マザーボードはパソコンの中枢となる部品のため、故障するとまともにパソコンを動かすことができなくなります。
パソコンが動かなくなる原因は様々ですが、この記事では
について解説していきます。
目次
マザーボードが故障すると以下のような症状がでます。
電源スイッチを押しても反応がない、何も映らないというときはマザーボードの故障の可能性が高くなります。
マザーボード故障の症状では多く見られるといわれていますが、電源が入らないときは電源ユニットに問題があることもよくあります。
デスクトップでは電源がしっかり入っているか、ノートパソコンであればバッテリーが十分かの確認も合わせて行うとよいでしょう。
マザーボード特有の症状としては電源が一瞬入ったあとにすぐ消えるというものもよく見られます。
パソコンの電源がつかない原因についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
パソコンの電源がつかない原因は?ランプはつくなど症状別の対処法を紹介>>
電源が入り、ファンが回っているのは確認できるがモニターに何も映らないという場合もマザーボードの故障が濃厚です。
ファンが回るということは電源は生きています。
その状態でモニターに何も映らないということはOSを起動させるための読み込みに何らかのトラブルが起きている可能性が高くなります。
OSを起動させるためにはBIOSと呼ばれるプログラムを使用します。
画面に何も映らない状態はBIOSに何らかの異常が起きているサインの一つで、このままではパソコンの情報を読み込むことができなくなり、起動に失敗します。
また故障以外にも、デスクトップであればモニターの電源がしっかりと入っているか、接続されているかも合わせて確認しておくと慌てなくて済むでしょう。
BIOSが起動しない場合の対処法についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
BIOSが正常に起動しない!CPUファンが動作に問題ないときの対処法>>
パソコンの起動自体はできているものの、すぐにフリーズしたり突然シャットダウンされたりする場合もマザーボードの故障が疑われます。
突然シャットダウンする症状はマザーボードの故障以外にはCPUの温度が上がりすぎたことによる熱暴走や、電力の供給不足が原因の場合もあります。
高性能なCPUやグラフィックボードで負荷のかかる作業をしていないか、吸入口や排出口が埃で目詰まりしていないかを確認し、どちらも当てはまらないようであればマザーボードの故障の可能性は高いといえます。
パソコンから聞こえる「ピーピー」や「ピッ」などの音は”ビープ音”と呼ばれるもので、何かパソコンから知らせたいことがある場合に鳴ります。
起動してすぐにこのビープ音が鳴った場合はマザーボードに異常が出ている可能性が高くなります。
注意すべきことはビープ音が鳴ったからといってマザーボードの故障とは限らない点です。
グラフィックボードに繋がれていない場合もビープ音は鳴りますし、メモリに異常がある場合も鳴ります。
いずれにしてもパソコンから何らかのトラブルを知らせるのがビープ音なので、マザーボードを含めて一度確認してみましょう。
マザーボードは主に下記の原因で故障します。
それぞれを詳しく解説していきます。
マザーボードを始めパソコンの部品には寿命があります。
マザーボードは何年持つかは使用環境や時間により変わってきますが、たいていの人はマザーボードの寿命を迎える前にパソコンを買い替えることが多いかと思われます。
ただし一日中つけっぱなしでハードな作業をする人はもっと短くなることもありますし、逆に週に一回程度しか使わない人は長くなることもあります。
また埃っぽい環境で熱を帯びやすい場合も寿命は短くなる傾向にあります。
マザーボードの寿命とは主にコンデンサーの寿命となります。
コンデンサーは電力を蓄えて必要なときに放出する部品ですが、使用に伴い経年劣化していき、最終的にはコンデンサーが膨張、破裂、液漏れなどを起こして機能しなくなります。
マザーボードの寿命に関してはこちらの記事でも詳しく解説しています。
マザーボードの寿命の年数は?寿命がきたときの症状や交換方法を解説>>
埃が吸気口やパソコン内部に溜まり、適切に放熱できなくなるとマザーボードを始めCPUやグラフィックボードなどを冷やすことができなくなります。
パソコンの部品は基本的に高熱にさらされると寿命が縮みますので、マザーボードも例外ではありません。
なぜ熱くなることがパソコンに良くないかというと、高熱になることでマザーボードの基盤に使われているハンダが膨張します。膨張したハンダは冷えれば収縮していきますが、膨張と収縮を繰り返すと、いずれヒビが入り故障に繋がります。
この理由によりパソコンは十分に冷却される必要があるのです。
また湿気が多く、温度差で結露などが生じる環境では凝着した水分が原因で錆が発生し、著しくマザーボードの寿命を縮めます。
