SDカードは、iPadからスマートフォン、デジタルカメラ、テレビに至るまで、さまざまな機器で使用する機会があります。小型で手にする機会も多いですが、iPadに差し込んだときに読み込めない事態になるケースも少なくありません。
SDカードが正常に読み込めない原因とは、いったい何でしょうか?今回は、iPadでSDカードが読み込めない原因や対処法、SDカードの使用する際の注意点などをご紹介します。
目次
iPadでSDカードの読み込みができない場合、5つの原因が考えられます。ここでは、SDカードが読み込めない原因をご紹介しましょう。
まず考えられる原因は、SDカードそのものの接触不良です。SDカードの接続部分は、カバーもなくむき出しの状態となっているため、保存状態が悪かったり、接続部分が汚れていたり、摩耗したりしている場合はiPadに差し込んでも認識できない可能性があります。
SDカードだけでなく、カードリーダーも同様に、接続部分の汚れやコードの不良などが起こっていれば、iPadで正常に読み込めません。iPadにSDカードを差し込むときには、カードリーダーがきちんと接続されているか、SDカードの汚れや摩耗がないかときちんと確認しておきましょう。
機器の状態が悪い場合もあれば、iPad本体の問題でSDカードが読み込めない場合もあります。スマートフォンと同様に、iPadは定期的に最新バージョンへのアップデートが必要です。しかし、何らかの理由で最新バージョンにアップデートされていないと、SDカードを差し込んでも読み込めない可能性があります。
また、SDカードを差し込む場所であるiPadの接続端子部分に不具合がある場合も、正常に読み込みができません。iPadの接続端子部分は、使っているうちに汚れが溜まってきます。汚れている状態でSDカードを差し込んでしまえば、故障の原因になる恐れがあり、注意が必要です。
SDカードが故障していれば、iPadでの読み込みも不可能です。SDカードは、経年劣化や接触部分の破損など、物理的な劣化による故障も少なくありません。小さく強度もないため、デスクから床に落としてしまったり、誤って水没させてしまったりと、原因はさまざまです。
SDカードが故障している場合、データを復旧するのは困難になります。日頃からSDカードの取り扱いには注意し、早めにデータを保存しておくことが大切です。
長く使い続けている場合、カードリーダーの故障も考えられる原因です。特に、カードリーダーの接続端子に汚れが溜まっていたり、摩耗したりしていると、故障につながってしまいます。
SDカードをほかのカードリーダーに差し込んでみて、カードリーダーに問題があるのか、SDカードに問題があるのかを確かめましょう。iPadの種類やバージョンによって、外部機器に接続するためのコネクターも異なるので、正しいものを使用しているか確認しておくと安心です。
SDカードと一口に言っても、種類は豊富で、容量の大きさや規格はそれぞれ異なります。見た目は似ているため、規格に合わないものを使っていても詳しくない方なら気付けないかもしれません。
SDカードの場合、容量の違いでSDやSDHC・SDXCの3種類に分けられます。microSDカードであれば、microSD・microSDHC・microSDXCの3種類です。いずれも大きさは同じですが、規格は容量によって異なるのでiPadの対応規格に合っているかよく確認する必要があります。
iPadのようなタブレットの場合、SDカードの4分の1ほどの大きさのmicroSDを使用するケースが多いでしょう。一方、パソコンやプリンター・デジタルカメラ・テレビなどはSDカードを使用します。
iPadにSDカードを差し込んでも読み込めない場合、iPad よりもSDカードの方に問題がある場合が多いです。SDカードには、物理障害と論理障害の2つのパターンがあります。ここでは、SDカードに発生しやすい物理障害と論理障害がどのようなものなのかご紹介しましょう。
物理障害は、その名の通りSDカードを物理的に破損してしまい、正常に動かなくなった状態のことです。たとえば、接触部分の汚れや傷に加え、折れ・水没などが挙げられます。
SDカードは薄く強度がないものなので、iPadに差し込んだり抜いたりするうちに傷が付き、摩耗しやすいです。接触部分に傷が付くと、iPadに差し込んでも認識しないばかりか、データの読み書きも不可能になってしまいます。
また、SDカードにはデータの書き込み回数に上限が設けられているため、上限に達してそれを超えてしまった場合は、データの読み込みや表示ができません。このほか、静電気や経年劣化による故障も起こりやすいです。長く使用している場合は破損しやすいので、使い方には十分注意しましょう。
