パソコンを使用している最中、突然ブルースクリーンが発生する場合もあります。「問題が発生したため、PCを再起動する必要があります」「Windowsの準備をしています。コンピューターの電源を切らないでください」などのメッセージが表示されると、どうすればいいか焦ってしまうものです。一時的な不具合の可能性もありますが、そうでない場合もあるので対処法を把握しておく必要があります。
そこで今回は、ブルースクリーンの概要やWindows10で発生する原因、エラーコード一覧、発生時の対処法などを解説していきます。
目次
ブルースクリーンはWindows10を起動しているとき、もしくは使用中に画面が突然青くなり、エラーメッセージが表示される現象です。パソコンに不具合が生じているため、問題を解決するために再起動しようとします。Windows10をはじめとしたパソコンに備わっている機能の1つです。
ブルースクリーンが発生している最中は、マウスやキーボードの操作ができなくなります。復旧後も根本的な原因を解決しなければ、ブルースクリーンが繰り返される場合もあるでしょう。ブルースクリーンのまま画面が変わらないときや、起動時にブルースクリーンが表示される現象が続くときは、深刻な問題がパソコンの内部で発生している可能性が高いです。
Windows10でブルースクリーンが発生する原因はいくつか考えられます。どれが原因なのかは調べてみないとわかりませんが、事前にどのような原因があるのか知っていれば予想できるでしょう。ここからは、どのような原因でWindows10のブルースクリーンが発生してしまうのか解説していきます。
ドライバーは、パソコンが内蔵されているHDDやSSD、外付けHDD・SSD、USBメモリーなどのデバイスを認識するためのソフトウェアです。Windowsに標準搭載されているドライバーだけではなく、Windows Updateで追加されるドライバーやユーザーがインストールするドライバーもあります。ドライバーに何らかの問題が生じると、デバイスの認識ができなくなってパソコンの動作が停止し、ブルースクリーンの発生につながるでしょう。
HDDやSSDに問題が発生し、ブルースクリーンになってしまうこともあります。パソコンに内蔵されているHDD・SSDが故障してしまったり、外付けHDD・SSDの接続ケーブルが断線または接触不良を起こしたりしている可能性が高いです。パソコンが正常に動作できない状況になるため、ブルースクリーンが発生してしまいます。
メモリーは、パソコンの処理を効率的に行うためのデータを一時的に保存する場所です。HDDやSSDと比べてみるとデータの処理速度が早くなっています。ただし、メモリーの性能や容量に依存するため、どのようなメモリーを積んでいるかによって処理速度に大きな差が生まれることも珍しくありません。
メモリーが故障してしまった場合、データの処理が正常に行えなくなってしまいます。正常な処理が行えなくなると、ブルースクリーンの発生につながるでしょう。
パソコンがウイルスに感染するとシステム面で不具合が生じ、ブルースクリーンが発生する可能性が高いです。ウイルスの種類は非常に多く、パソコンに与える影響も異なります。システム面に何らかの影響を及ぼすウイルスに感染してしまった場合、パソコンも正常に動作できなくなってしまうでしょう。
Windows10のブルースクリーンが発生するとエラーコードが表示されます。エラーコードによって想定される原因が異なるため、把握しておくと対処しやすくなるでしょう。続いては、原因ごとに異なるエラーコードを解説していきます。
ドライバー関連のエラーコードには以下の4つが挙げられます。
・0x0000000A
故障原因のエラーコードは「IRQL_NOT_LESS_OR_EQUAL」と表示されます。不適切なメモリーアドレスが使用された場合に出てくるメッセージです。
・0x0000007E
故障原因のエラーコードは「SYSTEM_THREAD_EXCEPTION_NOT_HANDLED」と表示されます。ドライバーが破損したり、ドライバーの互換性に問題があったりする場合に出てくるメッセージです。
・0x000000BE
故障原因のエラーコードは「ATTEMPTED_WRITE_TO_READONLY_MEMORY」と表示されます。ドライバーやメモリーが破損している可能性を示すメッセージです。
・0x0000003F
故障原因のエラーコードは「NO_MORE_SYSTEM_PTES」と表示されます。ドライバーのメモリー管理が適切に行われていない可能性を示すメッセージです。
HDD・SSD関連のエラーコードには以下の4つが挙げられます。
・0x00000024
故障原因のエラーコードは「PAGE_FAULT_IN_NONPAGED_AREA」と表示されます。ファイルシステムや不良セクターが破損している可能性を示すメッセージです。
・0x000000ED
故障原因のエラーコードは「UNMOUNTABLE_BOOT_VOLUME」と表示されます。HDDが物理的に故障している可能性を示すメッセージです。
・0x0000007A
故障原因のエラーコードは「KERNEL_DATA_INPAGE_ERROR」と表示されます。HDDやメモリーが物理的に故障している可能性を示すメッセージです。
・0x000000F4
故障原因のエラーコードは「CRITICAL_OBJECT_TERMINATION」と表示されます。HDDが故障していたり、ケーブルが破損したりしている可能性を示すメッセージです。メモリーが原因でこのエラーコードが表示される場合があります。
