Dellのパソコンが起動しない、Dellのロゴが表示されたまま動かないなど、Dellのパソコンを使用していると、不具合が起こることがあります。
パソコンが起動しないと慌ててしまいますが、適切な方法で対処すれば改善することもあります。
この記事では、Dellのパソコンが起動しない場合の原因と対処法を解説します。ロゴから動かない場合など症状別に解説しますので、パソコンの症状に合わせて参考にしてください。
【この記事でわかること】
目次
Dellパソコンが起動しない場合は、まず製品モデルの確認をしましょう。
Dellパソコンが起動しない場合は、修理やサポートを受ける必要があります。その際必要になるのが、Dellパソコンの製品モデルです。
製品モデルを識別することにより、マニュアルや仕様などが確認できる上に、製品に合わせたサポートを受けられます。
製品モデルを確認するには次の4つの方法があります。
ほとんどのDellパソコンの製品モデル番号は、パソコンケース外側にあるラベルやステッカーで確認できます。
ノートパソコン、タブレットの製品ラベルの位置
デスクトップ、オールインワン
Support Assistは、Dell製パソコンにインストールされているDellアプリケーション。パソコンに問題が起こった場合に原因を特定したり、不具合を予防したりします。
Support Assistを開くと、製品モデルが表示されます。Support Assistがインストールされていない場合は、Dell公式サイトからダウンロードしましょう。
【Windows10「Support Assist」の利用方法】
Windowsのシステム情報には、モデル、製造元、オペレーティングシステムのバージョンなどの詳細が表示されます。
Breakキーがあるパソコンの場合は、「Windows」キー+「Break」キーを押し、一部のノートパソコンでは、「Windows」キー+「Fn」キー+「Break」キーを押すとすぐにシステム情報を開くことが可能です。
キーボードに「Break」キーがない場合は次の手順でシステム情報を開きましょう。
【Windows10でシステム情報を開く手順】
BIOSはマザーボードに搭載されており、パソコンにとって必須のプログラムです。パソコンのOSが起動するタイミングで、キーボードやマウス、CPUなどを制御します。
BIOSにアクセスすることで、Windowsを起動せずにパソコンとハードウェアの情報を見つけられます。
【BIOSを使用して製品モデルをみつける手順】
Dellパソコンが起動しない原因はいろいろありますが、意外に簡単な方法で症状が改善する可能性もあります。
Dellのパソコンが起動しない場合は、まず次の3つのことを試してみてください。
Dellパソコンが起動できない場合、まずはハードリセットを行いましょう。ハードリセットとは、パソコン内部に帯電している電力を放出することです。
パソコン内に帯電した電力によりパソコンに不具合が起こることがあります。ハードリセットすることで多くの不具合が修正される場合があります。
またDell製のパソコンは、USBを接続し続けるとUSB機器からの電流が帯電してパソコンが起動しない現象が起こることもあります。付属機器をすべて外すことで、USBの帯電による不具合も改善されます。
【ハードリセットの手順】
参考:Dell PCの電源が入らない、またはWindowsが起動しない
パソコンは定期的にホコリを掃除しなければ、本体内に多くのホコリが蓄積しパフォーマンスが低下します。
ファンなどの周りにホコリが溜まると、パソコンの冷却性能が低下しパソコンが熱暴走を起こす恐れもあります。Dellパソコンの、温度が許容範囲を超えているなど温度に関する問題がある場合、電源LEDがオレンジ色に点滅します。
パソコン内のホコリを掃除するには、掃除機で外側から掃除するといいでしょう。パソコン内部まで掃除する場合は、ケースを開けてエアダスターでホコリを払います。小さな部品などを吸い込むことがあるので、パソコン内部には掃除機を使用しないようにしましょう。
またマザーボードなどは、静電気などのわずかな電流で故障します。作業するときには、静電気が起こりやすいセーターを着ない、静電気対策手袋を付けるなどの対策をしましょう。
ハードウェア診断を実行することで、パソコンの不具合の原因を特定できます。
ハードウェア診断で故障の原因を特定したら、その部品を交換する、修理するなどで対処しましょう。
【ハードウェア診断の実行方法】
ハードウェアのチェック後、メモリ診断が続けて実行されますが、かなり時間がかかります。不要な場合は「No」を選択しましょう。
Dellにはサポートサイトからオンラインでパソコンの状態を診断できる方法もあります。
オンライン診断は次の3種類があります。それぞれパソコンの状態に合わせて選択しましょう。