論理障害とは、フォーマット情報やファイル名・ファイルのデータ情報・フォルダ名など、ファイルシステムが破損したりエラーになったりする障害です。たとえば、システムやプログラムの破損・誤動作でのデータ消去・データの初期化・ウイルス感染・経年劣化などが該当します。
論理障害が発生する原因として多いのが、データを保存している最中にSDカードを抜いてしまったケースです。書き込みしているときにiPadを落下させてしまい、強制停止したケースや、iPadのバッテリー切れによって発生する場合もあります。
SDカードを正しく使用していればこうした問題は発生しませんが、突然論理障害が起こった場合は、ウイルス感染や経年劣化が原因の可能性が高いです。SDカードを読み込んでもデータが表示されなかったり、ファイル名やデータの文字化けが起こったりするなら、論理障害によるものかもしれません。
ここからは、iPadでSDカードの読み込みができなかったときの対処法をご紹介します。対処法はさまざまな方法がありますが、まずは以下を試してみてください。
SDカードが読み込めないときは、接触不良を起こしている可能性が高いです。まずは1度SDカードを抜き、接続端子部分やSDカードの接続部分の汚れを取り除きましょう。
精密機器のため、汚れを取り除く際は水を使わずに、綿棒で優しくきれいにしてみてください。汚れを取り除いた後でもう1度SDカードを差し込んでみると、読み込みができる可能性があります。SDカードを奥まで差し込めていない場合もあるので、差し込むときはきちんと奥まで差し込んでいるか確かめましょう。
SDカードを引き抜いてから、外傷がないか確認してみましょう。SDカードは薄く小さな繊細な機器なので、物理的障害によって破損しやすいです。外傷は、SDカードの落下や挿入向きの間違い・過度な抜き差し・SDカードの上に物を置くなど、さまざまなケースが考えられます。
SDカードは小さいので、子どもやペットが誤って口に含んでしまう可能性もあるため、保管場所にも注意が必要です。曲がっていたり折れていたりする場合は、差し込んでも読み込めません。折れ曲がっている状態で無理にiPadに差し込むと、iPadに支障が出る恐れもあります。
特にSDカードに不具合が見つからなかったなら、iPad側に問題が発生している可能性が考えられます。これまでSDカードを差し込んで読み込みに支障がなかった場合は、iPadを再起動してみてください。iPadに関わらずスマートフォンやデジタルカメラなどでも同じことが言えますが、不具合が出たときに再起動を行うと、機器内部のメモリが整理されて動作しやすくなります。
ただ、何度も再起動すると、大切なデータがなくなってしまう可能性があるため、再起動するのは1回のみにしましょう。再起動してもSDカードの読み込みができなかった場合は、そのほかの原因が考えられます。
SDカードには容量によってSD・SDHC・SDXCの3種類に規格も異なっており、対応規格も異なります。間違って異なる規格を使用していた場合、規格が合わないために読み込みができない可能性が高いです。
この場合は、規格に対応したカードリーダーに変更すれば認識可能です。自分が使っているSDカードのサイズに合うかどうかも確認してからの使用をおすすめします。
カードリーダーの接続端子部分が故障している場合は、SDカードやiPadに問題がなくても正常に読み込みができません。接続線が断線している場合も、正常に認識できなくなってしまいます。
カードリーダーに問題があるなら、別のカードリーダーに変えてみましょう。1度カードリーダーを取り外し、ほかの端末でSDが認識される場合は、取り外したカードリーダーに不具合がある証拠です。
また、iPadのようにApple社の端末でカードリーダーを使用する際には、「MFI認証」のあるカードリーダーを使用するのが推奨されています。それ以外のカードリーダーでは、SDカードの読み込みはできてもアップデートに対応できない可能性があるからです。特にiPadは機種によっても端子が異なるため、使用するカードリーダーの接続端子部分が合っているか確認してみてください。
Lightroomは、「ON」の状態にしてからSDカードを差し込みましょう。Lightroomが「OFF」になっている場合、SDカードを差し込んでも読み込みができません。
LightroomをONへと切り替えするのは、iPadの設定から可能です。iPadの設定内にある「プライバシー」を開き、「ファイルとフォルダ」を選択すると、Lightroomの設定の切り替えが可能になります。SDカードを差し込んでも認識されない場合は、iPadのLightroomがONになっているか確かめてみてください。
iPadは定期的にバージョンアップするので、OSが最新の状態になっていなければ、アップデートを行ってから再度SDカードを読み込んでみてください。