メモリー関連のエラーコードには以下の4つが挙げられます。
・0x0000002E
故障原因のエラーコードは「DATA_BUS_ERROR」と表示されます。メモリーに何らかの不良が起こっている可能性を示すメッセージです。
・0x00000050
故障原因のエラーコードは「PAGE_FAULT_IN_NONPAGED_AREA」と表示されます。メモリーが物理的に破損している可能性を示すメッセージです。
・0x000000F2
故障原因のエラーコードは「HARDWARE_INTERRUPT_STORM」と表示されます。メモリーに不具合が生じている可能性を示すメッセージです。
・0x0000007F
故障原因のエラーコードは「UNEXPECTED_KERNEL_MODE_TRAP」と表示されます。メモリーが物理的に破損している可能性を示すメッセージです。
ウイルス関連のエラーコードには以下の4つが挙げられます。
・0x0000000A
故障原因のエラーコードは「IRQL_NOT_LESS_OR_EQUAL」と表示されます。不適切なメモリーアドレスを使用したときに出てくるメッセージです。
・0x00000050
故障原因のエラーコードは「PAGE_FAULT_IN_NONPAGED_AREA」と表示されます。メモリーが物理的に破損している可能性を示すメッセージです。
・0x0000003B
故障原因のエラーコードは「SYSTEM_SERVICE_EXCEPTION」と表示されます。パソコンのシステムサービスが異常な操作を検知したときに出てくるメッセージです。
・0x000000D1
故障原因のエラーコードは「DRIVER_IRQL_NOT_LESS_OR_EQUAL」と表示されます。ドライバーが異常なメモリーアクセスを行っているときに出てくるメッセージです。
Windows10でブルースクリーンが発生してしまうと、ユーザーは焦ってしまうものです。しかし焦っても解決する問題ではないため、適切な対処法を把握しておくことが重要となります。最後に、Windows10でブルースクリーンが発生したときの対処法をチェックしておきましょう。
軽微なエラーが原因でブルースクリーンが発生している場合、周辺機器を取り外すだけで改善される場合があります。外部デバイスが原因でブルースクリーンが起こっているケース以外にも、熱暴走による発生も考えられるため、取り外すだけではなく時間を置いてから再起動するようにしましょう。
周辺機器を取り外すときは1つずつ外していくのがポイントです。これで原因となっているデバイスを特定しやすくなります。
デバイスドライバーの更新も試してみましょう。デバイスドライバーを更新する手順は以下のとおりです。
①まずは「Windows」キーと「I」キーを押して「設定」を開き、「更新とセキュリティ」をクリックします。
②次に「回復」、「今すぐ再起動」の順でクリックしていきます。
③Windows10の場合は強制終了後に再起動を3回繰り返すとスタートアップ修復が起動するので、「詳細オプション」を選択してください。
④Windowsの回復環境が起動したら、「トラブルシューティング」から「詳細オプション」、「スタートアップ設定」、「再起動」の順に進んでいきます。
⑤その後パソコンが起動して「スタートアップ設定」の画面が表示されたら、「4」もしくは「F4」を押してセーフモードで再起動させましょう。
⑥再起動したら「Windows」キーと「R」キーを押して「ファイル名を指定して実行」ウィンドウを開きます。
⑦「devmgmt.msc」と入力して「OK」ボタンをクリックしてください。
⑧エラーが発生したドライバーを更新します。デバイスを右クリックし、「ドライバーの更新」をクリックしましょう。
この方法で解決しなかったらドライバーを無効にしたり、ディスプレイアダプターやビデオアダプターの更新を試したりしてみてください。
パソコンがウイルスに感染してしまうと、さまざまなエラーが発生します。ブルースクリーンで起動しなくなってしまうとできませんが、起動しているならウイルススキャンを実行してみてください。ウイルススキャンは使用しているセキュリティソフトでできます。
ウイルスに感染している場合は、画面に表示される指示に従い、ウイルスを駆除しましょう。セキュリティソフトの操作方法はソフトによって異なるので、メーカーのホームページなどで確認してください。
Windows Updateが原因でブルースクリーンが発生したのであれば、Windows更新プログラムを実行してみましょう。スタートボタンから「設定」を開き、「更新とセキュリティ」を選択します。次に「Windows Update」から「更新プログラムのチェック」をクリックし、最新の更新プログラムがないか確認してみてください。
Windows Updateを行った後にブルースクリーンが発生した場合は、更新プログラムをアンインストールすると解決する場合があります。アンインストールの手順は以下のとおりです。
①Windows10は強制終了からの再起動に3回失敗するとスタートアップ修復が起動します。
②スタートアップ修復が起動したら「詳細オプション」から「更新プログラムのアンインストール」へと進んでください。
③画面の指示に従って操作すれば完了です。