種類 | 概要 |
---|---|
クイックテスト | 診断にかかる時間は10~15分 |
フルテスト | 詳細なテストで、診断にかかる時間は40分以上 |
カスタムコンポーネント | 特定のハードウェアのテストを実行 |
参考:Dell サポート
Dellのパソコンが起動しない場合、「Dellロゴから動かない」「電源がつかない」などさまざまな症状があります。
Dellのパソコンの場合、原因によって【No Power】【No Post】【No Boot】【No Video】などがエラーメッセージとして表示される場合もあり、原因の特定がしやすいことが特徴です。
ここでは、Dellパソコンが起動しない症状ごとに対処法を解説します。
Dellのパソコンの電源を押すと、電源LEDが点灯する場合は次の2つの方法を試しましょう。
ノートパソコンの場合はACアダプターを接続し、LEDが点灯する場合は問題がありません。ACアダプターを接続してLEDが点灯しない場合は、ACアダプターの故障が考えられます。
ノートパソコンの場合、バッテリーの問題の可能性もあります。パソコンの電源を切りバッテリーを取り外します。
ACアダプターをノートパソコンに接続し、パソコンの電源を入れます。通常通り電源が入り、パソコンが起動した場合はバッテリーに問題がある可能性が高くなります。
ノートパソコンのバッテリーの寿命は2~3年程度のため、それ以上使用している場合は寿命の可能性もあります。バッテリーの交換を検討しましょう。
ノートパソコンのバッテリーの交換時期は?交換方法や寿命を伸ばす方法も紹介>>
電源がオンになっている兆候がない、ディスプレイに何も表示されない、ファンの音が聞こえないなど、電源を押してもまったく反応がない場合は、電源周りの故障が考えられます。
電源ユニットの寿命は3~4年と言われており、長期間使用したパソコンは経年劣化している可能性があります。
【パソコンの電源ユニットの寿命は?】故障前の症状や延命するための方法>>
電源は過電圧を受け続けると故障する可能性があります。またパソコンを移動する際に、電源系統がマザーボードから外れ、電源が供給されていない可能性も。
電源LEDがオレンジ色に点滅している場合は、電源系に問題がある可能性が高いでしょう。
また、電源ケーブルやバッテリーの不具合もチェックしましょう。ピンが折れ曲がる、ケーブルの断線などがある場合は、別のケーブルを利用することで問題が解決する場合があります。
ノートパソコンの場合は、充電が十分にされていない可能性もあるため、しっかり充電して、もう一度電源を入れてみましょう。
【パソコンの電源ユニットの寿命は?】故障前の症状や延命するための方法>>
デスクトップパソコンで電源ケーブルを抜き差ししても電源が付かない場合は、電源の自己診断ツールを使いましょう。
Dellのデスクトップパソコンには、PSU(電源ユニット)BIST(内蔵セルフテスト)という電源装置を診断する機能が搭載されています。(一部機種に限る)
この機能により、電源システムが正常かをテストできます。
BISTは、パソコン背面の電源コネクター横にありますが、小型シャーシタイプは、システムカバーを取り外す必要があるため注意しましょう。
【BISTの使用方法】
ボタンを押した後、LEDボタンが緑色に点灯したら電源は正常です。LEDが点灯しない場合は、問題を特定するためにさらにトラブルシューティングを行います。
マザーボードなどのすべてのデバイスから内蔵電源ケーブルを外し、一つずつパーツを取り付けながらPSU BISTボタンを押し、LEDランプの点灯を確認しましょう。
これで問題のあるパーツの特定が可能です。故障しているパーツは交換しましょう。
接続されているパーツ数が多く、電源ユニットの電源供給能力を超えている可能性もあります。付属しているデバイスの数を見直してみましょう。
参考:Dell 電源装置(PSU)内蔵セルフ テスト(BIST) – デスクトップ
Postとは、Power-On Self-Test(電源投入時の自己診断)を意味しています。
パソコンを起動するたびに一連のチェックが実行されますが、問題がある場合にWindowsが起動せず、診断LEDまたは電源LEDが点灯します。
Dellのロゴから進まない、フリーズする場合もNo Postの可能性があり、LEDの点滅やビープ音のパターンで原因や対処法の特定が可能です。
オレンジ色のLEDが点滅する場合は、ハードウェアの故障が考えられます。ハードウェアの故障とは、マザーボードやハードディスク、メモリーなどです。
その他ビープ音やLED点滅のパターンは、下記Dellサイトで確認できます。
参考:Dell製デスクトップ パーソナル コンピューターのビープコードについて
