普段使用しているパソコンで突然データの保存ができなくなったり、起動しなくなったりした経験がある方は少なくないのではないでしょうか。
このようなトラブルは、ハードディスクで論理障害が起きたことが主な原因です。
この記事では、ハードディスクの論理障害やデータの復旧について詳しく解説しています。
いざというときに大切なデータを守りたい方はぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】
目次
論理障害とは、ハードディスクに保存されているシステムファイルやプログラム構成の破損によって起きている状態のことを指します。
ハードディスク本体が故障しているわけではないため正常に起動することも多く、異常に気がつくまで時間がかかるケースも少なくありません。
しかし、論理障害が発生したハードディスクを使い続けるとデータが上書きされてしまい、大切なデータを復旧できなくなるケースがあるため注意が必要です。
ここでは、論理障害が起きているハードディスクでよく見られる症状を3つ紹介します。
自分のパソコンで当てはまるものがないかチェックしてみてください。
ハードディスクで論理障害が発生しているときによく見られるのが、パソコンの動作が極端に重くなる、突然フリーズするといった不具合です。
一見正常に動いているように見えても、これまで使用していたファイルやフォルダが開けなくなったり、名前が書き換わったりすることもあります。
そのままパソコンを使い続けるとハードディスクが正常に読み込まれなくなり、OSが起動しなくなる場合もあるため注意が必要です。
ハードディスクに論理障害が発生していると、パソコンに「(ドライブ名)を使うにはフォーマットする必要があります。フォーマットしますか?」といったメッセージが表示されることがあります。
フォーマットとは、ハードディスクを初期化しシステムファイルを再構築することです。
フォーマットは論理障害の復元に効果的ですが、ハードディスク内のデータがすべて消去されるうえに復元が難しいため、安易に実行するのはおすすめできません。
青色や黒色の背景で以下のエラーメッセージが表示される場合、ハードディスクに論理障害が起きている可能性が高いといえます。
このとき、パソコンを強制終了すると不具合が悪化する恐れがあるため注意してください。
また、エラーメッセージは知識がないと読み解くのは難しいため、自信がないときはすぐに専門業者に相談することをおすすめします。
物理障害とは、ハードディスクの物理的な故障によって不具合が生じている状態を指します。
物理障害が起きる理由は、パソコンを落としたりぶつけたりする・過度な熱や湿度を与える・ハードディスクの経年劣化といった外的要因であることがほとんどです。
論理障害とは異なり、物理障害のあるハードディスクをソフトなどで復旧させることはできません。
故障したハードディスクを通電し続けると破損が進んでしまうため、物理障害の疑いがある場合はすぐにパソコンの電源を落としましょう。
物理障害が起きているハードディスクには、異音・異臭・発熱などの症状が見られることがあります。
この状態のハードディスクを使用し続けると、発火や爆発などの事故につながる恐れもあるため注意してください。
その他にも、OSが起動しない・再起動を繰り返す・フォーマットを要求されるなど論理障害と似た症状が出ることがあります。
ハードディスクで論理障害が発生する原因は、大きく分けて2種類あります。
ここでは、それぞれについて詳しく解説します。
論理障害はパソコンでの操作ミスが原因で起きるケースが多く、日常的に発生しやすいトラブルです。
たとえば、システム上で重要なフォルダやファイルを誤って削除してしまった・必要なデータを上書きしてしまった・パソコンを強制終了してしまったなどの行動が当てはまります。
その他にも、アップデート中に充電が切れた・ファイルの移動中に電源ケーブルが抜けたといった不注意によって故障を引き起こすケースもあるため、パソコンを使用する際は十分に気をつけましょう。
パソコンがコンピューターウイルスに感染した結果、システムファイルが破壊されて論理障害が発生することがあります。
コンピューターウイルスはメールの添付ファイルやホームページなどを経由して侵入し、パソコンに保存されているデータを勝手に削除する・個人情報を盗み出すといったさまざまな被害を引き起こします。
一度ウイルスに感染してしまうと自力で回復させることは不可能ですので、ネットワークから隔離したうえで専門業者にすぐ相談しましょう。
ハードディスクで論理障害が起きた場合、物理障害よりもデータを復旧できる可能性が高くなります。
ここでは、データの復旧方法を段階的に3つ紹介します。
軽度の論理障害なら、パソコンに搭載されているエラーチェック機能を使ってハードディスクを修復できる場合があります。
以下の手順に従って、エラーチェックを実施してください。
【エラーチェックを実施する方法】
参考:[Windows 10] ハードディスクのエラーをチェックする方法を教えてください。 – FMVサポート : 富士通パソコン
エラーチェックは、あくまでも軽度の論理障害のみに効果が期待できる機能です。
ハードディスクに物理障害がある場合はかえって故障が悪化する可能性があるため、障害が特定できない場合はむやみに実行しないようにしてください。
パソコンにデータ復旧ソフトをインストールできれば、ソフトを使用してデータを復旧できる可能性があります。
データ復旧ソフトの価格はさまざまですが、有償のソフトの方が使える機能が幅広い点が特徴です。
ソフトによって操作方法は異なるものの、一般的には以下の手順でデータの復旧を行います。
【データ復旧ソフトの利用手順】
なお、データ復旧ソフトを使用してもデータを100%復旧できるわけではありません。
また、物理障害には効果がない点を考慮する必要があります。
ハードディスク故障の原因がはっきりしない場合や、パソコンの操作に自信がない場合はデータ復旧の専門業者に依頼するのがおすすめです。
自分で復旧作業を行うよりも、データの復元率が高くなります。
業者によってはアフターフォローや料金保証などのサービスを行っているため、口コミなどを見ながら自分にあったところを選ぶとよいでしょう。
ただし、データ復旧ソフトを利用したあとに業者に依頼した場合、データ復元率が下がる可能性があるため注意してください。
ハードディスクに論理障害が発生した際、対応を誤ると故障が悪化したりデータを復元できなくなったりすることがあります。
大切なデータを守るためにも、以下の注意点を意識しておくとよいでしょう。
ハードディスクのフォーマットやOSの再インストールによって論理障害を解消できる場合がありますが、保存されているデータはすべて消えてしまうため注意してください。
もしフォーマットや再インストールを行いたい場合は、あらかじめデータのバックアップをとっておくとよいでしょう。
ただし、論理障害が発生している状態ではデータを保存できないことがあるため、普段から定期的にバックアップを実施することをおすすめします。
物理障害と論理障害では故障の原因が異なるものの、同じような症状が出やすいため、実際は見分けがつかないケースも多く見られます。
「論理障害だと思って対処していたら、実は物理障害だった」「両方の障害が併発している」といった事例も少なくありません。
判断に迷った場合は、ハードディスクが通電しないようにパソコンの電源をすみやかに落とし、専門業者にデータ復旧を依頼するのがベターです。
ハードディスクで論理障害が起きると、パソコンが起動しなくなったりファイルが開かなくなったりとさまざまなトラブルが発生します。
見たことのない画面が表示されると思わず焦ってしまいますが、被害を最小限に抑えるためには慎重かつ冷静な対応が必要不可欠です。
なお、この記事で紹介した方法を試してもデータを復旧できない場合や、物理障害が疑われる場合は、パソコンを新しく買い替えることをおすすめします。
不要になったパソコンは、無料で回収からデータの消去まで行ってくれるパソコン廃棄.comなどを利用して適切に処分しましょう。
今回の記事もぜひ参考にしてください。
監修者/前田 知伸
富士通を経て、リブート㈱代表取締役。パソコンリサイクル業15年目。国内外のIT資格を保有。NHKなど出演実績有り。