コンデンサー以外に高温、湿気の影響を受けるのはSATAポートやメモリスロットです。
この部分が高温にさらされたり、水分が付着して異常な電流が流れるとマザーボードの故障につながります。
パソコンを移動させるときに落としてしまった、地震で倒れてしまったなどの物理的な衝撃が加わるとマザーボードにもダメージが加わる可能性があります。
CPUのスロットは何十本という小さなピンでマザーボードに固定されているので衝撃に強い構造ではありません。
CPUファンやSATAポート、メモリスロットもダメージを受けると正常に読み込むことができなくなることもあります。
またテーブル下に置いておいて、上から飲み物をこぼしてしまったなどの場合も内部に水分が入ってしまうことによって錆や異常電流の原因になります。
パソコンは持ち運び前提のノートパソコンでも精密機器です。
落としたり、水分をかけてしまったりしないように注意しましょう。
マザーボードにははBIOSの情報や時計などを電源が切れても記憶しておくためにボタン電池が搭載されています。
このボタン電池は使用環境にもよりますが、おおむね3~4年で寿命となります。
ボタン電池が切れるとパソコンの時計が狂い始めますので、時間が大幅にずれているようであれば電池切れを疑いましょう。
またボタン電池が切れてしまった場合もBIOSが起動しないことがあります。
埃などの掃除も定期的に行い、パソコン本体を落下させたり、ハードな作業をした覚えもないということであればボタン電池を調べてみましょう。
マザーボードが故障しているかどうかを確かめる2つの方法を紹介していきます。
マザーボードに限らずですが、パソコンの調子が悪くなった場合は、直近で何か変更を加えなかったか思い返してみてください。
グラフィックボードを付け替えた、メモリを増設したなどがあれば一度元に戻してみると原因が特定できる場合があります。
直近に付けたパーツを取り外して正常に動作をすればそれらが原因であることがわかります。
パソコンを起動させるための最低限必要な構成は
【電源】【マザーボード】【CPU】【メモリ】の4つです。
グラフィックボードやSSD、HDDなどは外しておいても起動させる分には問題ありません。
これらだけの構成で起動して正常に動かないということであればマザーボードの故障の線が濃厚になります。
また直近にインストールしたソフトが原因となっている可能性もゼロではありませんが、起動すらしないパソコンからアンインストールすることは不可能です。
運良くセーフモードで起動したら速攻で削除しましょう。
最小限の構成でも動かないとなれば、いよいよマザーボードの故障が本格的に疑わしくなってきます。
CPUは滅多に壊れることがないパーツなので、取り付け方を間違えていない限りはCPUが問題となることはないでしょう。
同様にメモリも10年以上は使えるように設計されているので、初期不良でない限りはメモリが原因となることは希です。
そうなったときにチェックすべきパーツがコンデンサーです。
コンデンサーは単三電池のような形をしていることが多いのですが、これが膨らんでいたり、液漏れなどを起こしていればコンデンサーの破損と考えて間違いありません。
コンデンサーはボタン電池と違って交換が難しいので、コンデンサーが壊れている場合は修理に出すか、交換するかの2択となります。
実際にマザーボードが故障していることが明らかになった場合、ボタン電池切れ以外は自分で直すことは困難なので、修理と新品に交換のどちらかになります。
修理を希望する場合は専門の業者に依頼しましょう。
メーカーに直送しても修理を受けることは可能ですが、メーカーに送る場合はほとんどが交換です。
コンデンサーなどの部品を交換するのはそれ相応の技術が必要になるので、交換した方が手っ取り早いというのがその理由ですが、交換する分値段も高くなります。
またマザーボードだけを取り出して修理に送ることもできますが、マザーボード以外にも不調の原因がある可能性も考えられますし、業者によってはパーツ単体での修理を受け付けていないところもあります。
マザーボードが故障の原因でなかった場合は修理できなくなってしまいますので、マザーボードが怪しいと思ってもパソコン本体を修理に出すことをお勧めします。
マザーボードが故障していることを特定できた場合は新品に交換するのがもっとも早い解決方法です。
Windows10であればマザーボードを交換してもOSとマイクロソフトアカウントを紐付けることで交換前と変わらずに使用することが可能です。
新品に交換する方法は「マザーボードの寿命の年数は?寿命がきたときの症状や交換方法を解説」で詳しく解説していますので、参考にしてください。
パソコンを購入したメーカーに修理を依頼した場合は交換されて戻ってくることがほとんどなので、特に作業する必要はありません。
古いマザーボードを廃棄する場合は以下の記事を参考にしてください。
