パソコンの性能を上げるには、メモリの増設が効果的です。
しかし、メモリを増設したあとにパソコンが起動しなくなってしまうトラブルは少なくありません。
この記事では、メモリ増設後にパソコンが起動しなくなる原因と対処法を解説します。
メモリを増やす予定のある方はぜひ参考にしてください。
目次
パソコンにメモリを増設したあと、パソコンが起動しなくなってしまうことがあります。
その際、以下のような症状が多く見られます。
また、パソコン自体は起動できても、ソフトが開けなかったり、キーボードなどの周辺機器が使えなくなったりするのもメモリの増設が原因です。
一見パソコンが故障したかのように見えますが、メモリを正しく増設すれば改善される可能性があるため、下記の内容をチェックしてみてください。
メモリ増設後にパソコンが起動しない原因として、メモリ側に問題があるケースとパソコン側に問題があるケースが考えられます。
ここでは、まずメモリ側によく見られる原因を3つ紹介します。
メモリを増設した際、目視では問題ないように見えても、実際は正しく装着されていないことがあります。
また、装着部にホコリがついていると隙間ができてしまい、メモリがパソコンに接続されません。
一度メモリを取り外し、エアダスターや柔らかい布などでパソコンのスロット部分の溝に付着したホコリを取り除きましょう。
向きが合っていることを確認したうえで再度メモリを装着し直し、パソコンが正常に起動するか確認してください。
メモリにはDDR・DDR2・DDR3・DDR4の4種類の規格が設けられており、それぞれ対応しているパソコンが異なります。
非対応のメモリは、いくつ装着してもパソコンが起動することはありません。
メモリの規格同士に互換性はないため、購入時は間違えないようしっかり確認することが大切です。
メーカーによっては公式サイトなどで対応しているメモリの規格や型番を紹介していることがあるため、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
純正品以外のメモリを使用している場合、初期不良が原因でパソコンが起動しないことがあります。
初期不良が疑われる場合は、以下の手順に従ってメモリ診断を実施し、メモリに異常がないか確認してください。
【メモリ診断を実施する手順】
パソコンの再起動後、デスクトップ上で診断結果が通知されます。
「メモリエラーは検出されませんでした。」というメッセージが表示されればメモリに問題はありません。
つぎに、メモリ増設時にパソコン側で発生しやすい原因を解説します。
メモリと同様、当てはまるものがないか確認してみましょう。
パソコンの中に電気が溜まっていると、メモリを装着しても正常に起動しないことがあります。
特に、パソコンを長時間連続して使用している場合は注意が必要です。
このとき、パソコンを放電することで不具合の解消が期待できます。
まずパソコンの電源を落としてから周辺機器や電源ケーブルをすべて取り外し、5分程度放置しましょう。
ノートパソコンの場合は、バッテリーを外すとより効果的です。
放電が完了したら再度パソコンの電源を入れ、正常に起動するか確認してください。
BIOSとはデバイスを制御するプログラムで、通常はパソコンを立ち上げると最初に起動します。
パソコンの電源は入るのに正常に起動せず画面が固まってしまう場合、メモリの増設時にBIOSの設定が変更されている可能性があります。
以下の手順に従って、BIOS設定の初期化を行ってください。
【BIOSの設定を初期化する方法】
参考:BIOSを初期化する(パソコン購入時の状態に戻す)方法
パソコンの再起動後、正常に起動するか確認してください。
メモリに問題がなくても、メモリを装着するスロットが故障しているとパソコンは正常に起動できません。
増設する際にメモリをむりやり押し込むと、スロットが傷ついてしまう恐れがあるため注意してください。
メモリスロットの故障が疑われる際は、マザーボードを交換することで不具合が解消される場合があります。
しかし、マザーボードの交換にはパソコンの分解作業が伴うため、できるだけ専門業者に依頼することをおすすめします。
パソコンにもメモリにも問題がない場合、それぞれの相性が悪いためにパソコンが起動しない可能性があります。
動作確認されているメモリは相性問題が発生することはありませんが、動作確認の記録がないメモリは注意が必要です。
特にメジャーチップを使っていない安いメモリを増設する場合、相性が悪いためにパソコンが起動しなくなることも少なくありません。
ここでは、パソコンにメモリを増設する際の注意点を4つ紹介します。
のちのトラブルを避けるためにも、以下の内容を忘れずに意識するようにしてください。
パソコンにメモリを増設する際は、デスクトップパソコン・ノートパソコンともに必ず電源を切ってから作業してください。
電源が入っている状態でメモリを装着すると、本体やハードディスクなどが故障する恐れがあります。
電源が切れたことを確認できたらマウスやキーボードなどの周辺機器を取り外し、ノートパソコンの場合はバッテリーも外してきましょう。
メモリの増設を行う前に、できる限り体の静電気を取り除くようにしてください。
パソコンやメモリは静電気に弱く、帯電した手で触れると故障につながってしまいます。
静電気は金属に触れると除去できるため、作業前にドアノブなどを触っておくとよいでしょう。
静電気が発生しやすい冬に作業を行う場合は、念のため静電気防止用の手袋を用意するのもおすすめです。
メモリを装着する際は、極力基盤に触れることがないよう、部品の両端を持つようにしてください。
メモリの基盤に傷や汚れが付着すると、接触不良を引き起こしやすくなってしまいます。
メモリや装着したパソコンの故障の原因にもつながるため、慎重に取り扱うことを心がけましょう。
メモリの増設後にパソコンが起動しなくなった際、原因を調べるためにパソコンを分解するのはできるだけ避けてください。
パソコンの内部には制御に関わる重要なパーツが多く格納されているため、知識がない状態で触ると故障させてしまう恐れがあります。
分解作業中に感電して怪我をする危険性もありますので、分解を伴うパソコンの修理や調査は専門業者に依頼するのが安心です。
メモリの増設後にパソコンが起動しなくなったときは、メモリかパソコンのどちらか、または両方に何かしらの不具合があるケースがほとんどです。
今回紹介した内容を参考に、原因を切り分けながら適切な対処を行いましょう。
監修者/前田 知伸
富士通を経て、リブート㈱代表取締役。パソコンリサイクル業15年目。国内外のIT資格を保有。NHKなど出演実績有り。