マザーボードはパソコンの心臓ともいえるパーツで、故障しているとパソコンは起動しません。
マザーボードにはボタン電池があり、さまざまな電源を供給しています。まずはボタン電池を交換しましょう。また目視で抜けているケーブルやホコリなどを確認します。
ホコリを除去し、ケーブルに異常がない場合は、電解コンデンサの液漏れなどの有無を確認します。液漏れしたり、膨らんだりしているとマザーボードは正常に起動しなくなり、電源が入らなくなります。
電池を交換し、ケーブルの抜き差しやホコリ除去を行っても改善しない場合は、マザーボードの故障の可能性が高くなり、交換が必要です。
マザーボード故障時の症状とは?4大原因と2つの調べ方を解説>>
メモリが故障するとパソコンは正常に起動しません。メモリーは熱に弱く、パソコン内部のホコリによって熱がこもる、静電気が帯電するなどで不具合を起こす可能性もあります。
ホコリを除去し、パソコンを完全に放電して、ケーブルを抜き差しします。それでも改善しない場合はメモリーの故障を疑いましょう。
ハードディスクが故障している場合、パソコンは起動しなくなります。ハードディスクが正常に接続できていない、ハードディスクを認識していない可能性があります。
パソコンのケースを開けて、ハードディスクが正常に接続されていることを確認しましょう。また異音がする場合などは、何度も電源を入れるとさらに状態を悪化させ、データが消える可能性もあります。
パソコンが重い、フリーズすることが多くなったと感じたら、ハードディスクの不具合かもしれません。ハードディスクの交換は素人では難しいので、修理に出すなどの対応をしましょう。
LEDが点灯してもブルースクリーンになる場合などは、Windowsトラブルの可能性が高くなります。
No Bootの場合は、LEDは正常に点灯しファンの音も聞こえ、電源が入っていることがわかります。画面の左上にカーソルが点滅し、画面が黒くなることもあります。
画面に表示されるエラーメッセージは、「No Boot Device」、「No Bootable Device」、「Boot Device Not Found」などです。
なんらかの原因でWindowsが正常に起動できないため、エラーメッセージを特定したり、自己診断プログラムなどを使用したりして原因を特定しましょう。
Dell製パソコンに搭載されたSupport Assistで問題を確認できます。Support AssistはOSが起動しない場合でも利用可能。
Support Assistは、トラブルの診断の他にもウイルスの除去や設定の最適化などを行い、パソコンを快適に使い続けるためのサポートソフトです。
【Support Assistの使用方法】
テストが正常であれば問題ありません。問題が検出されるとエラーコードが表示されます。
エラーコードが表示された場合は、Dellサイトでエラーコード、認証コード、サービスタグなどを送信し、推奨される対処法を確認しましょう。
参考:Dell SupportAssist起動前システム・パフォーマンス・チェック
BIOSとは、パソコンに接続されている機器の設定情報です。BIOSのデータに異常がある場合、パソコンが正常に起動しないことがあります。BIOSをデフォルト値にリセットすることで、問題が改善する場合があります。
【BIOSの初期化の手順】
参考:Dell デル製品でBIOS(システムセットアップ)のデフォルトを復元する方法
電源ボタンを押すとLEDは点灯しますが、Dellのロゴが表示されずディスプレイが黒い画面のまま動かない状態になるのはNo Videoの状態です。
No Videoでは、ディスプレイの不具合の可能性が高くなります。またディスプレイドライバーの異常の可能性もあります。
画面に線が入る、画面がぼやける場合もディスプレイの不具合の可能性があります。ファンの音などがして、パソコンが起動している様子があるのに、画面が黒いままの場合は、ディスプレイの故障を考えましょう。
まずは、ディスプレイが正しく接続されていることを確認します。正しく接続されているにもかかわらず画面が黒いままの場合は、別の外部モニターを接続してみましょう。
液晶モニターの寿命は10年程度ですが、使い方によってはもっと早く寿命を迎える場合もあります。ディスプレイが故障している場合は、液晶モニターや外部モニターの交換が必要です。
電源がオンになっていて、黒い画面が表示される場合、ディスプレイドライバーの異常も考えられます。
ディスプレイドライバーとシステム間の接続に不具合が起こっている可能性もあり、再起動することで問題が解決する可能性もあります。パソコンを再起動することなく、グラフィックドライバーのみを再起動できるため、使用中のソフトやアプリもそのまま残ります。
【ディスプレイドライバーの再起動の手順】
