランプで確認できます。
通常の場合は、ランプの状態が次のようになります。下記のランプの状態は問題ありません。
ランプの状態 | Chromebookの状態 |
---|---|
点灯(白) | ・バッテリー電源で動作中 ・バッテリー充電完了 |
点灯(オレンジ) | バッテリー充電中 |
遅い点滅(オレンジ) | 充電ケーブルを接続していない休止状態 |
消灯 | 電源が切れている |
反面、オレンジ色で点滅が早い場合、バッテリーが故障している可能性があります。まずは電源を入れ直してみましょう。
それでも点滅が続く場合は、バッテリーの故障の可能性が高いです。メーカーに相談する、学校や職場に相談するなどしましょう。
Chromebookの電源は入っていても、画面が付かず真っ暗な場合は、液晶パネルの故障や内部パーツの故障、OSのクラッシュなどさまざまな原因が考えられます。
画面が真っ暗になったら、まずはLEDランプを確認してChromebookの状態を判断します。
白やオレンジの点灯なら問題ありませんが、消灯している場合やオレンジ色の早い点滅の場合は、バッテリーの故障の可能性があります。
他のモニターに接続してみてモニターが映る場合は、Chromebookの液晶モニターの可能性が高くなります。
問題が見つからない場合は、再起動や初期化、復元などの必要があります。
Chromebookのカメラが起動しない、「カメラが見つかりません」と表示される場合は、カメラを使いたいアプリの不具合の可能性があります。
Chromebookを再起動して、別のアプリでカメラが起動できるかを確認してみましょう。起動できた場合は、アプリの問題のため、アンインストールしてインストールし直しましょう。
カメラが起動しない場合は次の方法を試しましょう。
Chromebookを使い授業や会議に参加するという方も多いのではないでしょうか。突然サウンドが機能しなくなった場合は次の方法を試しましょう。
音声の調整は下記の手順で行います。
参考:Chromebook ヘルプ ハードウェアとシステムの問題を解決する
Chromebookは開くだけで起動するため、電源キーの場所がわからなくなることもあります。Chromebookを開いた状態から起動する場合は電源キーを押す必要があります。
一般的なノートパソコンと同じクラムシェルタイプのChromebookは、キーボードに電源キーが配置されています。
画面が360°回転し、タブレットにもなるChromebookは、電源キーが側面に音量ボタンと一緒に配置されていることが多いです。
Chromebookが起動しない原因は充電不足のこともあり、しっかり充電するだけで問題が解決することもあります。
しかし中には、ハードウェアの故障やOSのクラッシュなどが原因で、ハードリセットや初期化が必要なこともあります。
充電や再起動などの簡単な方法で起動しない場合で、ハードリセットや初期化が難しいなら管理者やメーカーに問い合わせるなども1つです。
ハードウェアが故障した場合は、パーツ交換が必要です。経年劣化が原因で故障している場合は、1つのパーツを交換しても、次々と別のパーツが故障していくというケースもあり、場合によっては買い替えた方がお得なケースもあります。
どうしてもChromebookが起動しない場合は、処分して買い替えを検討しましょう。
監修者/前田 知伸
富士通を経て、リブート㈱代表取締役。パソコンリサイクル業15年目。国内外のIT資格を保有。NHKなど出演実績有り。