「今まで問題がなかったのに、急にiPadの充電ができなくなった」
こんな事態に直面して焦っている方もいらっしゃるかと思われます。
充電ができなくとも、ACアダプタがあればとりあえずiPadは使用できますが、持ち運ぶ機会も多いことを考えるとバッテリーの充電ができないというのは非常に不便です。
そこでこの記事では、iPadが充電できなくなってしまった時の対処法を中心に、充電ができなくなってしまう原因や、不測の事態に備えるためのデータのバックアップ手順について解説していきます。
【この記事でわかること】
iPadが充電できなくなってしまう原因は、ちょっとした不注意によるものから深刻なトラブルまで、実に様々です。
あまりにシンプルな原因なので見落としがちなのですが、実は電源ケーブルがうまく挿さっていなかっただけということも珍しくありません。
「そんな単純なことが原因であるはずがない」という思い込みにより盲点となりがちですので、まずは電源ケーブルを疑ってみてください。
こういったことが原因でケーブルが断線しており、電力が供給できない状態になっていることがあります。
なお、明らかに千切れていたり線がはみだしていたりすれば目で見てわかりますが、内部でひっそりと断線している場合には見た目ではわかりません。
また、ケーブルの端子が曲がっていると、一見うまく挿さっているように見えても正しい電力供給が行われていない可能性が高いため、iPadが充電できない原因となります。
あまり多いケースではありませんが、電力を取り込むACアダプタが故障していることでiPadの充電ができなくなっているということもあり得ます。
アダプタの故障は見た目でわからないことが多いですが、長年使い続けているような場合は故障を疑ってみてもよいかもしれません。
壁にあるコンセントから供給される電力は非常に安定的で強いものですが、電源タップを使って数多くの機器と接続してしまう、いわゆる「たこ足配線」状態になってしまうと、電力供給が不安定になってしまうことがあります。
通常は、たこ足配線によってまったく充電できなくなるということはあまりありませんが、電源タップが劣化していたり、過度に様々な機器と接続してしまうことで予期しない現象が発生してしまう可能性は否定できないので要注意です。
純正品とは、その製品を製造しているメーカーによって製造・販売されている部品やアクセサリのことを指します。
iPadの場合ならば、Appleが製造しているものが純正品となります。
純正品は高価である分品質が高く、メーカーも部品やアクセサリには純正品を使用するよう推奨していますが、非純正品の方が安いため、純正品を使っていない人も少なくありません。
特にケーブルやACアダプタといったアクセサリ類では、非純正の品ぞろえが非常に豊富なため、特に違和感なく購入する人が多いのでしょう。
しかし非純正品は、故障しやすかったり初期不良を起こしやすかったりするため、メーカーが推奨する通り使用は控えるべきです。
iPadに内蔵されているバッテリーは「リチウムイオン電池」が使用されており、フル充電を1,000回繰り返しても、iPad購入時の容量の最大80%を維持できるように設計されています。
参考:バッテリー – サービスとリサイクル – Apple(日本)
しかしこれはあくまで目安であり、充電環境の良し悪しやバッテリーの個体差などによって変化します。
特にバッテリーは熱に弱く、高温の環境でiPadを使用・保管する機会が多いと劣化を早めてしまいます。
バッテリーが劣化すると当然充電性能が下がってしまい、時にはまったく充電できなくなってしまうこともあります。
iPad本体の温度が熱くなりすぎると、充電に悪影響を及ぼし、最悪の場合はまったく充電ができないという状態になることがあります。
これは、iPad本体を守るための機能でもあります。
精密機械にとって熱は大敵ですので、熱による故障を防ぐため、iPad本体が熱くなりすぎないように保護するために充電を制限するのです。
充電ができなくなる以外にも、iPadが熱くなりすぎないようにするために以下のような現象が発生することもあります。
参考:iPhone、iPad、iPod touch が高温または低温になりすぎた場合 – Apple サポート (日本)
暑さによって充電できなくなることもありますが、逆に温度が低すぎることも問題となります。
iPadは0℃~35℃の環境で使用することが推奨されており、これらの温度を下回ったり上回ったりしてしまうとバッテリーにダメージを与える可能性があります。
極端な低温環境での使用・充電は避けるべきです。
長らくiPadの充電を行っておらず、バッテリー内にまったく電力がない状態になってしまうと、充電ができるようになるまで時間がかかることがあります。
これは充電ができていないわけではなく、単に時間がかかっているだけですので故障ではありません。
久しぶりにiPadの充電を行うような場合は、電源ケーブルを挿しこんでから数十分から1時間程度はそのまま放置してみましょう。
iPadのOSである「iOS」に何らかの不具合が発生していることが原因で充電できないということも考えられます。
OSの不具合は、いつどのiPadに起こっても不思議ではありませんが、特に長年使用しているiPadほど発生しやすくなります。
また、iOSが最新バージョンになっていないことで充電ができなくなっているというケースもあります。
いざ充電しようとした時に正常に充電できないと焦るものですが、簡単な対処法で解決することも多いので、以下の方法を一つずつ実践していってください。
電源ケーブルがうまく挿さっていないことが原因で充電できていないだけ、ということも多いので、まずはこの可能性を潰しておきましょう。
コンセント側・iPad側ともに、丁寧な抜き差しを何度か試してみてください。
