PlayStationは、今でも根強い人気を誇るゲーム機です。2023年現在の現行機はPlayStation5(PS5)になりますが、今でもPS3を使っている人もいるでしょう。
長年愛用していると、経年劣化による不具合が生じてしまうケースも珍しくありません。ときには電源が入らなくなってしまう事態に陥る場合もあります。PS3の電源が入らないとプレイ中のゲームを楽しめなくなってしまうので、大きなショックを受けてしまうものです。
今回は、PS3の電源が入らない原因を解説していきます。なぜ電源が入らなくなってしまったのか、電源ランプの色によって異なる意味は何か、などを知りたい人は、ぜひ目を通してみてください。
目次
電源が入らない状況になった場合、原因が分からないと対処のしようがありません。まずは、PS3の電源が入らない場合に考えられる原因からみていきましょう。 PS自体が故障している
PS3の電源が入らないと、真っ先に故障を疑う人が多いと考えられます。内部の電源ユニットのパーツが破損したり、本体に基盤にクラックが生じたりする故障が比較的多いです。故障の原因はすぐに特定できないケースも多く、修理までに時間がかかることも珍しくありません。
電源ケーブルやコンセントが本体としっかり接続されておらず、接触不良を起こしている場合もあります。電源が入らなくなってしまったら、電源ケーブルやコンセントがしっかりと差し込まれているか確認してみてください。きちんと差し込まれていないと通電できず、電源が入らなかった可能性もないとは言い切れません。
PS3の本体が熱くなってしまうことも、電源が入らない原因になります。PS3は、発熱性が比較的高いと言われているゲーム機で、発熱量に応じてファンが回る仕組みです。ファンが回転するにもかかわらず内部は熱くなりやすいため、本体の高熱化に悩むユーザーも少なくありません。
特に初期型のPS3は改良型に比べて消費電力が大きく、本体も熱くなりやすいとされています。本体が高温になればフリーズが発生し、電源がつかなくなる場合もあるでしょう。
PS3が熱を持って電源が入らない状況が増えてきたら、置き場所や置き方を変える、クーリングファンを活用するなどの工夫が必要です。横置きから縦置きに変えると接地面が少なくなるので、本体の内部に熱を溜めにくくなります。
USBケーブルでつなげるクーリングファンを使うのも効果的です。本体に風を当てることで熱が逃げやすくなります。
ほかにも、本体を掃除してほこりを除去する、熱伝導性が高いアルミ製のすのこの上に置いてプレイするなどの対策も取り入れてみましょう。本体が熱を持つようになって電源が入らないことが増えたのであれば、これらの方法もぜひ試してみてください。
YLODは、電源ランプが黄色もしくは赤色に一時的に点滅し、そこから全く起動しなくなってしまう症状です。PS3やPS4で発生しますが、頻度はPS3の方が多くなっています。
YLODに陥ってしまうのは、基盤に原因があるとされています。基盤に付いているCPUが故障したことで発生している可能性が高いです。
経年劣化や本体の発熱ではんだ付けされている部分の溶接が甘くなってしまい、はんだが割れてしまうトラブルも珍しくありません。はんだが割れてしまうと、CPUと基盤が接続されていない状態になってしまい、YLODが発生します。
PS3は、電源ランプの色から状況を把握できます。続いては、電源ランプが赤色で点滅している、電源ランプが赤色と緑色で交互に点滅している、電源ランプが消灯している場合、PS3本体がどのような状況に陥っているか解説しましょう。
電源ランプが赤色で点滅している場合は、本体の温度が上昇している可能性が高いです。また、YLODでも赤色の点滅が起こるため、温度を下げても継続する場合は温度上昇だけが原因ではないと考えられます。赤色ランプが点滅すると電源が入らなくなってしまい、ディスクの取り出しもできない状況です。
手動でディスクを取り出す方法は、型番によって異なります。CECH-4000シリーズはディスクカバーをスライドさせれば簡単に取り出すことが可能です。ほかのシリーズならイジェクトボタンを10秒以上押し続け、イジェクトランプが点滅するとディスクが取り出せます。
また、本体の背面にある主電源を切ってからイジェクトボタンを押しつつ主電源を入れると、約10秒ファンが回転してディスクの強制排出が可能です。強制排出ができたら、電源ランプが赤く点灯していることを確認し、電源コードを抜きましょう。ディスクを取り出した状態で再度電源を入れて本体の状態を確認してみてください。
電源ランプが赤色と緑色で交互に点滅しているのは、本体の内部が熱くなっている可能性が高いことを示します。室温が高いところで使ったり、通風孔が塞がれた状態で使ったりしていると、このようなエラーが出やすいです。
そのため、エアコンや扇風機を使って部屋の温度を下げる、通風孔が塞がれていないかチェックして置き場所を変えるなどの対策をとってみましょう。その後PS3の電源を切り、風通しのいい場所でしばらく放置します。熱が収まったら再度電源を入れてみてください。
熱が原因であれば、問題なく電源が入るはずです。電源が入らない場合は、故障していて起動できない状態になっている可能性が高いと考えられます。
電源を入れると、赤色のランプが点灯するのが通常の動作です。しかし、電源ランプが消灯したままになってしまうこともあります。電源ランプがつかないのは、本体に何らかの異常が発生していると考えられるでしょう。
故障ではなく、電源ケーブルやコンセントの差し込みが甘くて通電していないパターンもないとは言い切れません。そのため、電源ケーブルやコンセントなどをチェックし、問題がないのに電源ランプが消灯したままであれば、本体の内部が故障していると考えるようにしましょう。
次に、YLODが起こるとどうなるのか、応急処置はできるのか、修理はしてもらえるのか、などの疑問に答えていきます。
・YLODとは?