ここまで紹介した方法で問題が改善されない場合は、次の方法を試してみましょう。事前にデータのバックアップを取っておくと安心して作業できます。
セーフモードで起動することで、原因の特定が可能です。セーフモードとは、Windowsを最小構成で起動することで、パソコンの問題を診断できます。
パソコンが起動できない場合でも、セーフモードで起動できる場合がありますが、パソコンの状態によってはセーフモードでも起動できない場合もあります。
またセーフモードは、ハードディスクの状態が悪化する可能性があります。データが消失する可能性もあるため、不安な場合は実行しないようにしましょう。
【セーフモードで起動する手順】
セーフモードで起動できた場合は、疑わしいドライバーやソフトの削除やウイルスの除去などを行い、問題を解決しましょう。
リカバリーディスクを使い、強制的にDellのパソコンを起動させる方法もあります。どんな対処法を試しても起動しない場合などに有効です。
パソコンを初期化する必要がなく、この方法で解決できれば初期化する一歩手前で解決できます。
【リカバリーディスクで起動する方法】
クリーンブートとは、スタートアップやサービスを無効にした状態でWindowsを起動することで、インストールしているアプリケーションなどの影響を受けることなく動作チェックが可能です。
クリーンブートを実行することにより、パソコンの不具合の原因がアプリケーションかWindowsかを特定できます。
クリーンブートでWindowsを起動すると、スタートアップとサービスで動作していたアプリケーションが「無効」になり、Windows上でさまざまな障害が起こる可能性があります。
クリーンブートの実行は非常に有効な方法ですが、不要なプログラムが判断できない場合は無効にしないようにしましょう。
クリーンブートを行いパソコンが正常に動作しなくなった場合は「クリーンブートの解除」を行ってください。
【クリーンブートの実行方法】
Windowsのシステムファイルが損傷すると、パソコンが起動しなくなります。Windows10をリセットして再インストールすることで改善する可能性があります。
Windowsの再インストールはデータを失わず実行できるため、パソコンを初期化する前に試してみましょう。
Windows10は3回起動に失敗すると、自動的にWindows回復環境(WinRE)を起動します。WinREが起動したら以下の手順でWindows10をリセットしましょう。
【Windows10をリセットする手順】
すべての方法を試してみてもパソコンが起動しない場合は、パソコンを初期化しましょう。
パソコンを初期化すると多くの問題が解決できますが、パソコン内のデータはすべて失われます。事前にパソコンのバックアップを取っておく必要があります。
Support Assistの機能でパソコンを初期化できます。
初期化が成功したことのメッセージが表示されたら、初期化は完了です。
Windows10にある自動修復機能を使い、パソコンを初期化することも可能です。電源を入れてもWindowsのサインイン画面まで進まない場合に利用できます。
個人用ファイルを保持するを選択した場合は、作成したファイルやアカウント情報などは失いません。ただし、インストールしたアプリなどはすべて削除されます。
パソコンを廃棄する、他人に譲渡する場合は、「すべて削除する」を選択しましょう。その場合は、パソコン内のデータはすべて消去されます。
Dellパソコンの初期化に関しては、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
【Windows10】Dellパソコンの初期化方法や初期化できない場合の対処法>>
Dellのパソコンが起動しない場合は、まずパソコンの放電や、パソコン内部の掃除をしてみましょう。またハードウェア診断で、パソコンの故障個所を調べてみるのもいいでしょう。
それでも起動しない場合は次の対処法が有効です。
以上を実行しても起動しない場合は、パソコンの修理を検討しましょう。しかし、マザーボードなどの交換は思った以上に費用がかかり、パソコンを買い替えた方がいい場合もあります。
Dellパソコンを購入してから3~5年程度経過している場合は、寿命の可能性もあります。パーツ交換しても他のパーツが故障する可能性もあるため、買い替えがおすすめです。
パソコンを買い替えたら古いパソコンは処分しましょう。パソコンは小型家電リサイクル法の適用のため、簡単に処分できません。
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監修者/前田 知伸
富士通を経て、リブート㈱代表取締役。パソコンリサイクル業15年目。国内外のIT資格を保有。NHKなど出演実績有り。