BIOSは、Basic Input Output Systemの頭文字を取った言葉で、読み方は“バイオス”です。パソコンのマザーボードに組み込まれている機器や部品の基本的な入出力を行うプログラムを指します。BIOSが認識している部品にエラーが発生してブルースクリーンになる場合は、BIOSの実行や更新をしてみましょう。
BIOSを実行・更新する手順は以下のとおりです。
①「Windows」キーと「R」キーを押して「ファイル名を指定して実行」ウィンドウを開きます。
②ウィンドウが開いたら「msinfo32」と入力し、「OK」ボタンをクリックしてください。そうするとシステム情報が開き、BIOSのバージョンを確認できます。
③マザーボードの型番のチェック、パソコンの製造元とモデル番号を入手し、最新のBIOSをダウンロードしてください。
なお、更新すると以前のバージョンに戻せなくなるので、大切なデータはバックアップを取っておきましょう。
Windows10のブルースクリーンを解消するには、トラブルシューティングで「システムの復元」または「初期状態に戻す」を実行する方法もあります。
「システムの復元」はあらかじめ復元ポイントを作成していない場合は実行不可です。また、「システムの復元」は復元ポイント以降に保存したデータがすべて削除されてしまう点にも注意しなければいけません。「初期状態に戻す」は、その言葉どおり出荷時の状態に戻すことを意味します。これらを実行する手順は以下のとおりです。
①強制終了後に再起動を3回繰り返すとスタートアップ修復が起動します。
②スタートアップ修復が起動すると選択できる「詳細オプション」から「システムの復元」を選択し、あとは画面の指示に従って「このPCを初期状態に戻す」を選択してください。
外部のデバイスを取り外したり、しばらく時間を置いたりしてもうまく再起動できないときは、セーフモードでの起動を試してみてください。セーフモードは、最低限の構成でパソコンを起動させるモードです。ブルースクリーンが発生する原因を避けて起動できる可能性がある方法なので、試してみる価値は大いにあります。
セーフモードで起動するには、電源ボタンを10秒ほど押してパソコンを強制終了させます。「自動修復」の画面が表示されるまで強制終了を繰り返してください。「自動修復」の画面が表示されたら「詳細オプション」から「スタートアップ設定」に進み、「再起動」をクリックします。
再起動をして「スタートアップ設定」の画面になったら、「F5」キーまたは「5」キーを入力します。インターネット環境なしで起動する際は、「F4」キーまたは「4」キーを入力してください。起動してからデバイスドライバーやWindows Updateを更新しなければいけないときは、インターネット環境が必要になります。
常駐アプリの停止でブルースクリーンの発生が改善される場合があります。常駐アプリを停止する方法は以下のとおりです。
①まずはスタートボタンから「設定」を開き、「アプリ」を選択します。
②次に「スタートアップ」をクリックし、不要なアプリをオフにしましょう。
この操作で常駐アプリが停止されるので、ブルースクリーンが発生しなくなるか様子を見てください。
システムファイルが破損している場合は、SFCコマンド(システムファイルチェッカーコマンド)を使うと修復できる可能性があります。管理者モードでパソコンを起動し、コマンドプロントやPowerShellで「sfc /scannow」を入力しましょう。
システムスキャンを行ってシステムファイルに破損が見つかると、「Windowsリソース保護により、破損したファイルが見つかりましたが、それらは正常に修復されました」とメッセージが表示され、自動的に修復されます。破損が見つからなかった場合は、「Windowsリソース保護は、整合性違反を検出しませんでした」と表示されます。
DISMコマンドは、システムイメージのチェックを行うコマンドです。破損などが見つかった場合は、Windows Updateを活用して修復ができます。管理者としてコマンドプロントやPowerShellを起動し、「DISM.exe /Online /Cleanup-image /Restorehealth」のコマンドを実行しましょう。
コマンドを実行したらステータスが100%になるまで待機し、「操作は正常に完了しました」とメッセージが出てきたら復元作業は終了です。システムファイルに何らかの不具合や破損があった場合は、このコマンドを実行すると修復できるので試してみてください。
高速スタートアップを無効化するとブルースクリーンが発生しにくくなるケースもあります。無効化の手順は以下のとおりです。
①スタートボタンを右クリックして「電源オプション」を選択します。
②「電源オプション」を開いたら、「電源の追加設定」から「電源ボタンの動作を選択する」へと進み、「現在利用可能ではない設定を変更します」をクリックしてください。
③「高速スタートアップを有効にする(推奨)」のチェックを外したら完了です。
ブルースクリーンが発生すると焦ってしまいます。しかし焦っても解決するわけではないので、エラーコードを確認し、原因を特定するようにしましょう。原因が分かると適切に対処できるようになります。
ブルースクリーンの原因は多岐にわたるため、エラーコードをしっかりとチェックしてください。適切な対処ができれば、そのまま問題なくWindows10を使い続けられるでしょう。
監修者/前田 知伸
富士通を経て、リブート㈱代表取締役。パソコンリサイクル業15年目。国内外のIT資格を保有。NHKなど出演実績有り。