パソコンを使い続けていると、購入直後と比べて起動が遅いと感じる時があると思います。
起動までの時間が遅いというのは大変なストレスであり、たとえ数秒遅くなるだけでも気になるもの。
場合によっては、異常なほど起動が遅くなってしまい、何かしらの対処をしないとまずいという状況もあります。
そこでこの記事では、なぜパソコンの起動が遅くなってしまうのか、改善するにはどんな方法があるのか、といった点について詳しく解説していきます。
【この記事でわかること】
目次
起動が遅くなってしまう原因や対処法を知る前に、まずはパソコンが起動する流れについてざっくりと説明させていただきます。
どういう処理が行われているかを知ることで、原因や対処法について、より深く理解できるはずですので。
パソコンを起動させるには、まずパソコンの電源ボタンを押します。
するとCPUが動き出し、BIOS(バイオス)というプログラムが呼び出されます。
呼び出されたBIOSは、キーボードやマウス、HDDやマザーボードなどのハードウェアが正常に使用できる状態であるかをチェックし、問題がなければHDDからOSを起動させるためのプログラムを呼び出します。
起動プログラム実行中は、画面上にメーカーロゴやWindowsロゴが表示されます。
起動のための処理が終わると、画面が切り替わり、サインイン(ログイン)画面へ遷移します。
サインインが完了すれば、デスクトップが表示されます。
パソコンの起動が遅くなる原因は、設定や環境などにより、パソコンの動作が重くなってしまう状態になっていることがほとんどです。
ここでは、パソコンの起動を遅くする原因について列挙していきます。
常駐プログラムとは、パソコンを起動させた時から自動で実行され、パソコンの電源が入っている間は常に動いているアプリやソフトウェアのことです。
一切操作をしていなくとも、スリープ状態であっても、常駐プログラムは動いています。
代表的な常駐プログラムは、ウイルス対策用のセキュリティソフトでしょう。
ウイルスの侵入を防ぐために、常に動いてくれていなければ困りますので、こういった常駐プログラムは必要です。
しかし中には、特に必要のない常駐プログラムを多く存在します。
そういったプログラムのせいでパソコンが重くなり、起動も遅くなってしまうというわけです。
メモリとは、パソコンで処理されるデータを一時的に保管する場所のことであり、パソコンの処理速度に大きく関わってきます。
メモリ容量が少ない、もしくはメモリと処理量が釣り合っていない、といった状況になると、パソコンの動作は遅くなり、結果的に起動も遅くなってしまいます。
あまりメモリの容量が多くないパソコンで、高負荷なアプリやソフトウェアがたくさんインストールされている、というような場合はパソコンが重くなりがちです。
HDDやSSDのうち、「Cドライブ」と呼ばれる場所の残り容量が極端に少ないというのも、起動が遅くなる原因の一つです。
Cドライブには、パソコンの起動プログラムが格納されているからです。
Cドライブの容量が極端に少ないと、それだけ多くの容量を使用しているということになるため、起動プログラムを読み込むのに時間がかかってしまうのです。
システムファイルなどがウイルスに感染してしまうことで、起動が遅くなることもあります。
最悪の場合、起動しなくなってしまうというケースも考えられます。
セキュリティソフトを一切使用せず、信頼性に疑問のあるようなサイトへ頻繁に訪れていると、ウイルス感染の可能性が非常に高くなってしまいます。
不具合ではなく、単にWindows Updateが実行されているだけ、という場合もあります。
パソコン使用中やシャットダウン前ではなく、起動中にアップデートされたファイルの構成を行う、というようなケースです。
毎回のように起動が遅いのではなく、たまに遅い時があるくらいであれば、Windows Updateが原因だった可能性が高いでしょう。
こればかりはWindowsの仕様なので、そういうものだと割り切るしかありません。
パソコンの使用方法に問題があったり、通常使用であっても長年使い続けていたりすることで、HDDやSSDが劣化し、起動スピードが遅くなってしまうということもあります。
この場合は、劣化が原因なので、HDDやSSDが故障してしまうのも時間の問題だと思っておいた方がよいです。
いつ壊れてもいいように、データのバックアップを取っておくべきでしょう。
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ファイルの断片化とは、データの保存や削除を繰り返すことでデータの空き領域が細分化されてしまい、同じファイルを同一の場所に保存する領域がなくなることでばらばらに保存されてしまう現象のことを指します。
