PS3に内蔵されるHDDの容量には限界があり、ゲームソフトやアプリ、スクショ画像・動画などがいっぱいになると容量不足になってしまいます。そこで、HDDを交換して容量を増やしたいと思っていませんか?
正しい手順を踏めば、PS3のHDDは個人でも交換が可能です。今回は、PS3のHDD交換にあたって知っておきたい規格や必要なもの、交換の手順まで解説しています。PS3のHDD交換を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
PS3で使えるHDDの規格は決まっています。規格に合わないHDDを用意してしまうと交換できなくなるので、注意しましょう。PS3に対応したHDD規格は以下のとおりです。
内蔵HDDのサイズには、3.5インチと2.5インチの2種類があります。PS3の場合、ノートパソコンや省スペースのデスクトップPCなどでも使われる、2.5インチのものを用意してください。
また、HDDだけでなくSSDへの交換も可能です。SSDは読み書きの速度が速く、動作音が小さいなどのメリットがあります。
ただし、HDDに比べて最大容量が少ない欠点もあるので注意が必要です。さらに、ニコニコ動画やYouTube動画などの視聴、オートセーブなどでストレージを頻繁に書き換える必要がある場合、書き込み回数に寿命があるSSDよりもHDDを選んだ方がいいでしょう。
SATAインターフェイスの規格は、Serial ATAとなっています。かつて主流だったパラレルATAには対応していないので気をつけてください。
HDDのサイズだけではなく、厚さ9.5mm以内かどうかも確認しましょう。これ以上に厚さがあると、スロットに入らないためHDDを内蔵できなくなります。
対応しているHDDの最大容量は1.5TBです。PS3(CECH-4000シリーズ)の購入時の容量は250GBと500GBとなっています。たまにゲームを買ってプレイするぐらいならば、容量不足になることは少ないでしょう。
反対にたくさんゲームを買ってプレイしたり、画像や動画、音楽データなどを保存したりしている人はあっという間に容量オーバーとなってしまいます。1.5TBもあれば、容量を気にせずゲームの購入やデータ保存が可能です。
しかし、容量が大きいHDDほど価格は高くなるので、自分に必要だと思う容量を選ぶようにしましょう。
PS3のHDD交換するために、揃えておくものがいくつかあります。続いては、HDD交換に必要なものをご紹介しましょう。
PS3の分解やHDDの取り付けにドライバーが必要です。ドライバーにはプラスとマイナスがありますが、PS3のHDD交換ではプラスドライバーH型を用意しましょう。
また、ドライバーのサイズは「1番」となっているので、サイズ違いに注意してください。サイズの合わないドライバーを無理に使うとネジ穴をつぶしてしまい、HDDや本体の外装を固定できなくなってしまいます。
新しいHDDに交換するにあたって、元々内蔵されていたHDDに保存されているPS3のソフトウェアやデータを移動させる必要があります。交換する前にUSBメモリにソフトウェアのダウンロードや画像や動画などのファイルを移動させておきましょう。
システムソフトウェアのダウンロードは、パソコンからPlayStationの公式サイトを経由して行います。手順は以下のとおりです。
1.USBメモリの中に「PS3」と名前を付けたフォルダを作っておきます。
2.PS3フォルダ内に、さらに「UPDATE」と名付けたフォルダを作成しましょう。
3.PlayStation公式サイトの「PlayStation3システムソフトウェアアップデート」ページへ移動してください。
4.「PS3アップデートをダウンロードする」を右クリック、「名前を付けてリンク先を保存…」を左クリックします。
5.パソコンに「PS3UPDAT.PUP」がダウンロードされたら、USBメモリ内の「UPDATE」フォルダへ移動させます。
なお、USBメモリはデータのバックアップをとるときにも活用できることから、なるべく新品のメモリを用意するといいでしょう。ただし、PS3専用として販売されている「CECHA00(60GB)」と「CECHB00(20GB)」は、すでにシステムソフトウェアが入っている状態のため、USBメモリは別途用意する必要はありません。