軽度のシステム的なトラブルが原因の場合、再起動することで問題が解消し、充電できるようになることがあります。
ホームボタン非搭載モデルの場合は、トップボタンに近い方の音量調節ボタンを押してからすぐに放し、次にトップボタンから遠い方の音量調節ボタンを押してすぐに放します。
それから、iPadが再起動するまでトップボタンを押し続けます。
ホームボタン搭載モデルの場合は、「トップボタン or サイドボタン」と「ホームボタン」を同時に押し続けて、Appleのロゴが表示されるのを待ちます。
これで再起動完了となります。
参考:iPad が充電されない場合 – Apple サポート (日本)
このようなことが原因でケーブルが正常に機能せずに充電ができなくなっている、という可能性を考慮し、新たに純正品のケーブルを購入して充電してみてください。
過度なたこ足配線により、電力供給が不安定となってしまうことがあるので、壁にあるコンセントからの充電を試してみください。
なおコンセントに差し込むアダプタやケーブルですが、間違えてiPhone用の「5W」のものを使用していないかどうか確認してみましょう。
5WでiPadの充電をしようとすると、供給される電力が不足し、なかなか充電できなかったり一切充電が進まなかったりします。
iPadの充電は「10W」のものが必要となります。
「5W」のものと見た目が似ているので、間違えないように気を付けてください。
iPad本体が熱くなりすぎていると、本体へのダメージを避けるために一時的に充電できなくなることがあります。
従って、一旦iPadの温度を下げるようにしてください。
しかし、急いで冷やしたいからといって冷蔵庫に入れるというのはNGです。
冷蔵庫で冷やしてしまうと、急速に冷却が進むことでiPad本体内に結露が発生してしまうからです。
熱同様、湿気も精密機械の大敵ですので、一気に冷やそうとせず、涼しく風通しの良い場所にしばらくiPadを放置するようにしてください。
そもそもiPadを高温にしないために、普段から以下のようなことを心掛けることが大事です。
バッテリーの劣化が原因だと思われる場合は、バッテリーを交換するしかありません。
3年以上継続的にiPadを使用していたり、設定アプリでバッテリーの最大容量を確認した時に著しく容量が減っているような場合は、バッテリーが劣化している可能性が高いです。
ただし、バッテリー交換は基本的に個人ではできないため、Apple公式か専門の修理業者へ依頼することになります。
保証期間内であれば、迷わずApple公式の修理サービスを利用するようにしてください。
AppleCare+に加入している方ならば、最大2年間の保証が適用されます。
参考:iPad の修理 – Apple サポート 公式サイト (日本)
保証期間外の場合は、専門の修理業者へ依頼するという選択肢も出てきます。
なぜならば、保証期間を過ぎてからAppleに修理を依頼すると、非常に高額になる上修理期間も長くなってしまうからです。
しかし修理業者ならば、Appleの半額以下で済むこともありますし、修理期間についても最短で当日対応というところもあります。
ただし良いことばかりではありません。
Appleの公式サポートならば、高額で修理期間もかかる分安全です。
ところが修理業者の場合は、業者によって対応や技術がピンキリとなっており、ずさんなバッテリー交換をされてしまう可能性もありますし、Apple公式以上に高額な費用を請求されるケースも存在します。
どちらも一長一短であることをよく考慮し、Apple公式サポートか修理業者か、どちらを選ぶのか選択してください。
単純にiOSのバージョンが古かったために充電できない場合もあるため、バージョンが古いようならば最新バージョンへアップデートを行いましょう。
なおアップデート前には、万が一に備えてデータのバックアップを取っておくことをおすすめします。
iOSのアップデート手順は以下の通りです。
参考:iPhone、iPad、iPod touch をアップデートする – Apple サポート (日本)
何をやっても駄目な場合は、深刻なシステムトラブルが発生している可能性がありますので、最後の手段としてiPadを初期化するという方法があります。
ただし、初期化すると保存されているデータがすべて消えてしまうので、必ずバックアップを取っておくようにしてください。
iPadの初期化手順は以下の通りです。
参考:iPadを消去する – Apple サポート (日本)
iPadを初期化する前や、iOSのアップデートを行う前には、データのバックアップを取っておくべきです。
バックアップを作成する方法は以下の3通りとなります。
この設定をしておくだけで、iPadがネットに接続されてロックされている時に、毎日データのバックアップがiCloud上に自動で作成されます。
iCloud上に保存したデータを表示するには、「設定」⇒「自分の名前」⇒「iCloud」⇒「ストレージを管理」⇒「バックアップ」と進めばOKです。
これで、Macパソコン上にiPadデータのバックアップが作成されます。
これで、Windowパソコン上にiPadデータのバックアップが作成されます。
なお、コンピュータに保存されているバックアップを表示するには、「編集」⇒「環境設定」と進み、「デバイス」をクリックすればOKです。
以上、iPadの充電ができなくなってしまう原因とその対処法、データのバックアップ方法について解説してきました。
これまで説明してきました通り、多くの場合は簡易的な対処法を実践するだけで今まで通り充電できるようになることが多いです。
慌てず、ご紹介した以下のような対処法を試していってください。
これらをすべて試しても駄目ならば、バッテリー交換や初期化を検討してください。
監修者/前田 知伸
富士通を経て、リブート㈱代表取締役。パソコンリサイクル業15年目。国内外のIT資格を保有。NHKなど出演実績有り。