最近キーボードが反応しない、触っていないのに同じ文字が連続で入力されるなどの症状があればキーボードの寿命かもしれません。
キーボードは主にメカニカル式、パンタグラフ式、メンブレン式の3種類に分けられますが、種類によって寿命が異なります。
この記事では
について解説していきます。
目次
キーボードはその形式によってメカニカル、パンタグラフ、メンブレンに分けられます。
それぞれの寿命を解説していきます。
メカニカル式キーボードはキーに物理的なスイッチを持った構造になっているキーボードのことです。
それぞれのキーは独立したスイッチを持っているため、破損してもその部分だけを交換すればまた使うことができるようになります。
メカニカル式キーボードは3種類の中ではもっとも寿命が長いとされています。
一般的にメカニカル式の場合は5000万~1億5000万回の打鍵が可能です。
もちろん使用頻度にもよりますが、たまにしかパソコンを使わない人はほぼ寿命を迎えることはないでしょう。
一般的な使われ方をしても10年以上、メカニカル式の中でもスイッチが光学式などのものは20年以上使うことが可能です。
高価なキーボードではありますが、その分耐久性は高くなっています。
パンタグラフキーボードとはキートップの下に電車のパンタグラフのような機構を持つキーボードです。
メカニカル同様にキーが独立したスイッチになっており、薄く作ることができるのでノートパソコンによく使われています。
パンタグラフキーボードも比較的寿命は長く、10年以上使うことが可能です。
メンブレン式キーボードはキーボード全体で一枚のスイッチを共有している構造で、キートップ下のゴムのカップなどを介してスイッチの接点部分に接することで反応する仕組みになっています。
スイッチが独立しておらず、ゴムなどの安い部品で作ることができるので安価ではありますが、3種類の中では一番寿命が短くなっています。
ゴムはどうしても経年劣化してしまうため、使っていなくても徐々に固くなってしまいます。
そのため通常の使用であれば5年ぐらいがメンブレン式キーボードの寿命といわれています。
メカニカル式キーボードのメリット・デメリットを紹介していきます。
メカニカル式キーボードは寿命が長いことがメリットの一つです。
スイッチそのものの耐久性が高いことに加え、不調のスイッチが出てきた場合でも単体で交換が可能なため、低コストで修理が可能です。
またキーキャップを外すことができるので、ゴミや埃などの掃除がしやすい点もメリットといえるでしょう。
メカニカル式キーボードはスイッチの軸によって好みの打鍵感を選ぶことができ、適度な抵抗とメカニカル特有のはっきりした打鍵感を得ることができます。
青軸と呼ばれるクリック感のあるものから赤軸などのスムーズなタイプまで使用者の好みに応じて変更できることもメカニカル式キーボードのメリットです。
メカニカル式キーボードのデメリットは価格が高いことでしょう。
スイッチは独立させる必要があり、さらにスイッチの構造も複雑になるため部品点数が増え価格の上昇につながります。
またスイッチの構造によっては光学式や静電容量無接点方式など物理的なスイッチを持たずにキーを反応させるものはさらに値段が高くなります。
長寿命と引き換えといえるでしょう。
メカニカル式キーボードのメリットともいえる打鍵感ですが、周囲の人にとっては音が大きいキーボードと捉えられることもあります。
打っている本人は気持ちよく打てるかもしれませんが、かなり音が響くことがあるのでその点が懸念点ともいえます。
メカニカル式キーボードは構造上、チャタリングと呼ばれる一度の入力で複数回入力されるという現象が起きることがあります。
物理的なスイッチを備えているが故の現象ですが、他の方式のキーボードでは見られることは希です。
このチャタリングはスイッチが光学式や静電容量無接点方式の場合は起きません。
物理的なスイッチにのみ起きる現象です。
パンタグラフ式キーボードのメリット・デメリットを紹介していきます。
パンタグラフ式キーボードはキーが反応するまでの距離が短いため、薄く作ることができます。
そのためノートパソコンによく採用されている方式です。
薄く作ることができるので折りたたみ式などの一風変わった形のものも作れます。
またキートップ全体に力が加わる方式のため多少押す部分がずれてもしっかりと反応してくれます。
パンタグラフ式キーボードはキートップ下にパンタグラフ機構が入っているため、直接筐体にぶつかって発生する音を抑えることができます。
静かな打鍵音は様々な場面でメリットとなります。
パンタグラフ式キーボードはキーを取り外して掃除したいと思っても、爪が折れてしまう可能性があります。