YLOD(Yellow Light Of Death)は、赤ランプ点滅故障問題とも呼ばれるトラブルです。メイン基板のハンダクラックが主な原因と言われています。
初期型PS3の場合、電源ボタンを押すと「ピッ」と電子音が鳴り、一時的に電源ランプが緑に点灯してファンが回り始めると、すぐに「ピピピッ」と電子音が鳴ります。それから電源ランプが黄色に点灯してから内部のファンが止まり、電源ランプが赤色に点滅します。
電源スイッチに触れると点滅は止まるものの、赤色に点灯し続けます。この流れを繰り返すのがYLODの症状です。
ディスクが入っていることを示す緑色のランプは基本的に点灯しません。つまり、本体はディスクを認証できていない状態にあります。
普通に使えていたと思ったら突然フリーズやブラックアウトをし、こういった症状が出現するケースが多いです。時間を置いてから試すと正常に起動できる場合もありますが、1回のYLODで再起不能になってしまう可能性もあります。2度目以降はさらに再起不能となってしまうリスクが高いので、正常に起動できたらすぐにバックアップを取っておきましょう。
・YLODの応急処置は可能?
YLODの応急処置は、ドライヤー、プラスドライバー、セロハンテープを使ってできます。PS3本体の背面にある排気口からドライヤーで熱風を送り、内部の温度を上げる方法です。
温度を上昇させることではんだを膨張させ、ハンダクラックを一時的に解消します。作業していると「パンッ」や「パチッ」と音がする場合もありますが、気にせずに作業を進めてください。温め終わったら本体が常温になるまで待ち、電源を入れてみましょう。
起動しないときは再度温め、常温まで待たずにすぐ電源を入れる方法も試してみてください。解消されないときは、セロハンテープで密閉しながら送風時間を延長してみるのも1つの手段です。
・SONYへの修理依頼は可能?
YLODの問題を解消するために、開発元のSONYへ修理を依頼したいと考える人もいるでしょう。現在、SONYではPS5・PS4の修理対応を行っているものの、PS3に関しては2022年4月末でアフターサービスの受付を終了しています。そのため、SONYへPS3の修理依頼はできません。
ただし、SONYとは別の修理業者への依頼は可能です。依頼業者の中にはYLODへの問題にも対応してくれるところもあります。ただし、修理の保証がつかないケースや復旧に至らないケースもあるので注意が必要です。
PS3の電源が入らなくなってしまったら、電源コードの状態も確認してみてください。最後に、電源コードの状態をチェックする方法と対策を解説していきます。
電源コードの差し込みが甘くて電源が入らない状態になっている場合もあります。そのようなときは、コンセントを差し直すだけで電源が入るようになるので、まずは差し直す作業を試してみてください。コンセント側だけではなく本体側の電源プラグも差し直してみると、接続不良が解消され、電源が入るようになります。
電源コードの接続部にある端子にほこりが溜まっている場合もあります。ほこりが溜まっていると、それが接続不良の原因になる可能性もあるので、取り払ってみましょう。
ほこりを取るときは息を吹きかけるのではなく、綿棒などで優しく拭き取るのがおすすめです。端子部分は繊細なので息を吹きかけたときの飛沫でさらに汚れてしまう可能性があります。綿棒などを使って優しく拭き取るようにしましょう。
対応可能なコードを探し、代用する方法もあります。これまでに紹介した方法で改善されない場合は、ほかのコードを試してみてください。パソコンのケーブルや過去のプレステ用ケーブルであれば、代用できる可能性が高いです。
代用できるケーブルは、シリーズによって異なります。CECH-A00・B00・H00・L00シリーズは、本体に接続する部分が三又になっていて、コンセント側にアース線があるタイプであれば代用可能です。CECH-2000・2100・2500・3000・4000・4200・4300シリーズは、本体に接続する部分が二又になっていて、コンセント側にアース線がないタイプを代用できます。
後者は、通称メガネケーブルと呼ばれているものです。PS2やPS4のケーブルがメガネケーブルなので、もし持っている場合はそちらを代用してみてください。代用可能なケーブルが自宅にない場合は、PlayStation部品販売サービスで購入しましょう。
今回はPS3の電源が入らない原因やランプの色別状況、対策方法をご紹介してきました。PS3の電源が入らなくなったときは、まず電源ランプを確認してみてください。ランプの付き方からどのような状況なのか判別できます。
PS3は現行機ではないため、すでにSONYのアフターサービスは終了しているので注意が必要です。どうしても修理をしたい場合はゲームの修理業者に相談してみましょう。
監修者/前田 知伸
富士通を経て、リブート㈱代表取締役。パソコンリサイクル業15年目。国内外のIT資格を保有。NHKなど出演実績有り。