PS3のHDD交換を行うには、PS3と互換性のあるHDDを用意する必要があります。互換性に関しては、上記でご紹介したように、2.5インチかつ9.5mm のSATA インターフェイスであればほとんどの製品はPS3と互換性を持っています。
PS3にはSATA1(150MB/s)のインターフェイスが搭載されているため、SATA1の購入を検討されている方も多いでしょう。しかし、SATA2(300MB/s)でも利用できるため、コストを抑えたい方はSATA2を選ぶのがおすすめです。
また、PS3に活用したあとでハードディスクを別の製品に活用しようと考えているのであれば、SATA3(600MB/s)のハードディスクを購入した方がいいでしょう。
PS3のHDD交換に必要なものが準備できたら、実際に交換を行っていきましょう。PS3のHDD交換は大きく5つのステップで行います。
まずは、PS3内に保存されているデータのバックアップを取ります。もしPS3内にデータを保存していないのであれば、次のステップへ移行しましょう。
データをバックアップするためには、保存するためのUSBメモリが必要です。以下の手順にしたがって、HDD内にあるデータをUSBメモリに移動させてください。
1.USBメモリをPS3本体にあるUSBコネクタに接続します。
2.PS3を起動させ、メニュー画面にある「設定」→「本体設定」を選びます。
3.さらに「バックアップユーティリティ」にある「バックアップ」を選択してください。
4.バックアップを選択するとトロフィーデータに関する注意書きが表示されます。注意書きを読んだら「はい」を選択してください。
5.「はい」を選ぶと保存先の選択画面が表示されます。その中から「USB機器」を選択するとバックアップが行われ、完了画面が表示されれば終了です。
上記の方法はデータをまとめてバックアップするための方法です。一部データのみバックアップしたい場合は、オプションメニューから「コピー」「ムーブ」「バックアップ」のいずれかを選んで、必要なデータだけをバックアップさせましょう。
なお、トロフィーデータに関する注意書きでは、ゲーム内で取得したトロフィーデータはバックアップができないことを説明しています。トロフィーデータも残しておきたい場合は、Sony Entertainment Networkのアカウントを作ってオンラインサーバーに保存しなくてはなりません。
トロフィーデータを保存するには、PSN℠にサインインをしてからPlayStation™Networkに接続してください。次に、トロフィーコレクションを選択して△ボタンを押すと、オプションメニューが表示されます。「サーバーと同期」を選べばトロフィーデータがPSN℠サーバーに保存されます。
データのバックアップが完了したら、いよいよ交換作業に移ります。まずはPS3を分解して、HDDを取り外しましょう。HDDの取り外しとなると難しそうに思えるかもしれませんが、実際にはプラスドライバーさえあれば誰でも簡単に取り外しが可能です。
1.PS3の電源を切り、本体に接続しているケーブルをすべて取り外してください。
2.本体を裏返すとネジを隠しているカバーがあります。カバーをずらしてネジを取り外しましょう。
3.ネジを取り外したら、次は本体の前面にあるカバーを取り外します。カバーは正面から見て右方向にスライドさせると外せます。
4.カバーを取り外すとHDD交換のマウンタが見えるので、取っ手の箇所を手前に引き出すと外れます。ただし、手前に引き出す際には力が入り過ぎないように気をつけてください。
5.HDDはトレイに固定されているため、ドライバーを使って固定金具4ヶ所をすべて取り外します。
これでPS3から古いHDDを取り外せます。早ければ5分程度で取り外すことが可能です。
次に、新しいHDDを取り付けていきます。基本的には古いHDDを取り外したときと逆の手順で行えば取り付けが可能です。
1.新しいHDDをトレイにのせ、四隅をネジで固定させます。
2.固定させたHDDをPS3本体に差し込み、カバーをはめてください。
3.本体裏側のネジを1本付け直したら、ネジを隠していたカバーをはめます。
4.あとはPS3に電源コードなどを接続させれば完了です。
新しいHDDに交換したからと言ってもすぐにゲームができるわけではありません。新しいHDDへシステムソフトウェアを再インストールさせる必要があります。再インストールする手順は以下のとおりです。
