パソコンから「カリカリ」「ブーン」「ビリビリ」などの異音が聞こえると、それは異常が発生しているサインかもしれません。
聞こえても問題がない音もあれば、パソコンのトラブルを知らせる異音もあります。音の種類によってパソコンの状態が分かることがあるため、よく聞き分けてみましょう。
異音がひどい場合は修理や処分が必要ですが、自分でできる対処法もあります。異音の原因を把握して、適切に対処することをおすすめします。
今回はパソコンからの異音の原因や対処法について詳しく解説します。
【この記事で分かること】
目次
パソコンから異音がする場合、その原因は主に3つに分かれます。
ここでは、それぞれの原因について詳しく解説します。
ハードディスクが故障していると、パソコンから異音が発生する場合があります。
初期不良から経年劣化まで考えられる不具合はさまざまですが、いずれにしても自力での修復は困難なため、専門業者に修理を出しましょう。
ただしハードディスクが故障していなくても、書き込みや読み込みを行っている時にシーク音と呼ばれる音が発生することがあります。
この場合、ハードディスクには問題がないケースがほとんどです。
コイル鳴きとは、パソコン内部で周波数の調整や電流安定などの役割を担うコイルが微振動して鳴る音のことです。
コイル鳴きはコイルの巻き方や流れる電流量によって発生することがありますが、ハードディスクには特に不具合はありません。
あまりに大きな音でなければ、そのままパソコンを使用し続けても問題ないでしょう。
冷却ファンにほこりが溜まっていたり、ケーブルが絡まっていたりする場合、冷却ファンから異音が発生することがあります。
冷却ファンはパソコンの熱を逃がす重要な役割を持っているため、こまめに清掃し状態を確認しておきましょう。
ただし、目に見えるトラブルがないのに音が鳴り止まない場合、冷却ファンの故障が考えられます。
自分で取り替えるのは容易ではないため、専門業者に修理を依頼するのがおすすめです。
パソコンから聞こえる異音には、問題ない音と不具合を知らせる音に分けられます。
パソコンから聞こえても大丈夫な音は、主に以下の通りです。
パソコンはさまざまな精密機器で成り立っており、多くのパーツが関係し合っています。そのため、たとえ異常がなくても多少の音は発生するものです。
まずはパソコンから聞こえても大丈夫な音とその原因について把握しましょう。
パソコン使用時にHDDから聞こえる「カリカリ」「ジー」という音は、発生しても問題ない音です。この音は、ソフトやアプリケーションを起動した時に聞こえることが多いです。
HDDがデータを読み込む際に、こういったシーク音が発生することがあります。HDDが動作している音なので異常ではなく、聞こえても大丈夫な音に分類されます。
ただ、あまりにも音が大きい場合は異常が発生している可能性があるため、修理を検討しましょう。
光学ディスクから「ブーン」「ギュイーン」といった音が聞こえる時があります。これはCDやDVDなどのディスクが回転して発生する音なので、問題ありません。
ディスクが劣化していたり、傷ついていたりすると音が発生しやすくなります。しかし、これはパソコン側ではなくディスク側の異常なのであまり気にしなくても大丈夫です。
ディスクの読み取りが完了すると音が鳴りやむ場合が多いです。
耳鳴りのように高音の「キーン」「チー」という音は、コイルから発生する音です。コイルに流れた電流がきっかけで発生する音で、聞こえても問題ありません。
この音はゲームで遊んでいる時に聞こえることが多く、ビデオカードやマザーボードの「チョークコイル」という部品が振動して発生します。
どうしても耳障りな場合はフレームノートを制限すれば改善できますが、素人にはなかなか難しい作業です。我慢できないという方は、修理業者への相談を検討しましょう。
パソコンの不具合を知らせる異音は以下の通りです。
また、「パソコンから全く音がしない」という状態も、実は異常を知らせるサインかもしれません。
パソコンの不具合を知らせる異音や、全く音がしない場合の原因について詳しく解説します。
パソコンのファン付近から「ジー」「ブォーン」という異音が聞こえたら、ファンにホコリが溜まっている可能性があります。
パソコンのファンは、パソコン内部に熱がこもるのを防ぐ役割があります。ホコリが溜まってしまうとファンが回るスピードが速くなり、異音を発生させます。ファンのホコリが原因でパソコンが故障するリスクがあるため、改善が必要です。
パソコンのファン付近から「カラカラ」という異音が聞こえたら、ファンのトラブルを知らせるサインです。ファン自体に不具合があったり、ファンと内部ケーブルが接触を起こしている可能性があります。
ファンとケーブルの接触で異音が発生している場合、位置を調整することで改善されることがあります。「カラカラ」という音はパソコンの異常を知らせる音なので、すぐに直すことをおすすめします。
HDDから「ギュイーン」「カコンカコン」という音が聞こえた場合、HDDが故障している可能性が高いです。
異音がするHDDは、すでにデータを正常に読み取れなくなっているかもしれません。まだ読み取りが可能な場合は速やかにデータをバックアップして、失われる前に避難させましょう。