マザーボードの値段はピンキリですが、一般的に交換よりも修理の方が安く済む傾向にあります。
高性能なマザーボードは交換すると高く付くので、予算に合わせて選びましょう。
修理の場合の相場はおおむね20000円~となっています。
大手修理業者の料金は以下の通りです。
会社名 | 料金 |
---|---|
パソコン修理のイーハンズ | 22,000~39,000円 |
パソコン修理パソコンドック24 | 6600円~ |
パソコンお直し隊(※Macは修理不可) | 20,000~45,000円 |
パソコン修理パソコンドック24だけ最低金額が突出して安いですが、モデルや故障内容によって変わってくるので、大幅に違うということはありません。
また故障内容によっては買い替えた方が安く済むこともありますので、まずは見積もりを取ってじっくり検討しましょう。
マザーボードを交換にかかる費用は、自分で交換できればマザーボード本体価格のみです。
ただしマザーボードにはいくつもの配線を接続する必要があり、CPUをセットするときもピンが折れてしまわないようにするなど細心の注意を払う必要があります。
パソコンの自作、分解に慣れていない人はメーカーや修理業者に交換を依頼した方がよいでしょう。
古いマザーボードを処分する場合は以下の記事を参考にしてください。
マザーボードの寿命を延ばすためには故障の原因の逆をすればよいということになります。
主に以下の環境でパソコンを使用すると良いでしょう。
極端な温度変化や高湿度の部屋は人間にとってもパソコンにとっても快適な環境とは言い難いものがあります。
温度変化が激しければ結露することもあり、内部の腐食に繋がっていきます。
特に夏場にエアコンを使わずに、人だけが扇風機に当たっていたりする場合は室温が上がり、パソコンの温度上昇に直結します。
いくらこまめに埃を掃除して高性能なファンをつけても、熱い空気ではパソコンを十分に冷却することができません。
夏場にパソコンを使用する場合はエアコンの使用も検討しましょう。
パソコンは内部のファンを回転させることで外から空気を吸い込み、風を当ててCPUなどの部品を冷やします。
また内部の空気を排気口から外に出すことでパソコン本体内部の熱を外に逃がします。
したがって、吸入口や排気口が埃で塞がれると効率が落ち、十分な冷却が困難となりますので、定期的に掃除機やエアダスターで埃を吹き飛ばしましょう。
またキッチンと同じ部屋でパソコンを使うワンルームや1LDKのような間取りでは調理時に発生する油が空気中を舞って、パソコンの内部やファンにも付着します。
油はべたつきでさらに埃をくっつけてしまうので、どんどん空気の通りが悪くなります。
油が付着してしまった場合はウェットティッシュなどで拭き取ると綺麗になります。
よく料理をする人は油にも注意しましょう。
パソコンのケーブルに引っかかったり、地震で揺れたりしてデスク上からパソコンを落としてしまうと致命的なダメージを与えてしまうことにもなりかねません。
万が一倒れてもいいようになるべくデスクの端を避けて設置したり、あるいは足下に置いてもよいでしょう。
ノートパソコンの場合はある程度持ち運びを前提にしていますが、高いところから落とされたりということは想定されていませんので、可能な限りやさしく扱いましょう。
直射日光もパソコンの温度上昇に多大な影響を与えます。
日の差す部屋は気持ちがいいものですが、パソコンに直接当たらないようにしましょう。
せっかくエアコンで部屋を涼しくしていても日光でチリチリと照らされればとても内部の冷却は間に合いません。
またパソコンのケースは黒が多いので余計に熱くなります。
ケーズ自身の劣化を防ぐためにも直射日光の当たらないところに設置しましょう。
防水仕様になっているパソコンはほとんどないので、水分がかかることは絶対に避けなければなりません。
花瓶や水槽の近くにパソコンを置くのは避けた方がよいでしょう。
倒れる心配はなくても地震で揺れて水が溢れることはよくあります。
また足下に置いた際の注意点としてコーヒーなどをこぼしてしまったときに直接かからない位置に置きましょう。
以上、パソコンの中枢ともいえるマザーボードが故障したときの症状と調べ方を解説してきました。
パソコンはマザーボード以外の原因でもトラブルを起こすことがありますが、一つ一つチェックしていけば原因は自ずと絞られてきます。
特にマザーボードの故障の確定要素となり得るコンデンサーの故障は一目でわかるので、パソコンケースを簡単に開けられる場合は一番にチェックしてもよいでしょう。
どんなマザーボードでも寿命はありますが、ちょっとしたメンテナンスと注意で寿命を倍以上に延ばすことも可能です。
パソコンの調子が悪いときは是非この記事を参考にして、マザーボードが故障していないかチェックしてみてください。
監修者/前田 知伸
富士通を経て、リブート㈱代表取締役。パソコンリサイクル業15年目。国内外のIT資格を保有。NHKなど出演実績有り。