アップデートした後で正常に読み込みできれば、その後も問題なく使用できます。仮に最新バージョンへとアップデートしても読み込めない場合は、再起動を行うと正常に読み込みできる可能性があります。
iPadでSDカードの認識ができないなら、カードリーダーを使って読み込みできるか試してみましょう。ほかの機器でSDカードが正常に機能するなら、機器に不具合が発生している証拠です。
一方、別の機器を使ってもSDカードが読み込めないのであれば、SDカードそのものに問題が発生している可能性が高いでしょう。ほかの機器で試してみることで、原因がどこにあるのかを把握できます。
どのような方法を試してもSDカードの読み込みができなかった場合は、データ復旧ソフトの使用を検討してみてください。データ復旧ソフトは、その名の通りSDカードに保存したデータを復元できる可能性があります。ただ、物理障害による破損や故障が原因だった場合は、復旧ソフトは使用できません。
また、復旧ソフトによってSDカードが認識できても、状態を悪化させたり上書きして元のデータが読み込めなかったりするケースもあります。無理に操作すればデータの復旧はより困難になるため、データ復旧業者への相談も検討しましょう。
iPadでSDカードが読み込めないのは、決して珍しいことではありません。しかし、SDカードの取り扱いには日頃から注意しておく必要があります。最後に、SDカードを使用する際にやってはいけないことをご紹介しましょう。
上記でも述べたように、SDカードは何度も抜き差しすると傷が付いたり摩耗したりする可能性が高くなります。何度も抜き差ししたことで、結果的に保存していたデータが破損する恐れがあるからです。
SDカードは繊細な機器のため、不具合がある状態で無理に抜き差しするとデータの復旧が困難になってしまう可能性もあるでしょう。iPadで読み込みたいときに上手くいかなかった場合は、1度だけ抜き差しして改善するかどうか試してみてください。
データを読み込みしているときにSDカードを抜くのは避けましょう。途中でSDカードを抜いてしまえば、データの読み取りも書き込みもできなくなる可能性があります。最悪の場合、SDカードを差し込んでも認識しなくなるかもしれません。
そのような事態にならないようにするためにも、データの読み込み中や書き込み中に引き抜かないよう十分に注意してください。使い方に注意すれば、SDカードは長く使用できます。
SDカードは薄く、過度な負荷には耐えられないため、使用時は優しく力をかけないようにしなければなりません。SDカードはデータを記録するための記録チップがカードに一体化されているので、少しでも傷や亀裂が入るとデータの読み込み・書き込みができなくなります。
無理にカードリーダーに差し込むと、折れ曲がったり記録チップそのものに損傷が起こってデータが破損したりする危険があります。使用する際には、SDカードの向きが正しいかよく確かめ、ゆっくり差し込んでください。
SDカードを手渡しする際や、カードリーダーにSDカードを入れるときなどにも静電気は発生します。
精密機器なので、静電気の影響で壊れてしまう可能性があり、慎重に取り扱わなければなりません。使用する際には室内の乾燥を避け、手を洗ったり手袋をしたりしてから触れるようにしましょう。
何らかのトラブルが発生している場合は、通電し続けないようにしてください。不具合が発生しているにも関わらず、そのままSDカードを差し込んだ状態にしていると、通電を続けてさらに状態が悪化する恐れがあります。
まずは差し込んでいたSDカードを抜き取り、電気が通らないようにしましょう。いくつかの対処法を試そうとして何度も抜き差しするのも避けてください。
仕事やプライベートでも、SDカードは人々の身近にあるもののため、正しい取り扱い方を十分に理解しておく必要があります。しかし、身近にあるが故に、SDカードが曲がっていたり折れていたりするのを無理に直そうとする方も少なくありません。
しかし、SDカードに無理に力を入れてしまうと、記録チップが破損してデータの復旧が難しくなる可能性もあります。むやみにSDカードを触らないようにし、データ復旧業者への相談を検討しましょう。
iPadでSDカードの読み込みができないトラブルは、珍しいことではありません。そんなときは、SDカードの状態はもちろん、iPadやカードリーダーの状態を確認し、どのような不具合が発生しているのか明確にしましょう。
何が原因かわかれば、正しく対処できます。大切なデータを損傷しないためにも、取り扱いには十分に注意してください。
監修者/前田 知伸
富士通を経て、リブート㈱代表取締役。パソコンリサイクル業15年目。国内外のIT資格を保有。NHKなど出演実績有り。