1.PS3にシステムソフトウェアをダウンロードしておいたUSBメモリを差し込みます。
2.PS3を起動させると「システムソフトウェアが正しく動作できません。PSボタンを押して再起動してみてください。」と書かれた画面が表示されます。画面が表示されたらスタートボタンとセレクトボタンを同時押ししましょう。
3.次に「本体ストレージのシステム領域をフォーマットします。~」と書かれた画面が表示されます。表示に従って、スタートボタンとセレクトボタンを5秒以上同時押ししてください。同時押しをするとフォーマットが開始されます。
4.あとは自動的にシステムソフトウェアのインストールが行われます。インストールがすべて完了するとPS3が再起動し、初めてPS3を起動した際の画面が表示されます。
ここからさらに初期設定を行います。初期設定の流れは以下のとおりです。
1.「コントローラをUSBケーブルで接続して、PSボタンを押してください」と表示されるため、指示にしたがってPSボタンを押します。
2.表示言語は「日本語」を選択しましょう。
3.HDMIで接続している場合、初期設定で「HDMIが検出されました。映像と音声をHDMIから出力しますか?」と聞かれます。HDMIで出力する際は「はい」を選択してください。
4.次にタイムゾーンを設定します。日本国内の場合は「GMT+09:00 東京」を選びましょう。
5.現在の日付・時刻を設定します。
6.ログインするユーザー名を設定してください。
7.次にインターネット接続設定を行います。今すぐに設定しなくてもいい場合は×ボタンを押しましょう。
8.そのまま接続設定を行う場合は、まず接続方法を選択します。有線か無線を選び、有線で接続する場合はLANケーブルを本体に接続してください。
9.次にPPPoEユーザーIDとPPPoEパスワードを入力する画面が表示されます。しかし、PPPoEのIDとパスワードはルーターなどで設定されているため「中止」の×ボタンを押して終了しましょう。
これで初期設定は完了し、いつものメニュー画面へと移行します。
初期設定が完了すればいつもどおりにPS3を使って遊べるようになりますが、バックアップしたデータを戻したい場合はここから復元作業に入ります。復元する際はPS3に接続しているUSBメモリを取り外さないように注意してください。バックアップデータを復元する手順は以下のとおりです。
1.まず、PS3のメニュー画面から「設定」→「本体設定」を選びます。
2.次に「バックアップユーティリティ」を選択し、「リストア(復元)」を選びましょう。
3.リストアを選択すると「リストアする前に本体ストレージ内のデータがすべて削除します。」と表示されます。この画面が表示されたら「はい」を選択してください。
4.「はい」を選ぶと保存先の選択画面に移ります。「USB機器」を選択し、復元したいバックアップデータを選びます。
5.最終確認画面が表示されるので、「はい」を選択すればデータが復元されます。
なお、場合によってはリストアが失敗してしまう可能性もあります。リストアが失敗する原因として考えられるのは、以下の項目です。
・PS3本体とHDDの相性が悪い
・新しいHDDが不良製品だった
・PS3本体に不具合がみられる
PS3と互換性のあるHDDを使っていても、相性の悪さからリストアが失敗するケースもあります。別のHDDで解決する可能性もありますが、それでも解決しない場合は外付けのメモリにセーブデータを1つずつ手動でコピーする方法を試してみてください。コピーができないものに関しては削除となるため、注意が必要です。
今回は、PS3のHDD交換の手順をご紹介しました。PS3のHDD交換はデータをきちんとバックアップしておけば意外と簡単にできます。今回ご紹介した正しい手順にしたがって、HDDの取り扱いに注意しつつ交換を行ってみましょう。
PS3のHDD交換は自分で行うことも可能ですが、正しい手順どおりに行わないと故障するリスクもあります。特に初期型のPS3はPS2のソフトと互換性があることから、現在は価格が高騰しており手に入りづらくなっています。交換作業によって貴重な初期型PS3を壊したくない場合には、PS3のHDD交換にも対応している修理業者に相談してみましょう。
監修者/前田 知伸
富士通を経て、リブート㈱代表取締役。パソコンリサイクル業15年目。国内外のIT資格を保有。NHKなど出演実績有り。