一度爪が折れてしまうと再度はめることは不可能になってしまうので、キーを外さずに掃除をすることになります。
絶対に不可能というわけではありませんが、パンタグラフ式キーボードは壊れてしまったキーだけを交換することが困難です。
特にノートパソコンの場合は本体と一体になっており、修理には全てを外す必要があるため、単体での交換は難しいと考えて良いでしょう。
もし壊れても自分で修理することも難しいキーボードとなります。
メンブレン式キーボードのメリット・デメリットを紹介していきます。
安いことはメンブレン式キーボード最大のメリットといっても過言ではありません。
一枚のスイッチをラバートップで覆うだけで作れるので大量生産に向いています。
メンブレン式キーボードはラバーで覆われているため、ちょっとやそっと飲み物をこぼしたぐらいでは故障することはありません。
中には防水性を売りにして水洗いができるキーボードも存在します。
何かと汚れが気になるキーボードを洗えるというのは非常に便利です。
メンブレン式キーボードはスイッチ部をゴムで覆われているため、くっきりとした打鍵感が望めません。
どちらかというとぐにゅっとした感触になってしまうので、好みが分かれるところでしょう。
これも好みにもよりますが、メンブレン式キーボードはストロークが長くなりがちです。
かなり底まで押し込まないと反応しないので、人によっては打ちにくいと感じてしまうこともあるでしょう。
メンブレン式キーボードは一枚のスイッチで構成されているので、原理上一部のキーだけを修理することができません。
こればかりは構造の問題なので、メンブレン式の宿命ともいえるデメリットです。
その分本体価格が安く設定されているので、修理よりも買い替える人がほとんどです。
キーボードを長く使うためのコツを紹介していきます。
埃はキーボードに限らずほとんどのパソコン関連パーツの敵です。
放っておけば接点をジャマしてしまったり、スムーズな動作の妨げにもなります。
エアダスターなどを利用して定期的に吹き飛ばす、柔らかい布で拭くなどして取り除きましょう。
キートップの間に入り込んだ埃をくっつけて取り除く、粘土状の掃除用品も発売されていますので、より手軽に埃を取り除くことができます。
キーボードはある程度力のある入力にも耐えられるようにはなっていますが、必要以上に力を込めて打てば当然寿命は短くなります。
特にエンターキーやスペースキーはなぜか多くの人が力みがちなので、軽いタッチで打鍵するようにしましょう。
強く打っても入力される文字に違いはありませんし、音が響くと周囲にも迷惑になります。
キーボードには優しく、丁寧なタイピングを心がけましょう。
いざ反応しないキーが出てきたなど寿命を迎えた場合の対処方法を紹介していきます。
メカニカル式キーボードのみ可能な手段ですが、反応しないキーのスイッチだけを交換することができます。
ただし、メカニカル式キーボードはそうそう寿命を迎えることはありません。
大抵はスイッチの接点に汚れが溜まっていたり、動きが渋くなったことでチャタリングが発生していることが多く見られます。
メカニカル式キーボードの調子が悪くなった場合は寿命と考える前に一度キーキャップ、スイッチを外して徹底的に清掃してみましょう。
それでも調子が悪い場合はいよいよスイッチの交換が必要となります。
パンタグラフ式キーボードとメンブレン式キーボードの場合は自分で修理することは困難なので、修理業者、メーカーに修理を依頼しましょう。
パンタグラフ式キーボードでノートパソコンと一体になっている場合は自分での修理をおすすめできませんので、購入したメーカーや修理業者に依頼しましょう。
モデルによっても異なりますが、概ね1500~5000円ほどで修理できます。
自分で壊れた部分を直そうとしてキーを外したりすると爪が折れてしまうこともあるので、あまりいじらないようにしましょう。
メンブレン式キーボードも修理は可能といえば可能かもしれませんが、恐らく買い替えた方が安く済む可能性が高いので、寿命を迎えたキーボードは感謝を告げてお別れすることをおすすめします。
以上、キーボードの寿命について解説してきました。
理論上の寿命はメカニカル式、パンタグラフ式ともに10年を超えるのでそうそうお目にかかることはないかもしれませんが、メンブレン式は比較的すぐに寿命が来ます。
キーボードは人と物理的に接触し続けるパーツなので耐久性は高く作られていますが、寿命以外にも埃や汚れ、こぼれた飲み物などが原因で不調を来すこともあります。
キーボードは定期的に清掃をし、寿命を延ばすようにしましょう。
監修者/前田 知伸
富士通を経て、リブート㈱代表取締役。パソコンリサイクル業15年目。国内外のIT資格を保有。NHKなど出演実績有り。