こうなってしまうと、同じファイルを読み込むために様々な場所を参照しなければならなくなるため、当然処理は遅くなってしまいます。
ファイルの断片化は、パソコンを使い続けることで空き容量が無くなっていくと、どうしても発生してしまうものです。
キャッシュとは、よくアクセスするファイルを、アクセスしやすい場所へ一時的に保存する仕組みのことです。
こうすることで読み込みスピードが上がり、頻繁に使うファイルを高速で処理することができます。
しかしこのキャッシュファイルが増えすぎてしまうと、パソコンの起動速度に影響を与えてしまうことがあります。
パソコン内部に熱が溜まると熱暴走を起こしてしまう可能性があります。
熱暴走は様々な不具合を誘発しますが、「起動が遅くなる」という現象もその一つです。
冷却ファンに大量のホコリがこびりついてしまったり、負荷のかかる作業を長時間続けたりすると、熱暴走を引き起こしやすくなります。
また、真夏で高温多湿となっている部屋でパソコンを使い続けることも、熱暴走の要因になり得ます。
パソコンの起動が遅くなってしまう原因は、一つとは限りません。
そのため、起動を速くするためにできることはすべてやっておく、と考えた方がよいでしょう。
以下に、起動を速くするための対処法を解説していきますので、一つでも多く実践してみてください。
セキュリティソフトなど、絶対に常駐させておくべきプログラムもありますが、常駐プログラムの中には不要なものもあります。
そうした不要なプログラムは、無効化しておきましょう。
無効化の手順は以下の通りです。
なお、「名前」や「発行元」の欄に、「Microsoft」や「driver」という文字が含まれているプログラムに関しては有効のままにしておきましょう。
これらのプログラムを迂闊に無効化してしまうと、高速化どころか、最悪の場合パソコンが動かなくなってしまうこともありますので注意が必要です。
どんなプログラムが常駐しているかは、パソコンによって異なりますので、「名前」の欄に載っているプログラム名をネットで検索してみて、無効化しても大丈夫かどうかを調べながら作業を進めていってください。
パソコンには、購入した時点で勝手にインストールされているプログラム(アプリやソフトウェア)が存在します。
それも一つや二つではなく、結構な数のプログラムが入っていることが多いです。
こうした不要なインストール済みプログラムたちが、積もり積もって、少しずつパソコンを重くしていきます。
従って、使うことのないプログラムについてはアンインストールしてしまいましょう。
プログラムのアンインストールは、「コントロールパネル ⇒ プログラムのアンインストール」と進んでいくことで、インストール済みのプログラムが一覧表示されますので、そこから不要なものを選択して「アンインストールと変更」のボタンをクリックしてください。
起動プログラムはCドライブに格納されているため、Cドライブの空き容量をできるだけ多くすることで読み込みが速くなり、起動スピードも速くなることに期待できます。
動画ファイルや画像ファイルなど比較的サイズが重めのファイルについては、Cドライブに保存するのはやめましょう。
Dドライブなどがあればそちらに保存するか、もしくは外付けHDDを用意するようにすべきです。
キャッシュファイルが増えすぎると起動時間に影響を与えることがあるので、キャッシュのクリアを行っておきましょう。
キャッシュファイルは、パソコンを使い続ける限りは自動的にどんどん溜まっていくため、定期的にディスククリーンアップを行うようにすべきです。
ディスククリーンアップのやり方については以下の通りです。
なお、ブラウザのキャッシュもいつの間にか溜まっていることがあります。
それほどのボリュームでもありませんが、気になる場合は一応こちらも削除しておいてもよいでしょう。
ブラウザキャッシュのクリア方法は、各ブラウザによって異なります。
ブラウザごとのキャッシュクリア方法は、以下のリンクを参考にしてください。
参考:キャッシュクリアの方法をブラウザごとに解説 | @nifty
ファイルの断片化を解消するために、デフラグを実行するという方法も有効です。
断片化を解消することで処理速度が上がり、起動スピードにも良い影響を及ぼす可能性があります。
やって損はないため、是非試してみるべきでしょう。
デフラグの方法は以下の通りです。
参考:Windows 10 PC を最適化する | Microsoft
Windows Updateが不完全な状態で止まっているか、必要なアップデートが行われていないために起動スピードに影響が出ている可能性があります。