パソコンから全く音がしないというケースも、不具合のサインかもしれません。
パソコンから一切音がしない場合、ファンが正しく動作していなかったり、HDDが機能していなかったりする可能性があります。他にもパーツの破損が原因でうまく動作しない時があります。
パソコンから異音がする場合の対処法は以下の通りです。
修理や処分を検討する前に、まずは自分でできることを試してみましょう。
それでは、一つ一つ解説します。
ファンから異音がする場合、ファンを掃除することで改善できる場合があります。
まずはファンの掃除に必要なグッズを用意しましょう。
手順は以下の通りです。
パソコンは精密機械なので、少しでも内部に水分やホコリが入ると正常に動作しなくなります。ファンの掃除をする場合は慎重に行いましょう。
自分でファンを掃除するのが不安な方やパソコンの知識がない方には、業者に依頼することをおすすめします。業者にもよりますが、費用はおよそ3000円台から依頼可能です。
ファンとケーブルの接触部分を突き止めて調節できれば、異音を改善できる場合があります。
ただ、パソコンの知識がない方が内部パーツを移動させるのは非常にリスクがあります。内部パーツをいじりたい場合は、修理業者に依頼することを推奨します。
パソコンいじりに慣れている方は、ファン周辺のケーブルの配置を見直したり、ケーブルを結束バンドでまとめたりなど試してみましょう。
HDDから異音がする場合、新しいHDDに交換することで対処できます。HDDはどうしても経年劣化するものなので、長く使っている方は交換を検討しましょう。
手順は以下の通りです。
データを移行せずに古いHDDを処分してしまうと大切なデータが失われてしまうので、必ずデータバックアップを行いましょう。
古いHDDの処分方法については、以下の記事を参照してください。
上記の対処法でどうしても解決できない場合は、メーカーや業者に修理を依頼しましょう。パソコンが元々古い場合は、処分を検討してもいいでしょう。
修理に出す前に、自分のパソコンが保険に入っているのかどうか確認することをおすすめします。保険に入っていれば無料でメーカー修理を受けられる可能性が高いです。
「すぐに修理してもらいたい!」という方は、街の修理業者に依頼するといいでしょう。業者にもよりますが、即日での修理を行っている修理店もあります。
ここでは、パソコンから異音が発生している時にやってはいけないことを3つ解説します。
パソコンが故障するリスクがあるため、以下の内容は必ず守るようにしてください。
パソコンから異音が発生した時は、動作に問題がなくてもそのまま使い続けるのは避けましょう。
特にハードディスクの故障が原因の場合、状態が悪化したりデータが破損したりするリスクがあります。
ハードディスクに通電していなければ不具合は進行しないため、すぐに電源を切ってパソコンの状況を確認するようにしてください。
パソコンは衝撃に弱いため、叩く・揺らすなどの行為を行うと異音が悪化する恐れがあります。
パソコン本体の故障にもつながってしまいますので、絶対にやめてください。
また、修理などでパソコンを持ち運ぶ場合は、必要以上に衝撃を与えないようケースなどに入れることをおすすめします。
異音の原因を突き止めるにはパソコンの分解作業が必要ですが、専門知識がない場合は安易に行わないようにしてください。
分解作業によって不具合が悪化したり、正常なパーツまで傷つけてしまうリスクがあります。
また、一度でもハードディスクを分解すると、メーカー保証を受けられなくなる点にも注意が必要です。
パソコンの異音を防ぐには、日常的な使い方がとても重要です。
ここでは、パソコンから異音がしないようにするための予防方法を3つ解説します。
パソコンは熱に弱く、高温環境下で使用し続けていると故障につながる恐れがあります。
以下の対策を実施し、パソコンが熱を持たないように注意しながら使用してください。
また、冷却ファンにホコリが溜まっていると、パソコンから効率よく熱を排出できなくなってしまいます。
日頃からファンの状態を確認し、こまめに掃除を行うとよいでしょう。
パソコンを使用する際は、できる限り強制終了を行わないように心がけましょう。
強制終了はハードディスクに大きな負担がかかるため、何度も繰り返していると故障の原因につながってしまいます。
パソコンがフリーズし、マウスやキーボードが一切反応しなくなった時の最終手段としてのみ活用することをおすすめします。
パソコンの急なトラブルを避けるためには、ハードディスクの定期的な交換がおすすめです。
一般的に、ハードディスクの寿命はおよそ3〜4年といわれています。
可能であれば毎年、最低でも3年に1回は交換するとよいでしょう。
ただし、知識がない状態でハードディスクを交換するのは非常にリスクが高いため、専門業者に依頼するようにしてください。
ここでは、各メーカーごとにパソコンの異音に関する記事をご紹介しています。
お使いの端末にあったものをぜひ参考にしてください。
監修者/前田 知伸
富士通を経て、リブート㈱代表取締役。パソコンリサイクル業15年目。国内外のIT資格を保有。NHKなど出演実績有り。