「スタートボタン ⇒ 設定」と進み、左メニューにある「Windows Update」をクリックして開いた画面にて、「最新の状態です」のメッセージが表示されていなければ、Windows Updateを行ってください。
セキュリティソフトを入れていない、もしくは稼働させていない場合、ウイルスに感染している可能性があります。
すぐに何らかのセキュリティソフトを稼働させ、ウイルスチェックを行い、ウイルスが発見されたら駆除してください。
Windowsであれば、「Windows Defender」というソフトがデフォルトで入っているので、こちらを有効化してクイックスキャンを行ってください。
冷却ファンに大量のホコリが付着していると、パソコンを正常に冷やすことができなくなり、熱が原因で起動が遅くなることがあります。
ファンを確認し、ホコリが付着しているようならば乾いた布でしっかりと除去してください。
メモリ不足によって起動スピードが落ちている場合は、メモリを増設するという方法もあります。
しかしこの方法は、パソコン初心者にはややハードルが高い上、起動スピードを上げるためだけにメモリ増設を行うというケースはあまり一般的とは言えません。
そもそもメモリが足りていないことで起動が遅いということは、それだけ古いパソコンであり、スペック自体も低いという可能性が高いので、こういった場合は新しいパソコンへの買い替えも検討した方がよいかもしれません。
パソコンの使用方法に問題があると、劣化を速めてしまい、結果として起動が遅くなるというトラブルに遭遇しやすくなってしまいます。
以下のような点に気を付け、パソコンを労わることで、動作が軽い=起動が速い状態を維持しやすくなります。
パソコンは消耗品のため、使えば使うほど劣化していきます。
従って、できるだけパソコンを長時間連続使用することは避けてください。
仕事などでやむを得ず長時間使う場合は仕方がないとしても、高い負荷がかかるオンラインゲームを長時間プレイする、というような使い方を連日に渡って続けるような行為は、なるべく控えた方がよいでしょう。
パソコンは、一切操作していなくとも、通電している状態であれば負荷がかかり続けることになります。
バックグラウンドで常に動いているプログラムがあるからです。
そして、負荷がかかる時間が長ければ長いほど、HDDやSSDは劣化しやすくなります。
こうした事態を避けるために、夜寝る前には必ず電源を落とすようにすべきです。
「どうせ翌朝使うのだから、いちいち電源を切るのは面倒」と感じる方も多いと思われますが、面倒に思える地道な努力こそが、パソコンを快適に使える期間を長くします。
直射日光が当たる場所や、高温多湿な環境でパソコンを使用したり保管したりすると、パソコン内部に熱がこもりやすくなります。
精密機械であるパソコンにとって熱は大敵。
熱暴走の原因になってしまい、起動が遅くなるなどの不具合を誘発してしまいます。
また、ホコリっぽい場所もNGです。
ホコリが多い場所でパソコンを使用・保管すると、冷却ファンにホコリがこびりついてしまい、冷却機能が低下してしまいます。
結果的に、パソコンに熱がこもりやすくなってしまうのです。
普段からパソコンの使用方法や保管環境に気を配ることで、起動が遅くなってしまうというトラブルに遭遇しにくくなります。
以上、パソコンの起動が遅くなってしまう原因と、その対処法について解説してきました。
これまで解説してきた通り、パソコンの起動スピードの問題は、ちょっとしたメンテナンス作業を行うことで改善することが多いです。
どれも、それほど難しい作業ではありません。
これらを一つずつ実践していくことで、起動スピードについては改善していくと思われますので、是非試してみてください。
なお、スペック的な問題で起動が遅い場合は、パソコンを買い替える以外に問題を解決する方法はありません。
CPUを交換するなどの方法でスペックを上げることもできますが、費用も技術も必要ですし、他のパーツは古いままということになってしまいますので、いっそのこと買い替えてしまう方がコストパフォーマンスも良いでしょう。
もしパソコンを買い替える際は、現在使っているパソコンが不要になるかと思われます。
そんな時は、「パソコン廃棄.com」の利用が便利です。
「パソコン廃棄.com」ならば、費用は一切かからず、事前のやり取りも不要。
ただ壊れたパソコンを梱包して送付するだけで、無料廃棄が完了します。
送られてきたパソコンのデータ消去も、責任を持って行わせていただきますので、セキュリティ的にも安心です。
監修者/前田 知伸
富士通を経て、リブート㈱代表取締役。パソコンリサイクル業15年目。国内外のIT資格を保有。NHKなど出演実績有り。